『さいしょのリノベーション@牛乳ビルその5』
その4はこちらhttps://note.mu/torches/n/n783bf93df6a6?magazine_key=m24fba2c5f1f7
文:守屋佑一
2014/11/16 (土)その5
牛乳ビルをリノベーションするためには、放置されたたくさんの荷物や機材をどうにかしなければならない。
でも、そのあまりの状態に僕たちだけでどうにかできるとは到底思えなかった。
藁にもすがる思いで僕が電話をした先は畑で出会ったとある人物だった。
そのとある人物とは、2年くらい前に畑で作業していたら声をかけてきた廃品回収のおじさんだ。
うちの畑には作物だけでなく、仕事で使わなくなったいろんなものが放置してある。その中にはトラックのタイヤのホイールなど、見る人が見ればまだまだゴミじゃなくお金になるものらしい。
廃品回収のおじさんはこれらの放置されているものが欲しいということで、僕に声をかけてきた。
こちらとしても、他に置き場所がないから畑に放置しているだけのもの。
さらに、お願いしたら心無い人が畑に捨てていってしまったものなどもおじさんは快く持って行ってくれた。
その時、またいろいろ廃品が出たら持って行って欲しいと思っておじさんと電話番号を交換した。それ以来電話することはなかったが、ついにその時がきた。
牛乳ビルに放置されているものにはロッカーやデスクなど金属製のものもたくさんある。きっと喜んでもっていってくれるはずだ。
さわやかな陽気の屋上と裏腹に少しの不安を抱えながら携帯電話に耳をすました。このおじさんがアウトなら、この大荷物たちを運べないかもしれない。
いくつかのコールのあと、おじさんは電話に出て、事情を話すと是非とも喜んでとりにくると言ってくれた。
沼津にいるが、高速道路を使って駆けつけてくれることになった。
回収以外にお金がかかるかもと冷や冷やしていたが、高速道路の代金だけでいいとも言ってくれた。
ようやく牛乳ビルリノベーションの見通しがたった。
でもこの時、正直僕はいくらプロのおじさんがきたってこれらの荷物を全て出すなんて絶対に無理だと思っていた。
明らかに階段の幅より大きいデスクやロッカー。だからおじさんには細々したゴミや鉄くずを持って行ってもらって運び出せないものは綺麗に掃除してトーチズ事務所で再利用しようと。
一緒にいた直也は絶対にそれは嫌だと言った。
彼はこだわりの強い人間だ。きっととことんこだわってすべて自分たちで作りたかったんだろう。
対して僕はとりあえず早く動きたかった。
だからあるものを使えばいいと思っていた。
とりあえず、そんなことを話ながら僕たちは屋上でおじさんを待った。
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