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めがね

もうすぐで授業が終わる。

あと少しで帰れるなんて思いながら、奈津美は6時間目の数学の授業を聞いている。

この関数を微分すると............

奈津美は数学が嫌い。先生が何を言ってるかさっぱり理解できないから。寝ようとしていた奈津美を先生が当てた。奈津美は戸惑った。その瞬間前の席の和馬が教えてくれた。「6x+4だよ。」奈津美は小さい声でありがとうと言って、6x+4と答えた。和馬はこの学校で頭がいいことで有名。奈津美はいつも彼に助けられている。

キーンコーンカーンコーン 

チャイムが鳴った。

清掃をしてSTをして学校を出る。

帰りの道中で、奈津美はさっきのことを思い出していた。奈津美は彼に淡い恋心のようなものを抱いていた。私は奈津美と一緒に帰った。

私は奈津美に質問してみた。

「奈津美って前の席の和馬君のこと好きなの?」と聞くと、彼女の顔が少し赤くなった。「へ?何のこと?別に好きとかじゃないよ」と彼女は適当に答えた。

私はふ~んほんとかなと思いつつ私と奈津美は最寄り駅についた。

私は4個目、奈津美は6個目の駅で降りた。

奈津美は最寄りで降りたとき、高年齢の英一に絡まれた。英一は若者に変に絡むことで有名。それは奈津美も知ってた。

英一が話し掛けて来た。

「やぁ姉ちゃん彼氏いるの? お前どうせ勉強出来んのだろ!ばーかばーかwww」

奈津美のイライラは頂点に達した。ここでこの老人に言い返すのはなにか違うと思ったから、早くその場から逃げた。

あと家まで1kmぐらい。
道にメガネが落ちてた。奈津美は不思議に思って、それをカバンに入れて家に持って帰った。
今日の奈津美はヒソヒソしてた。
ただいまも言わずに階段を上がってると、お母さんが「奈津美おかえり。なにかあった?ただいまも言わないで」「ただいまお母さん何でもないよ。じゃあちょっとやりたいことあるから。」奈津美はギクってなった。親の勘が凄いことを感じた。

部屋に入って、カバンからメガネを取り出した。
メガネを掛けて見ると、なにかの数値が見えた。それを持って翌日の学校に行こうと思った。

メガネを掛けて登校した。
奈津美は私にこう話した。「ちょっと目が悪くなったんだよね」

私は奈津美の態度がいつもと違ったのは、この時に気づいた。教室に入ると、和馬が異変に気づいて話しかけてきた。「ん?なんでメガネつけてるの?」「いや〜目が悪くてね。今までは大丈夫だったんだけど、もうダメになっちゃったからさ。」
(メガネに和馬8と写った。)

奈津美が私に声を掛けてくる。
「今日って半日だっけ?」

私は「うんそうだよ。」と答えた。
(メガネに私6と写った)

1時間目は数学。
奈津美は寝始めた途端数学の教師が当ててきた。

和馬が答えを教えてくれた。「x=5だよ。」
「x=5です。」奈津美が答えた。

その教師が、嫌味を言ってきた。「これぐらい自分の頭で考えろよ。お前はバカか。」
(数学教師5→3)
(和馬8→9)

アレ?なんなんだろうこれ。
このメガネの表す数字が何となくわかってきた気がする。

2時間目は古典。
奈津美は授業を真面目に受けることなく、私とのおしゃべりに夢中になっていた。気がつくと、チャイムがなった。

次の授業は体育。
今日の授業はレクみたいな感じだった。
ドッヂボール。
男対女
男の投げたボールが奈津美の頭に当たった。
奈津美は当たった瞬間に足を捻った。全然歩ける様子じゃないから、和馬がおんぶをして保健室まで連れてってくれた。「大丈夫?痛かった?」と和馬が質問してくれた。「うん痛かったよ。結構本気で投げてきたから怖気付いちゃった。笑」
保健室に着いた。
保健室の先生が和馬に会釈してた。
(和馬9→10)
また、和馬の数字が上がった。

