出会いの日 #02

#01からのつづき

鳴き声からふたつ分かったことがある。

ひとつ目は、赤ちゃん猫であること。
高く、かぼそい鳴き声がそれを教えてくれた。

ふたつ目は、赤ちゃん猫は我が家の外ではなく、内にいるということ。

ここから“本当の意味での捜索”が始まった。

今までは見つからなければ仕方ないか、くらいだった。
しかし、今となってはそこにいるのだ。

ここでふと疑問が湧き起こる。

「どこから入った??」

我が家は古い木造の一軒家。
私の祖父母の家で、空き家だったため私たち夫婦が住まわせてもらっていた。

住み始めて6年ほど経つが、その時初めて家の基礎を見つめながらぐるっと一周した。

家の中に通じる道は……



どこにも無い。
基礎の何か所かに通風口はあるが、
赤ちゃん猫が通れる隙間は無い。

だが、確かに通風口から鳴き声は漏れ聞こえてくる。

家の中に戻る。
鳴き声を辿る。

うーん、、、分からない…

「そうだ、床下に繋がる野菜室があった」

古い我が家には、台所の床下に野菜室がある。
床下は夏でも涼しいため、野菜などを長期保存できる先人たちの知恵の結晶がある。

しかし現代には冷蔵庫という便利なものがあるため全く使っていなかった。
むしろ、何年も開けたことのない扉である。
見たこともない何かを見つけてしまう恐怖から、避けて通っていたくらいである。

しかし、今はそんなことを言っていられない。
勇気を振り絞り、恐る恐る扉を開く。

床に寝そべり、頭を逆さにして野菜室を覗き込み、まずは周辺を見回す。



何もない。
少しホッとした自分がいた。

続いて懐中電灯を照らしながら、広範囲を見回す。



やはり何もいない。
またまた少しホッとしつつ、
次の瞬間、私は焦り出した。

焦り出した理由はふたつ。
ひとつは、私の捜索に驚いたのか、赤ちゃん猫の鳴き声が止まってしまったこと、
もうひとつは、このまま床下で命を落とされたら…という考えが頭をよぎったからだ。

正直言って、このときの私は犬派。
(猫も好きだったが、どちらかと言うと)
もうひとつ正直に言うと、このときの私の気持ちは、「救いたい!」というよりは「ここで死なれたら困る…」だった。

さて、どうしよう。

ご飯で釣ろうか。



近くのホームセンターでキャットフードを買ってきた。
モンプチの柔らかいやつだったと思う。

お皿に盛って置いてみた。



反応なし。

しかしそのうちに、再び赤ちゃん猫の鳴き声が始まった。

「良かった、まだ生きてる」

しかも、今までより少し大きいボリュームだ。
この辺にいるのでは?と、ある程度の位置を特定することができた。

洗面所の下だ!!!

#03へつづく