マガジンのカバー画像

エッセイ集―心のままに言葉を紡ぐ―

26
心のままに語ったエッセイ集。嘘偽りのない本音を、言葉にのせてぶつけています。
運営しているクリエイター

2019年5月の記事一覧

見えないが見える

 きらびやかで幻想的な世界が、私の目の前に広がる。だが、どうやらこの景色は他の人たちには見えていないらしい。同じ空間にいるというのに、この綺麗な世界を目にすることができないなんて、「少しかわいそうだ」とすら思えてくる。むしろ「かわいそう」なのは私のはずなのに――。    私は、いつも眼鏡を掛けている。仕事のときも、遊ぶときも、家でスマホを見ているときも、お風呂に入るときでさえ、ずっと掛けっぱなしだ。「家にいるときくらい外せばいいのに」と自分でも思うくらいだが、いかんせん見

続けること

 私はここ1ヶ月、noteから離れていた。仕事に追われて、noteにまで手が回らなかった――と言えば、言い訳にしか聞こえないかもしれない。実際、noteから少し離れたいと思っていたことも事実である。そう考えていたときに、ちょうど仕事が忙しくなったものだから、タイミングとしてはちょうどいいと思い、仕事に専念して一旦noteを離れることにした。  noteから離れていたこの1か月間は、ゆっくりできたかと言えばそうでもない。ほとんど休みの日もなく、ひたすら仕事に打ち込む毎日であっ

幸せの先を見てしまう

 思えば、あまり幸せと言える人生を送ってはこなかった気がする。父親を自殺で失い、自分は精神疾患にかかり、やっとのことで就いた正職という地位も失った。別に、不幸自慢をしたいわけではない。世の中を見渡せば、もっと悲惨な状況に置かれている人なんてたくさんいることだと思う。だが、それらの出来事は、私にとってはすべて耐えられないほどつらかった。この人生の中で、生まれてよかったなんて思ったことは一度たりともない。  それでも、人生の中で幸せだと思う瞬間は何度もあった。好きなアーティスト