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Bloodborne / シルバーコレクション:火薬の狩人証について
Bloodborneシルバーコレクションの第8弾「火薬の狩人証」のご予約が受付中です。
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少々お時間がかかってしまいましたが、制作の過程を振り返ります。
■火薬の狩人証
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オト工房に端を発する異端の工房、『火薬庫』が発行した狩人証。
「つまらないものは、それだけで良い武器ではあり得ない」
フレーバーテキストもあいまって、印象に残っている方も多いと思います。
ここで語られているのは、もちろん『火薬庫』のポリシーですが、フロム・ソフトウェアさんのゲーム制作に対する熱意や矜持のようなものも感じ取ってしまうのは私だけでしょうか。
狩人証自体の形状は小瓶のようで、中には火薬とおぼしきものが詰められています。他の狩人証とは構造がまるで異なり、パーツ数も多くなりそう。つまり、検討することもたくさんあるということです。
■合金の開発
独特の色合いを再現するために専用の合金を開発しました。製品ではシルバーと銅、真鍮を配合することで望む色合いを表現。
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かなり微妙な違いのため、写真では確認が難しいものばかりですが、あらゆる配合や組み合わせを試しています。
「Bloodborne / シルバーコレクション:撃鉄の狩人証について」
かつて、撃鉄の狩人証でも同じように合金を開発しました。
もちろん時間や手間はかかりますが、専用合金ならではの納得感が色味や質感に生まれたと思います。
■火薬の色味再現
小瓶の内側、火薬部分。特有の鈍い輝きの再現も課題の一つでした。『星の瞳の狩人証』における瞳のように、複数の案をテストしています。
・塗装案
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塗装による再現を試みました。
塗装案のメリットの一つは、色味を再現するだけでなく緑青の発生も防げる点もあります。
・メッキ案
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黒いメッキで、色・ツヤともに再現する試み。
ツヤが強すぎるために、鈍い輝きにはなりませんでした
・燻し案
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燻しの黒さは、火薬の鈍い輝きに通ずるものがあります。燻してみたところ、それらしい雰囲気が得られました。また、磨くことで微妙なニュアンスも調整することができるため、表現の幅も得られます。
ところが、時間が経つと緑青が発生してしまいました。
火薬の狩人証は、蓋と底で完全に塞ぐ構造。
お手元で火薬部分のメンテナンスすることはできません。緑青の発生を防ぐ、もしくは緑青の発生しない金属を選ぶ必要があるようです。
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色に深みがあり、燻しをかけても緑青が発生しないもの。シルバー925を燻し、磨く方向に固まりました。
使用する金属を変更する。
決定としてはシンプルに思えますが、型を作り直す必要があります。つまり、原型から作り直しです。鋳造時の収縮率は金属によって異なるため、一から再調整する必要があるのです。
金属の種類を変える必要がある。
金属によって収縮率が違う。
型を作り直す必要がある。
原型のサイズを変える必要がある。
順序立てて説明すると上記の通り。
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出力サイズを変更することで、サイズを変えた原型を作成しました。これはデジタル原型の大きな利点の一つですね。
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造形の修正、石の枠の調整、材質の変更。
微調整の必要が多いため、デジタル造形ではない場合を考えるとおそろしいです……。
■小瓶側面の再現
小瓶の側面をぐるりと覆う透明の円柱部分。Bloodborneの世界観を考えた時、素材はガラス。これ以外は考えにくい思いがありました。
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ガラスを採用するうえで、心配なのは強度です。
製品版では硼珪酸ガラスを採用。熱や衝撃に強く、実験器具や調理器具にも使われる硬度の高いガラスです。
ある程度の強度はありますが、落下させたり強い衝撃が加わると割れてしまいます。お手に取る際は十分にお気を付けくださいませ。
■ガラスの質感再現
ガラスの透明感とツヤでは、使い込んだ雰囲気が出ませんでした。他の部分が古びた風合いを帯びているために、透明感が悪目立ちしてしまうのです。
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製品ではガラスを塗装し、特有のくもり具合を再現しました。
塗装による質感再現はTORCH TORCHではお馴染みの手法の一つ。全て手作業で、一つ一つ仕上げていることを考えると、ワンオフアイテムを制作するような手法で量産を行っていることになります。
効率的な方法も常に模索しているのですが、微妙なニュアンスを再現するとなると、どうしても人の目と手が重要になる局面ばかりです。
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塗装の色調も複数のパターンを試し、もっとも雰囲気の近いものを選んでいます。
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狩人証やダークソウルのリングコレクションの中には、新品にもかかわらず、古び、汚れ、歪んでいるアイテムもあります。
文字にするとおかしな響きですが、手に取った時に感じた風合いから、画面の中の世界と自分のいる世界が地続きになったような、不思議な感覚を抱いていただければ幸いです。
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∴桑原∴
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