見出し画像

トレタ社内におけるCFOの役割〜意思決定編〜

はじめまして。トレタでCFOをしている小国です。
管掌領域は経営管理部と組織開発部で、いわゆるコーポレート部門全般を担当しています。

トレタでは採用時のミスマッチを減らすことを目的に、noteやTwitterで積極的に情報を公開をしています。今回は、私が普段考えていることを文章にすることで、私および会社の雰囲気の紹介に繋げられるように試みます。CFOとして、重要度を問わずにさまざまな意思決定の議論に参加する私が、指針としていることや意識していることを、悩みや反省とともにご紹介します。

コーポレート部門にはさまざまな情報があつまる

事業の主役は、日々、お客様と接している営業部門や、プロダクトを企画・開発している部門であり、コーポレート部門は直接お客様と接することは多くありませんが、部門の特徴として、会社で起きていることの情報が多く集まります。具体的には、採用、新入社員のオンボーディング、給与計算、各種労務管理、購買稟議、契約書作成、法務相談、決算業務、資金繰り、そして、各種重要会議への参加等の活動を通じ、あらゆる情報へアクセスすることになります。

絶対に共有してはならない情報も多く扱うため、コーポレート部門のメンバーには高い職業倫理が求められます。しかし、部門を管掌する私の立場としては、単に業務の過程で知ることになった情報として留めておくのではなく、トレタをよりよい組織にするため、ひいては事業の成功に貢献するために、こうした情報をいかに活用するかが重要な役割だと考えています。

「数字・ファクト・ロジックで物事はシンプルに決まる」は本当か?

ライフネット生命創業者の出口治明さんは「数字・ファクト・ロジックで物事はシンプルに決められる」と仰います。私はこの言葉がとても好きで、数字を扱う者として、この言葉・考え方を常々意識しています。

しかしながら、この言葉が真実であれば、「数字・ファクト・ロジック」を積み上げれば同じ結論にたどり着くはずなのに、そうならないことが多々あります。それは、数字・ファクト・ロジックの3つの要素の中で、「ファクト」の取り扱いが難しいからで、そこがまさに私が介在価値を発揮すべきところだという考えに至りました。

3つの要素について見ていきましょう。 まずは「数字」です。どの会社でも意思決定に有益な数字を正確かつタイムリーに取得するための仕組み作りに注力されていると思います。それはトレタでも同じですが、これまでの努力の結果、一定以上のレベルの仕組みが存在しており、とても助かっています。もちろん、よりよいものにするために日々改善していく必要はあると思いますが、誤解を恐れずに極論を言えば、「数字」は、時間をかけさえすれば、誰でも同じように集計ができるのも事実です。

続いて、「ロジック」も、普段の意思決定においては、特別な才覚や目を見張るような地頭の良さまで求められることは多くなく、一定の訓練を受けていればそこまで難しいものではないでしょう。

ファクト(事実)はひとつであるとは限らない

そんな中、一筋縄でいかないのが3つめの「ファクト」ではないでしょうか。ファクトは「事実」なので、一見すると簡単そうな気もします。事実はひとつしかなく、不変であると思われがちです。しかし、ある事象が起きたときに、関わっていた人たちの認識・認知によって、いかようにも「ファクト」は変ってくるし、組織ではどのように伝わるかによって、全く異なる事実として認識されることが起きてしまいます。ファクトはまるで生き物のように変わっていくものなのです。

また、組織コンディションという非常に曖昧な要素も「ファクト」に含まれます。例えば、理論上正しいと思われる結論に達したとしても、正しく遂行できる組織コンディションになっていなければ、好ましくない結果を導く可能性もありえるからです。ですから、「数字・ファクト・ロジックで物事はシンプルに決められる」という一見自明な言葉であっても、実践することは簡単ではないのです。

一般的にCFOのような役割の人は「数字」と「ロジック」に比較的強いことが多いですが、それだけでは不十分です。組織コンディションであったり、社員がある事象をどう認識しているかといったような情報、つまり広義の「ファクト」まで意識したうえで日々の意思決定やそのための議論において発言することが必要になり、実際に、私のトレタにおける重要な役割になっていると考えています。

「Is the glass half full or empty?」~創業者との関係性~

「ファクト」の認識ついてもう少し掘り下げてみます。ある事象に対し、人によって異なる認識をもつのは、楽観的⇔悲観的の性格の問題もあります。「Is the glass half full or empty?」、つまり、コップに半分ほど水が入っている状態を、半分いっぱい(=楽観的)と捉えるか、半分カラ(=悲観的)と捉えるか、という話です。

一般的に、創業者には「コップは半分いっぱい」と捉える楽観的な人が多く、CFOやコーポレート部門には「コップに半分しかない」と捉える人が多いのではないでしょうか。トレタの場合はと言えば、、、はい、トレタも同じです。

創業者は将来のヴィジョンを大きく描き、一直線で向かっていくすさまじい推進力がある方が多いと感じています。私には到底できないことだと痛感しています。ただ、創業者は推進力があるばかりに、足元の状況とのギャップがでてしまうことがあり得ます。加えて、当たり前ですが、創業者は社内での発言力が大きくなります。そこで、CFOやそれに準ずる人が、客観的に状況を分析して議論をより地に足がついたものに戻したり、言いにくいことを伝える役割が求められます。

だからと言って、コップの水が半分しかないんだからと悲観的な立場で、毎度ネガティブなことをうるさく言っていればいいというわけではありません。発言が創業者に限らずとも、議論の参加者の立場がどちらかに偏りすぎていないかを感じとった上で、意図的にコップに水が半分もあるという楽観的な立場で発言することもあります。このあたりのバランス感覚が重要であるのですが、私にとっては悩みどころだったりします。

3つの要素がワークする条件を整えることがCFOの役割

意思決定の議論をする上で参加者が、同じ前提知識、特に制約条件に関する前提が共有されているかは重要で、これらも広義のファクトに入ります。組織固有の事情のみならず、時には外部要因などからも制約条件が生じます。制約条件を認識している人と、そうでない人とでは、同じ結論にたどり着くことが難しいからです。よって、参加者の情報の非対称性を埋めることは、多くの情報にアクセスできる私の重要な役割となります。そのためには、普段から透明性の高い情報共有を心掛けるということが挙げられますが、現段階では実現できてないことも多々あり、私にとって大きな課題です。

出口さんが仰っていた「数字・ファクト・ロジックで物事はシンプルに決められる」というのは真理だと思います。しかしながら、それがうまくワークするためには一定の条件があるのだと感じています。この真理を体現できるようにするには、優秀かつ同じ志を持つメンバーとともに、全員が気持ちよく働けるような環境を作り、透明性の高い情報提供をしていくことが条件で、その条件を整えるのが、コーポレート部門を任されている私の重要な使命なんだと思います。「ファクトの取り扱いが難しいんだよね」なんて、noteで書いているうちは、まだまだ使命を果たせていないと捉えて、頑張っていく所存です。

ということで、いろいろなポジションを募集しています。カジュアル面談からでも結構ですので、トレタに興味をもった方はお声がけください。