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中庭同盟感想 - Eugene

おそらくこれを最後にしばらく感想文がかけなくなるのでここまでは書いておきたかった。相変わらず中庭感想シリーズ、最後のお話"Eugene"です。

ジーン視点のある1日のツインズのお話。

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悪夢で「時間通りに起きてきたことがなかった」と言われるジーンですが、朝に弱い模様。

「ナルは誰かさんと違ってお寝坊はしませんからね」
「はぁい」
返事の仕方が麻衣さんに似てません...?小野先生こういうの意識して書かれているのだろうか。

机の上は混沌で、床に転がったものを足で寄せる雑っぷり!笑
おにいちゃん、本当に色々ナルと真逆なんですね。

朝の挨拶(おそらくおはようのキス)を嫌がらせでするジーン。
ツインチャンネルは意識直通の会話とナルが言っていましたが、やっぱりどちらも意思を持って通信しないと自動で繋がるわけではないんですね。

「小さい頃は大西洋を挟んでも会話ができた」「今は国内にいてくれないと厳しい」「むりやりこじ開けて相手の意識に侵入することもできない」。
これを「能力が減衰期に入ったということで、まあ、めでたいことだろう」と思うジーン。
いなだせんせいの個人誌の方をお見かけする機会がありましたが、ジーンは自分の能力をすごく歓迎しているわけではないというか、「もしも無かったらなあ」と思ってる節があるように思います。

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お家で「ツインズ」と呼ばれているナルとジーン。
ルエラいわく「ナルがそっぽを向くのは、自分に都合の悪いときね」とのこと。きっとまだこの癖は治ってないんだろうな。作中でナルが視線をそらすところ探しまくろう。笑

「お父さん」「お母さん」呼びは普段していない。するときは、小さい不満を表す時。だだっ子ツインズかわいいな。デイヴィス夫妻も笑ってるし。

中学をサボって大学に潜入したり、高校をスキップして大学に入る為に猛勉強しているナル。しかもケンブリッジを目指している。この頃15歳くらいかな?そろそろ学校に押し込まれているのに嫌気がさして、出席日数を気にせず研究がしたいらしい。ジーンは普通に18まで学校に通って、そのあとのことはその時考えるとの弁。

私立中学は全寮制で、「この世にナルくらい団体行動に向かない人間もいない」のと「本人がSPRを離れるのを嫌がった」のでユージンと共に公立の中学に通っている。

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「ナルはスキンシップが苦手だ。本当に困るようなのでおかしい。無視できる人間なら冷酷無比な拒絶があるが、無視できない相手だとそれもできずに困惑する。だから、ベタベタ触ってやる。これはジーンとまどかの遊びだ。」

ナルの触られるの苦手なのはサイコメトリのせいと思っていたんですが、作中で「サイコメトリで人の心を読んだという話は聞かない」とジョンが言っているのでごく単純にスキンシップが苦手なのでしょうね。

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サイコメトリーの定義はサイトによってまちまちなのですが、多分本人がサイコメトリーの能力があると説明しているので「物に残った残留思念を読める」能力のことなのでしょう。モノ自体が残留思念を持っているのかしら...それとも、モノに触った人が残留思念を残していくのかなあ。どちらにせよ、悪夢で彼が読んだ記憶は少年がコソリに殺される瞬間まで残っています。コソリが来た後にその弟君がカードを触った可能性はとても少ないと思うし、櫛を持つことで真砂子の生存確認ができるということは、千里眼に近い方なんじゃないかと私は思っていたりします。

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ジーンから見たナルの人間観。ツインチャンネルもあるので、多分それなりに正確にそういう印象を持っていると感じ取っているのでしょう。

【カボチャかカボチャじゃないか】
・カボチャだと存在を無視されるし存在していることすら忘れられる。カボチャ判定が下った瞬間に顔も名前も消去される
・一応話しかけると最低限の応答はあるらしい

【かろうじて人間扱い(ただし、カボチャみたいなもの)】
・礼儀にかなった対応を受けるし、ある程度の配慮と誠意を期待できる。だが目の前にいないと忘れられる。
・マイナスのカボチャ人間とプラスのカボチャ人間がいる
・マイナスの方は、関わりたくないが都合上無視できない人間。顔と名前を覚えるし話しかけると返答(辛辣な皮肉を含む)がある。
・プラスのほうはナルにとって何かメリットのあることを学べる人間か、支援者か、弱者。
・ナルの責任ではどうしようもない範囲にいる"弱者"も無視はできない。「ああ見えても、結構正義漢なのだ、ナルは。英国紳士だから」。

