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#28 『一万円選書』を読んで

北海道の小さな町・砂川にある、いわた書店。他の書店が潰れていく中で、そこが残るのには訳がある。それは、社長の岩田徹さんが行う一万円選書である。一万円選書とは、お客さんから書いてもらったカルテをもとに一万円分の本を選んで送るというサービス。いわた書店では毎月100名に選書を行うことで生計を立てている。

この本からの気づきは3つある。

1.カルテが9割

選書を行うにあたって、これまでの人生や読書歴についてお客さんにカルテを書いてもらう。人によっては1ヶ月かけて10枚程度も書く人がいるそう。社長の岩田さん「カルテを書いてもらった時点で選書のための作業は終わっている」と言う。つまり、自分の人生を振り返ることで、自分が何を大切にして、今後何を望むのかがハッキリしてくる。人生を変えるためにまずやるべきは、インプットではなくアウトプットなのだと気づいた。

2.選書でwantを満たす

いわた書店の選書は、need(顕在的な欲求)ではなく、want(潜在的な欲求)を満たす。カルテを元に選ばれた本を読むことで、悩みが解決したり、進むべき道が決まったりすることもあるそう。そう言った本を選べるのは、幼い時から本に触れ合っていた岩田さんだからできることだ。数冊しか読んで無い人には難しい。そう思うと、書店員の務めは、本を売ることではなく本を薦めることなのかもしれない。

3.本屋もマーケティングの時代

本業界の大部分はネットが主流になってきた。Amazonでは購入歴から勝手におすすめが作られるし、そもそもkindleがあれば紙の本じゃなくても本が読める。これからますます書店の経営は厳しくなるだろう。そこで、これからの書店は、書店でしか出せない価値を存分に発揮することが今後必須となる。選書のサービスは、他の書店も行っているし、それ以外にもイベントが行われているところもある。書店員には、書店の魅力をどんどん引き出してほしいと思う。

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