最初の記憶(400字課題)

私は今暗闇のなかにいる。

懐中電灯をつけて周りを見渡す。たくさんの絵本とお菓子とぬいぐるみが狭い空間にちらばっている。そうか、これは洞窟探検の最中だったんだ! と思い出した。思い出したら、わくわくしてきて大好きな絵本を開いて。絵本の世界に飛び込んだ。懐中電灯に照らされて読む絵本はなんだかとっても幻想的ね。まるでキャンプに来たみたいだわ。みんな一緒にこっちにこればいいのに。どうしてお母さんもお父さんもおばあちゃんも妹も来ないの?

突然がたがたがたって音がして、暗闇の中に引き戻される。きっとこれは嵐だわ! と私は思って、ぬいぐるみ達と身を寄せあった。怖いよう、早く明るいところに行きたいよう。そうしたら嵐は止んだ。そして少し間が空いて「がたっ」という音がした。祖母が押し入れを開けたのだ。明るいところから祖母が出てきて、私は押し入れから飛び出して、祖母に抱きついた。押し入れの世界の冒険はこれにておしまい。

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