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「切り絵で世界旅」兵馬俑(西安/中国)実物大の兵馬俑が6000体以上。リアルな再現性に驚嘆する!

 1974年、井戸を掘ろうとしていた農民が、地中の中から陶片を発見した。これをきっかけに兵馬俑坑の発掘が進められ、東西230m。南北62mの坑から実物大の馬や戦車、兵器のほか6000体を超す兵士の陶俑が掘り出されて世界的に注目された。ちなみに兵馬俑の「俑」とは人形のことである。

 私が西安を訪れた理由は、唐代に長安と呼ばれていた街並と西安東部にある兵馬俑を見たかったからだ。歴史の教科書では知っていたものの、やはり実物を観たい。
 兵馬俑坑博物館は発掘現場の跡をそのままドーム状の屋根で覆って公開されている。杭は全部で3つあり、その他に文物展示館とパノラマ映画館、さらにはレストランとショップも併設されている。

実際の兵士を模して作ったものに違いないほどリアル


 その中で一番スケールの大きな1号杭は、まるで巨大な体育館のよう。中に入って2階から観ると、整然と並ぶ兵士俑の膨大な数に圧倒される。そして目を凝らしてみると、実物大の兵士俑のリアルさに固唾をのむ。顔の表情や武具なども一人ひとりすべて違う。実際の兵士を模して作ったものに違いない。気が遠くなるような時間が必要だ。
 我々は対象物を再現する場合、古代は埴輪のような漠然としたイメージでしか再現できなかったが、時代が下るに従って徐々にリアルな表現方法を身につけたのだと思い込んできたのではないか。ところが、そんな固定概念は見事に粉砕された。スーパーリアリズムというべき再現性の高さ。人類は昔からスゴイ能力を持っていたことに感動さえしたものだ。

ロビーのスクリーンに映し出された兵士たちの顔


 すべてを見終わって、騎射武士俑のレプリカとDVDを購入した。出入り口付近には、兵馬俑杭を発見した農民の爺さんが自著にサインをしていた。私はDVDをその前に差し出したところ、ふんと笑い、手で払いのけたものだ。

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