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占いと猫とトラジャのコーヒーvol.44~Calling You

バグダット・カフェという映画がある。

ラスヴェガス近郊の砂漠にたたずむ、さびれたモーテル"バグダッド・カフェ"。そこに現れたのは旅行中に夫と別れたばかりのドイツ人女性ジャスミンだった。家庭も仕事もうまくいかず、常に"怒り"モードの女主人ブレンダは、言葉も通じない珍客にストレスをつのらせるばかり。だが、いつしかジャスミンの存在は、この店をオアシスのようにうるおし始めるのだった……。初公開の1987年以来、世界中のアーティストがカヴァーした名曲「コーリング・ユー」と共に、多くの熱狂的な支持者を生み出した伝説の"ミニ・シアター"ムーヴィー。

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ジャスミンはとても生真面目な女性だ。清く、正しく、規則正しく。その花序がバグダット・カフェという、打ち捨てられたような場所に紛れ込む。なんとも気怠い雰囲気の中で社会不適合者な住民たちとじんわりかかわり合いができていく。終盤ほんの少し大胆になっていくジャスミンに親近感を覚えた。

Calling Youという曲は知っていた。単音の繰り返しのフレーズに乗せてJevetta Steeleの声が乾いた空気に転がる草のように通り抜ける。

なんとも美しい曲だと思う。

Calling You

ここのところ呼ばれることが多い。
まさに。呼ばれている。

ジャスミンは、終盤、自分を開放していく。
絵描きに自分のヌードを描かせ、肌に入れ墨を入れる。

全てにおいて厳格に生きてきたジャスミンにとって、己の欲望に忠実になることは、自分という人生を生きるための第一歩になったのだろう。

「開放」は、永遠のテーマかもしれない。

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