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子どもの頃、私はピアノを習っていた。自分が奏でたものが「音楽」という形になって自分の耳に届く快感が好きで、暇さえあればピアノを弾いていたものだ。 ただ、あまり上手くはなかった。だから、いつもいつも親や親戚から「下手だな」とか「また失敗しちゃったね」なんて言われ続けてきた。言われる度に、「そんなの自分が一番よくわかってるのに」なんて思って悲しくなった。 いつしか、人前でピアノを弾くことに怯えている自分がいた。知らず知らずの間に、親や親戚からの言葉が私の心に深く刺さって
コミュニケーションほど難しいものはない――。 人と接するたびに、そう思わずにはいられない。 私は、言語的なコミュニケーション――バーバルコミュニケーションが苦手だ。いわゆる「コミュ障」と呼ばれる類の人間なのかもしれない。 なぜ、バーバルコミュニケーションが苦手なのかというと、とっさの状況での言葉のやり取りができないからだ。これは、決定的な致命傷だ。現代社会を生き抜くためには、バーバルコミュニケーションは必要不可欠である。それができないということは、この社会からの