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「切り絵で世界旅」ゴンドラとマッジョーレ教会(ベネチア/イタリア)ビール片手に味わった至福の時間

 運河と路地が入り組んだ迷路のような街並みが美しく、一度足を踏み入れたら最後、誰もがその魅力にとりつかれてしまう水の都ベネチア。どこをとっても絵になる風景に出くわす。口から出るのは感動の溜息ばかりである。

 その中でも「ああ、この風景は一生覚えておきたい。死ぬ間際でもきっと思い出すだろう」と確信したのが、サンマル広場の一角にあるカフェからの夕暮れの風景だ。海との境界部分は、ゴンドラを陸に上げやすいように海に向けて傾斜している。


 杭に綱で繋がれていたゴンドラが波が打ち寄せるたびに、生き物のように静かに揺れる。対岸には「水辺の貴婦人」と呼ばれるサン ・ジョルジョ・マッジョーレ教会がシルエットのように浮かんでいた。
 カフェでツナピザとビールで喉と腹を満たしながら、夕陽を背景にゆらゆらと揺れるゴンドラと、ルネッサンス建築を代表する壮麗な建築物をぼんやりと眺めていると、至福ここに極まれりの感を抱く。ベネチアを舞台にした映画『ベニスに死す』で使われたマーラーの交響曲第5番第4楽章アダージョが脳内に流れた。

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