『八百万の神さま』第3話
「なっ、なんだ… あれ…?」
ミコトは車の窓から顔を出し見上げる。
巨大な寺屋敷は大相撲の吊り屋根のようにオフィス街に浮かび、屋根の鴟尾には一匹の龍が装飾されている。
「藤原家は大所帯やから『青龍』は宿主連盟の関東支部としても使われてんねん」
辻巻は寺屋敷の真下の駐車場に車を停める。
「お前… 知らないのか? 霞ヶ関の『青龍』と言ったら観光名所にもなっている有名スポットだぞ?」
メメがミコトを珍獣でも見るように言う。
「オレ、スマホ持ってなくて… 情報… 世間の常識とちょっと