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03『白川郷を歩く1』

白川郷を歩く1

2009年8月29日
夜の10時過ぎ。僕は仮眠から目を覚まし、旅の支度を始めた。今思えば、これが最初の友人同士で自分達の運転で行く本格的な弾丸旅行だろうか。
この時僕らは21歳。今だってそんなにたくさんのことを知っているわけではないが、この時は今よりもっとなんにも知らず、今ほどたくさんのことを考えないでよいお子様の時代だった。

この日のメンバーは朝、草野球を一緒にしていたTYとMサンとYS。
まずは久野の山にMサンとTYを迎えにいき、次にYSを迎えにいった。

車に乗り込んだYSは淡々とした様子で言った 。
「朝の草野球のあと、パチンコで4万勝って、今日の旅行資金を稼いできた」
余談だがYSはこの時バイトをしていない。これ以前もバイトをしていない。そしてこの先3年間ほどバイトをしなかった。
まったく今も昔も破天荒なやつだ。

全員車に乗り込んで、運転の好きなMサンに運転席を譲り、霧だらけの箱根山を越えた。
長い長い国道1号線。頼れる相棒のカーナビが声をあげる。
「100キロ以上先、右折です」
みんな爆笑した。まだ言わなくていいやん、と。
国道1号線を走っている途中で8月29日は終わりを迎え8月30日になった。
先はまだまだ長い。この弾丸散歩の行き先は白川郷。別名「雛見沢」
そう、この頃僕たちの間では「ひぐらしの鳴く頃に」が流行っていた。

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