【インナー】
・ごくわずかにいる、ナルが嫌うこと(ハグなど)をしてもなぜか許されてしまう人間。
・「他人を絶対ある線以上内側に入れないが、一旦入ってしまった人間には弱い」。
・嫌々でもゴリ押しすれば根負けして動いてくれる。
・「ナル自身ですら無視できない自分を持て余して怒っているふうだ」。
・思いっきりバカなことを言って無視されなかったり、抱きついても拒絶されない人間がこれ。
・インナーに入っている人間はジーン含め片手で足りるほど。
・リンは「彼は馬鹿なことを言うこともスキンシップを求めることもないので分からない」。でも、あれですね、「彼の現実」を読むと完全なるインナーでしょうね。

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おばかな事言って無視されないのは麻衣もだし自ら触れるくらいなので、麻衣は「インナー」だろうなあと思います。
イレギュラーズはどうかしら。目の前にいなくても存在を忘れられる事はないはずですが 笑(だって調査先にいても自ら協力求めてるものね)

「ナルは人に懐かないし、誰かを好きだと言っているのを聞いたこともない。誰かを構うこともない。積極的にコミュニケートしない」。

の割に麻衣のことは相当かまってあげてませんかね........ボス.......?
まあ、麻衣が臆さずナルに積極的に話しかけるっていうのもあるんですが、、

麻衣がみなしごという境遇を同じくした事のある「弱者」であること、ジーンと似ていたこと、ジーンのおかげ(とはナルも知らなかったけど)で能力を持っていた事。無視のできない存在になってしまったのは間違いないと思います。
それで、「ああ見えて正義漢」だから、寂しがりの麻衣のことを見抜いていたのでしょうか。どうなのか...

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ナルは何ものも積極的に好きではないんでしょうが、インナーの存在に自分で自分を持て余しているくらいには、自分の感情に鈍いんだろうなあとも思います。結果的に、彼の分類上「なんか無視できない困った相手」は一般論で変換すると「嫌いな事を許してしまう程度に好意を持っている相手」になるんじゃないかなあ。(「好意」の種類が恋愛にまで達することが果たしてナルの中であるのだろうか。イレギュラーズに振り回されてるうちにさらに人間ぽくなっていっている気はするけれど)

そして「キスしてひっぱたかれない限り嫌われていない」とのこと。キスを試みてひっぱたかれた人がいるのかな。笑

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ジーンは基本的に人間は好き。基本的に我慢できなくならない限りは好きだと思っている。だからといって、ナルの「インナー」みたいに、何されても許すというわけにはいかない、誰であろうと嫌なものは嫌だ。

だから、実はジーンの方が難しいのかもしれない。とジーンは自分を解釈していますが、ナルが研究以外に関してとってもおばかなだけで、ジーンの人間観はわりと普通なのかもしれません。
だって、「我慢できなくならない限り好き」というほど心も広くありませんが、私も相手が誰であろうと「絶対に嫌な事」はしないしさせないし、されたらどんなに長く濃い付き合いの親しい相手であろうと本当にダメです。「絶対に嫌な事」がごく極端なので一般的な人との間でほぼそういう事は起きないんですけど。

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ナルの授業の代返のために入れ替わった直後、さきほどでた授業の先生に出会ってしまい、お互いのフリを続けるツインズ。
ナルはジーンを真似て「にっこりと笑う」が、ジーンは「自分はいつもあんなマヌケな笑い方をしているんだろうか。後でチェックしておこう」と内心頭を抱える。えええ...w

「僕、あんな笑い方する?」
「するな、特に近頃」
「そ、そうかな」

「ナルがふくれっつらをすることはないと思うけど?」
「お前の真似をすると、自分が馬鹿になったようで情けなくなる」

双子の応酬がかわいい。そしてジーンはやり返すために頰にキスして、ナルは硬直。相手がジーンであっても、不意打ちされるとどのみち硬直するんですね。笑
(もしも毎朝の挨拶のたびに硬直してたら大変そうだ)

「ナルは憮然とした顔でため息をついた」。これは原作内で結構出てくる表現な気がします。そして、「怒鳴れない限り、勝負はついている」。
原作内でも怒鳴ることはないですね。(他人だから怒鳴らないのかもだけど...)だから、やっぱり彼に関わる日本支部の人たちは、彼にとってのちょっぴり特別なのでしょう。

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ジーンは良くも悪くもあらゆる境遇が特殊だからか、努めて楽観的なところがあるっぽいけど、朝に弱くて、ちょっとだけお調子者で、弟が大好きで、机の上がくちゃくちゃで、女の子とランチもする彼がなんだか普通の男の子でとても良かった。
あと双子かわいい。双子かわいい(大事な事なので何度でも言います)

「夢の中の彼」はいつも穏やかな笑顔を浮かべていますが、それについても色々と考察されている方がいておもしろかったので、いずれ許可をいただけたらまとめたいなあと思っています。

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