『さいしょのリノベーション@牛乳ビルその4』
その3はこちら。
https://note.mu/torches/n/n77994d1c2400
文:守屋佑一
2014/11/16 (土)その4
その衝撃的な部屋の有り様に僕たちは茫然とし、一旦屋上に出て一息ついた。
牛乳ビルの屋上からの景色は抜群で、リノベーションが完成した暁にはこの屋上でパーティーををしようと常々話をしている屋上だ。
素晴らしい天気に景色だが、その部屋の状況を打破する案が浮かんでこない。
金も無い、経験も無い、道具も無い、人も足りない。
地道にあの大荷物を一つずつ三階から運ぶしかないのか。
果たしてこの錆びだらけでぼろぼろの狭い階段でそうすることが可能なのか。
放置されているのは机やゴミ以外にも前の入居者の仕事道具と思わしきものまである。
いくら4年近くが経過しているとは言え、こちらで勝手に処分しても良いものなのだろうか。
ただ屋上で途方にくれていても始まらない。僕と大川直也は隣の母屋の牛乳屋の社長、つまり牛乳ビルの大屋さんに相談をしに行った。
前に書いたように、大屋さんも部屋の状況を全く知らなかったので、驚き、前の入居者の電話番号を教えてくれた。
また屋上に戻った僕たちは何度か前の入居者に電話をかけたけど電話に出ることはなかった。
でもとにかく、このビルに放置されたものをどうにかしないとトーチズは始動することができない。
放置されたものを外に出せたとしても、一体処分にいくらかかってしまうのか。
そんなことを考えているうちに一つの心当たりを思い出した。
「守屋佑一のこと1」で書いたが、僕の家はみかん農家もやっている。
畑は好きで普段から足を運び農作業に汗を流している。
2年ほど前、いつものように畑で仕事をしていたときに出会ったある人物。
きっとその人物がこの状況を打破するんじゃないか。
淡い希望を胸に僕は携帯電話のボタンを押した。
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