奈津美は和馬のことが好きになってた。

保健室で休憩してる時に、チャイムが鳴った。

キーンコーンカーンコーン

奈津美はクラスに戻って清掃とSTを終えて、私と奈津美は駅まで歩いた。駅のホームで和馬くんが、同じ電車を待ってる。

奈津美は、今日も英一に絡まれるのかと思うとゾッとした。私が降りて、2つ目の駅で奈津美は降りた。その時、和馬も一緒に降りてたのが見えた。

和馬がこっちに気づくことなく行ってしまった。

奈津美が家に帰ってる途中で
誰かが言い争ってる様子だった。

声の方に行ってみると、
英一が誰かに話しかけていた。

奈津美がちらっと見ると、和馬だった。
(英一 5)

「最近の若者は、優先席に座りやがって!」英一がボヤいていた。「おい!そこの野郎!」和馬は無視してた。英一が凄い剣幕で和馬に近づいた。
「お前どうせ馬鹿だろ。馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿」和馬はそれに耐えきれなくて、「うるさい!クソジジイ!」そう言って、和馬はその場から逃げた。

奈津美のメガネにこう写った。

(和馬10→5)
奈津美は涙目になりながら、走って家まで帰った。
そんなはずじゃないって思いつつムカムカを抑えるために、寝た。
目が覚めて、あのことを思い返していた。

奈津美は和馬の学校の姿は偽りのそれだと気づいた。奈津美は前にお母さんから言われていた言葉を思い出した。「ケンカは同じような人間がするんだよ。」その時の奈津美はよくわからなかった。でも、今になってやっとわかった。
それから、奈津美の目が変わった。
そして、態度も。

翌日の学校でも奈津美はあのメガネをつけて行った。和馬の数字はあのままだだった。でも、奈津美に対する対応はあの老人とは違った。それで余計に奈津美はゾッとした。

学校は今日も半日。3時間目の授業はホームルーム。もうこの授業が終わる。奈津美は、廊下側の席の一番後ろの席から窓の外を見ていた。その時、とある男のが気になった。なつみのメガネ10+と写った。その男の名前は、「森下」。髪の毛がボサボサでいつも窓際の席で本を読んでる寡黙な男子。メガネで写った数字の中でこんなのは初めてだった。奈津美は少し彼に興味を持ち始めた。

チャイムがなったその瞬間に雪が降り始めた。2年一組の生徒は雪が降り始めたことで、少し興奮しているようだった。奈津美は私と帰るのが日常だったが、奈津美は私に今日は用事があることを伝えた。それから、奈津美は森下のところに行った。

「ねぇ森下君今いい?」
森下はボソボソ小さな声で「いいけど」と返した。
森下は今読んでた本を閉じて、奈津美の顔をみた。奈津美は森下に話しかけた。

「あのさ、今日一緒に帰りたいんだけどさ、いいかな今日予定ある?」「え?これといった予定はないからいいよ」と森下は応えた。

学校からの最寄り駅に2人で歩いて行った。奈津美は不機嫌だった。奈津美は話しながら駅まで行きたいのに、森下はヘッドホンをつけて駅まで歩いてる。奈津美は森下に何かを言いたそうだったけど、それは出来なかった。10分程度歩いた頃2人は駅に着いた。奈津美は電車内で立ちながら本を読んでいる森下にやっと勇気をだして話しかけた。

