惰性

がんばるという言葉から、かろやかさを奪わないでいること。努力の誓い、諦念の払拭、怠惰からの脱出、を望むたびに増すそこに含まれる自己嫌悪の割合。

すぐに、がんばり過ぎないでねと言ってしまう。がんばれは取り扱いが難しい。受け取る側の状態によっては余計なプレッシャーになるうえ、発した時には自分はがんばっているのかという楽しくもない内省が生まれる。

(今がんばれてないから)がんばる。(がんばると言ってがんばったけどまだ弱いから)もっとがんばる。惰性。ずっとがんばれてないという暗示がかかる。

がんばってうまくいかなくて、失敗はがんばれてないからだと思うと今度は何をやってもがんばれてないと思うようになる。
去年後半、ADHDと双極性障害傾向で通院するようになった。

がんばってもできないことは、ある。同時にそれが「なせばなる」を揺るがすことにはならないこと知っておいてもいいと思うんだ。
「もっとがんばる」だけじゃないやりかた。
それを探すことに胸を張れたら自分と他人両方にやさしいということにならないかな。

薬を飲んでADHDの本や論文も読んで、コーチングの講座を受けたりして、あり方を変えようともがいた。落とし穴は仕事だった。それまでちゃんと生活はできていたし学業も支障をきたすには至らなかった。生きづらさは耐えられた、この世は地獄でそれは当然だと思っていた。
地獄のありかは個人的なもので限りない。多かれ少なかれそれぞれの中にあって、ただそれを抱えたまま心から笑っている人々の尊さは主張したい。

昔、部活の試合前に皆んなで「顔晴ろうねっ」って言い合ったあのときの光はもっと軽やかだった。
泥のようながんばるの呪いを解いてもう一度軽くしてみせる2021