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出ていく喜びとその悲しみ

あと少しでこの生活も幕を閉じる。
長いようで短かった。ありきたりな感想だけど、僕はそう感じた。

ここの生活で楽しかったのは、先生との対話だった。僕は『トラヤヌスの過去』でも話した通り、1年のある頃から、周りの人間との会話が難しくなった。僕はその時から好きな科目の先生と話す時間が至福の時間だった。特に世界史の先生は思い入れが深い。その先生はとても温厚かつ体の柔らかい人。

僕が適応障害になって少し学校に行けなくなって彼と話すことが少なくなった。最近彼の最後の授業が終わった。僕はその時に、抱えていた悩みを打ち明けた。彼は僕に、教員になる前にしていたことを色々話してくれた。

彼は僕の背中をポンっと押してくれた最初の人だった。

僕はあと少しでこの高校から出る。

正直、悲しみ?そんなのないだろうと僕は思っていた。でも違った。胸から込み上げてくるものが止まらない。

卒業できるのは嬉しいけど………

なんかそんな気がする今の僕。

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