「ちょっとカフェに付き合ってよ。予定無いんだよね。」森下は二つ返事で承諾してから、また本を読み始めた。

そこから20分が経ってから6つ目の駅に着いた。改札を抜けてから見たそこは雪でいっぱいだった。森下が奈津美にどこのカフェかと聴いた。

「目と鼻の先だ」とムスっとした言い回しで言われた。2人で歩いている間会話はあまり無かった。

森下がさっきから変な行動をしている。これでも高校生かと奈津美はこの時思っていた。

「ねぇコレ見て。雪だるま。えへへ。なんか雪を見るとこういうの作りたくなるよね。ごめんねなんか。」奈津美の心の中で少し異変があった。なんだろう。今はよく分からない。でも異変があることは間違いない。

森下の素っ頓狂な行動であっという間にカフェに着いた。

店に入るなり、店員さんが注文を聞きに来た。
「私はオレンジジュースとパンケーキ。僕はブラックコーヒーとスイーツタルト以上でお願いします。」奈津美はさっきあったものを取り出して森下にいつも思ってたことを聴いてみた。

「森下君っていつも1人で窓際の席で本を読んで誰とも話すことなくいるけどさ、このクラスで何かあったの?」それを聴いた森下は3分程度黙った。
奈津美は地雷を踏んだかと思った。その時注文していた商品が来た。それを少しづつ食べながら、森下が口を開いた。

「あのさ、この話結構重たくなるけど、大丈夫?」さっきまでの口調とは異なる強い口調で聴いてきた。
「大丈夫だよ。」それを聴いてから、森下が淡々と話し始めた。
「この話は高校1年生の頃のことなんだけど。僕が高1の時に鬱になったんだよね。僕その時初めて気がついたんだけど、精神疾患を病気だと思ってない人間がいることを知ったんだ。それが僕の親とか周りの人間だったんだ。僕がそれになった時周りの人間に相談しようと何度も思った。でも、その相談をする前に少し世間話するでしょ。その時の話の端々にん?なんか違うって思ったんだ。」

「ほうほうそれで?」

「僕はそれで人間の本質的な何かを見れた気がするんだよね。それでさ、今まで僕が友達だと思ってた人間たちが、僕がそれになった時、気色悪いだとか、アイツは甘えてるとか言って僕の周りから消えていったんだ。だからいつも1人なんだよね。でもさ………。」

奈津美は納得した。頭の中にあったものが線で繋がった。奈津美は森下の最後の言葉が引っかかった。さっきの言葉の最後にゴニョニョゴニョニョ言ってたところが奈津美はきちんと聞き取れなかった。

「だから、本を読んでるのか。家はここら辺なの?」

「うんそうだよ」

「あのさ、でも正直なところ1人はもう飽きたんだよね。これをさっき言いたかったんだけどさ、なんか告白のように聴こえるじゃん。だからね。」奈津美の耳が赤くなってきた。
「あっあのさ…………」2人が同時に話し出した。変な雰囲気になって2人は店を出た。

2人が店から出て歩いて5分ぐらい経った時に英一が来た。奈津美は嬉しかった。これでみれるやっと見れる。そう思っていた。

が、想定外のことが起きた。「やい兄ちゃん。今からハメるのか?おん?やるんやろ?こんなのぺったんことやるのか?お前は馬鹿だな〜」と言って絡んで来た。「いや〜そうなんですよ。よくわかりましたね。じゃあ楽しみなのでまた。」そう言って森下は、英一のところから抜け出した。

「ごめんね。さっきあんなこと言ってゴメン。」と森下が頭を下げてきた。奈津美はさっき感じた心の中の異変をもう一度感じた。

この丁字路で2人が分かれる前のとき、森下が「あっちょっと」と言ってしゃがんだ。その後、自動販売機に行って何かしらの飲み物を買いつつ、何かを捨ててた。

「あのさ、森下君私の彼氏になって欲しい。」奈津美は勇気をだして言ってみた。今胸のドキドキが止まらない。森下が「あの、ちょっと返事待ってもらってもいい?」そう聞いてきた時、奈津美はないかも。あぁ終わったかもなんて感じてた。


翌日森下があれを言ってくるなんて思ってもいなかった。奈津美はこれからの生活が楽しみだった。

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