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「切り絵で世界旅」ボーボリ公園のネプチューン噴水(フィレンツェ/イタリア)妻のために造ったイタリア式庭園の傑作

 ルネッサンス芸術を産んだフィレンツェの偉大なパトロン、メディチ家が住んでいたピッティ宮殿を見学したあと、裏側にあるボーボリ公園を散策する。やけに広い公園である。幾何学模様の小道にはオベリスクや銅像、噴水などで飾られ、なだらかな坂を上がると後方に宮殿全体が見渡せる。自然を愛するコジモ・デ・メディチの妻エレオノーラのために造られたものらしい。

 ヨーロッパでは、自然を再現した日本式庭園とは真逆の幾何学模様の庭園に出くわすことが多く、庭に対する美意識の違いを感じる。その西洋庭園もイタリア式、フランス式、イギリス式と分けることができる。簡単にいえば、イタリア式は斜面を生かしたテラス式、フランス式は平面幾何学式、イギリス式は風景式。ボーボリ公園は最初で最も重要なイタリア式庭園といわれている。ちなみに日本では、須磨離宮公園がこのイタリア式である。


 切り絵にしたのは、庭園中央にあったネプチューン噴水。岩に立つ海の神ネプチューンの下にはナイアドとトリトンがいて、ネプチューンが三叉でトリトンを刺し殺すシーンだ。9月の空と池の水の青さの中にネプチューン像の白さが輝いていた。

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