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AbemaTVバラエティ『Japan's Got Talent』

たくさんフィルターがかかった中で見てしまったんですが、ぜひ感想を残しておきたいと思いました。
いわずとしれた海外の人気番組シリーズ『Got Talent』が日本版として制作され、現在AbemaTVにて無料視聴できます。
本家はアメリカで、各国で同ブランド名を冠した番組がたくさんあり、国こそ違いますがゆりやんレトリィバァやウエスPがアメリカで、タンバリンで有名なゴンゾーもイギリスで話題になりました。
東南アジアを中心に開催されている『Asia’s Got Talent』には多くの日本人が出演しており、イベント業界ではパフォーマーに声をかけるときにも参考にするぐらいメジャーな番組です。世界を舞台に活躍するパフォーマーにとっては箔のつく露出番組として重要な役割を果たしていると思います。
番組名を知らなくても、「あー、あの海外番組か」となる人は多いのではないでしょうか。
既知の番組として長かっただけに、今さら日本に限定してやる意味があるのかと最初からネガティブな色眼鏡で視聴していました。

難しい日本ローカライズ

とはいえ実際のところ本家の番組を通しで見たことがあるわけではないのですが、所感としては「そのまま移植したんだな。」という印象です。
会場の造作はそのまま持ってきたといってもいい出来栄え。日本人から上がるわけがない欧米風のリアクションが観客席から聞こえ、パフォーマンス中に舞台袖でリアクションするコメディアンの役目をかまいたちがやります。煽りVTRもなんだか「ラスベガスのイメージで」と発注したらこうなりそうな感じです。
そんな中、最も違和感を覚えるのはやはり「YES」と「NO」の2択で評価されるシステム。
良かったものに対して、最高ではないから「NO」と言う違和感は凄まじく、出演者も”審査員を演じている”という次元で頑張っているように見えます。ナチュラルに役割をこなしているのはGacktさんくらいで、みなさん役者に徹しているという印象でした。
編集も本家に寄せつつ日本人っぽいコメントは残そうとして頑張っていますが、この「YES」「NO」の異物感は消せません。日本人がジャッジになった途端に、こういう違和感を感じるものなのかと考え込んでしまいました。
番組の良し悪しよりも、「ここまでしてやる意味があるのか」という疑問が大きくなり、「なぜ今、日本で『Got Talent』なのか」を考え始めました。

『Got Talent』のブランドが持つ意味

日本人パフォーマーのための大舞台があるべきだ。という意見には同意です。自分は映像寄りで見てきた身ではありますが、イベントパフォーマンスはもっと見る機会があっても良いのではないかと思っています。
では、こんなにブランド監修を受けながら、日本という地域に絞って『Got Talent』を行う価値があったのか。
例えば、日本で日本人パフォーマーのために番組を作るなら、おそらく『欽ちゃんの全日本仮装大賞』のようにジャッジ1人が2点以上持ち点があり、非常に凡庸なパフォーマンスに対しても良さを拾い上げて一定の評価を与え、子供が出てきて泣き始めたときには同情票も入るでしょう。
『Japan's Got Talent』においても、近い展開がありましたが、「結局NO」なので低い評価をフォローする形になります。
そして、日本人向けの大きな演出変更は、既に完成されたブランドではできません。それら分かった上で『Got Talent』をやるという結論に至った部分は何でしょうか。

・番組を作るに当たって、本家『Got Talent』は安い?
権利を購入したパターンではないかと考えるのが当然ですが、そもそも今『Got Talent』に勢いがあるのでしょうか。
『Got Talent』の開始は2006年、日本人パフォーマー蛯名健一が優勝を飾った2013年から数えても既に10年経っています。目を付けた各国は我先にと権利を買って番組を作りましたが、ずいぶん今更な番組開始という印象です。
これは想像ですが、援助はなくても、『Got Talent』の権利が安かったのでは。と予想しても面白い気がします。

・AbemaTVの方針と視聴誘因
例えば「AbemaTVで新しくイベントパフォーマンスの祭典を作りました!」だと弱いという考え方があるかと思います。地上波ではなくAbemaTVでやるとなると、視聴動機がない限り誰も見てくれません。
AbemaTVでも面白い番組はたくさん作られてきたかと思いますが、オリジナルの看板番組は正直思い浮かびません。継続視聴になかなか繋がらず、苦戦している番組も多いかと思います。
昨年からはサッカーW杯全64試合中継、年末の格闘技もあれもこれもAbemaTVが中継。これらの権利購入の動きから「自分たちで作るより、実績ある鉄板ものを大枚叩いて購入しよう」という方針になっている印象を受けたのは自分だけではないと思います。
1.見てもらえる理由を作りたい。象徴的な地位が欲しい。
2.でも、ブランドを育てたところで『Got Talent』の二番煎じとなるとなかなか評価を得るのは難しいのでは…
3.じゃあ『Got Talent』を買えばいいじゃない!
となるのは分かる気がします。
もちろんお金がないとできないことですが。

まとめ

こうして考えをまとめて双方向からメリット・デメリットを考えると、一定のやる意味はあったのではないかと思いました。
ただ自分には分からない疑問として残っているのが、権利が安くなるぐらい、この番組演出がもうオワコンなのではないかということです。長くやっている本家アメリカ・英国などは伝統ある番組として今もまだ見れるものになっているかもしれませんが(事実は知りませんが)、さも「今から伝説が始まります」みたいなノリでこれが今始まるのは、「遅れている」という印象がやはり強いです。
綺麗で華やかなのに、擦り切れたハリボテ感を感じてしまい、非常に複雑な思いに包まれました。
しかし、この予想が赤っ恥ものの大外れで、「イベントパフォーマンスの世界がこんなにあるなんて!」「Got Talentという番組がすごい!」と爆当たりするかもしれません。
何にせよせっかくの”イベントパフォーマンスに光があたる番組”ですから、長続きしてほしいですね。

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