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「切り絵で世界旅」ザビエル像(マラッカ/マレーシア)マラッカでザビエルに出会う

 マラッカと聞くだけで心震える自分がいる。マラッカはマレーシアで最初の国、マラッカ王国として誕生した場所であり、東西貿易の拠点として栄えた。明の鄭和の大艦隊が寄港したり、ヨーロッパ列強の進出を許すなど、数々の歴史の舞台にもなっている。

 そのマラッカにいる。1511年、この地を支配したポルトガル人がマラッカ海峡を望むセント·ポールの丘にサンチャゴ砦を作り、1521年にはキリスト教布教のためにセント·ポール教会を建てた。だが、今は埋め立てにより海峡は遠くなり、教会は屋根もなく、廃墟になったままだ。それでも取り壊されずに残っていることが素晴らしい。
 そして教会近くに人物像が建っていた。日本で初めてキリスト教の布教活動をしたイエズス会の宣教師、フランシスコ·ザビエルであった。

 1506年にスペインに生まれたザビエルは、カトリックをアジアへ布教するために、インドのゴアを拠点にして布教活動を行い、1945年マラッカに滞在した。ここで出会った日本人のヤジロウたちを連れて1549年日本へ渡る。2年間の布教で鹿児島、山口、大分を中心に信者を増やした後、いったんゴアに戻り、日本で信者を増やすには、日本文化に影響を与えている中国での布教が必要と考え、マカオに渡る途中の1652年、46歳で病死した。それにしても宗教的情熱とは、地球を半周するほどの強烈なものだと感心する。

 あれ? 日本史の教科書に掲載されていた絵(神戸市立博物館収蔵)と違って、ザビエルの頭頂部が禿げていない。実は、あれは頭頂部を剃る「トンスラ」という独特のヘアスタイルらしい。髪のあるなしで随分と印象が違うものだ。

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