バトグラ観戦ガイド~ロビーレジェンドに寄せて~

0.はじめに

 いよいよバトルグラウンドの公式大会「ロビーレジェンド:レイドリーダー」が開催されますね!!今回は、主に普段バトグラの観戦をあまりされていない方に向けてのガイドの様なものを書ければと思い筆を執りました。
公式記事:第一回バトルグラウンド:ロビーレジェンド「レイドリーダー」は今週末開催! - ハースストーン (playhearthstone.com)
BeerBrick記事:バトグラ公式大会「ロビーレジェンド:レイドリーダー」4月3日~4日に開催! - BeerBrick Hearthstone
 申し遅れました、私はとっぽといいます。日本語対応された頃からハースストーンをはじめ、闘技場→構築→バトグラと主戦場を移してきました。今はほぼバトグラしかしておらず、APサーバー12k程度の実力です。

1.バトルグラウンド(バトグラ,BG)とは?

 まずは、バトルグラウンドについて簡単に説明しようと思います。詳しくは公式サイト(古い)やハースストーン日本語wikiなどを参照ください。

①どんなゲームか

 オートチェスと言われるようなタイプのゲームです。8人のプレイヤーが競い合い、「雇用フェイズ」と「戦闘フェイズ」を繰り返してダメージを与えあい、ライフが0になったものから脱落していくという流れです。
 プレイヤーはゲーム開始時にランダムに提示された選択肢の中からヒーローを選び、そのヒーローに応じた特殊な能力を有して試合に挑みます。「雇用フェイズ」では、時間と資金のある限り自分の部隊を整えることができます。一方、「戦闘フェイズ」では、ランダムに選ばれた一人の対戦相手と戦います。この時、戦闘は全て自動で行われ、負けた側は生き残った相手の部隊等に応じてライフが減ります。これを最後の一人になるまで繰り返していきます。(要約?
※②~④でもう少し詳しく説明しますが、不要であれば飛ばしてください。

②ヒーローについて

 ヒーローは2022/4/2現在79種類存在します。ゲームの開始時には、この中からランダムに4体が提示され、プレイヤーはどれか1体を選択します(バトルパスを持っていなければ2択)。各ヒーローには固有の能力(ヒーローパワー)と固有の相棒(バディ)があります。ヒーローパワーは、(1)雇用を有利にするもの、(2)戦闘を有利にするもの、(3)自分の部隊へのバフを行うもの、(4)その他特殊なもの、の4区分に大別されます(分類は諸説)。バディは、試合開始後にバディーメーターをためることで入手できます。バディにはヒーローパワーと相性のいいものが多く、入手することで更なる戦力強化を図ることができます。ヒーローパワーやバディは必ずしも均衡が取れているわけではないため、ヒーローによって強さが異なります。何が提示され、どれを選ぶかは初めの一歩でありながらも非常に重要な分岐点となります。

ヒーロー選択画面例
(ヒーローの中央右の数値は装甲で、使用状況や戦績等に基づいて付与されている。)

③雇用フェイズについて

 雇用フェイズでは、ミニオンの雇用・配置・売却、ボードの凍結・更新、酒場のアップグレード、一部ヒーローパワーの使用を行うことができます。
 まず、雇用フェイズ開始時に全プレイヤーにコインが一律に付与されます。1ターン目は3コイン、2ターン目は4コイン、・・・8ターン目は10コインの様に増加していき、8ターン目以降は10コインで固定になります。前記の行動を行うためにコインが必要となります(一部無料のものあり)。このコインがなくなるか、あるいは一定時間が経過すると雇用フェイズは終わります。雇用フェイズ終了時にコインが残っていたとしても、次の雇用フェイズには持ち越されません。
 ミニオンは酒場(ボードの相手側)から3コインで購入でき、購入したミニオンは手札に加わります。手札のミニオンをボードの好きな場所へ配置することで自分の部隊となり、戦闘フェイズで戦ってくれます。配置したミニオンは雇用フェイズ中であれば好きな場所へ移動させることができますが、手札に戻すことはできません。不要になったミニオンは、ボードへ配置した後に売却することができ、売却によって1コイン得ることができます。酒場のラインナップは雇用フェイズ開始時に自動的に更新されますが、ボードの凍結を行うことで更新せずに保留することができます。また、雇用フェイズ中にコインを支払うことでボードの更新を行うこともできます。
 酒場に登場するミニオンは、BANと酒場グレードによって異なります。BANはゲーム開始時に決まり、ゲーム中に変更されることはありません。全部で8種類の種族の中からランダムに3種族がBANされ、5種族のみでゲームは行われます。また、各ミニオンには1~6のグレードが設定されており、ヒーローパワー等の影響がなければ自分の酒場グレード以下のミニオンのみが酒場に並びます。酒場グレードは1からゲームが開始し、決められたコインを支払うことで次のグレードへと上げることができます(最大6)。

雇用フェイズの画面例

③戦闘フェイズについて


 戦闘フェイズではランダムに選ばれた1人の対戦相手と戦闘を行いますが、戦闘フェイズが始まってからは一切介入を行う事ができません。互いの部隊のミニオン数の多い方が先攻を取り(同数ならランダム)、先攻側から1体ずつ交互にミニオンが攻撃を行います。攻撃は左から順に行われるため、雇用フェイズ中に配置を変更しておくことで攻撃順を調整できます。攻撃対象はランダムに選ばれますが、挑発能力を持つミニオンがいれば挑発ミニオンの中から選ばれます。戦闘を行ったミニオンは相手の攻撃力分だけ体力が減少し、0以下となったら破壊されます。こうして戦闘を繰り返し、自分の部隊が全て破壊されたプレイヤーが負けとなります。負けたプレイヤーは、ボードに残っている相手ミニオンのグレードと相手の酒場グレードの合計値分のダメージを受けます。ダメージを受けた結果、残りライフが0以下となったら敗退です。ライフが残っていれば次の雇用フェイズへと移行します。この際、ボードのミニオンは戦闘フェイズ前の状態に戻ります(破壊されても戻る、攻撃力や体力の増減も元に戻る)。
※2022/4/2現在は通称「15点バリア」と呼ばれるシステムがあり、最初にライフが0になるプレイヤーが現れるまでは、一度の戦闘フェイズ受けるダメージは最大15までとなります。

戦闘フェイズの画面例

2-1.バトグラの見どころ

 では、私の思うバトグラの見どころについて説明していきます。

・ヒーロー選択

 BANや狙いたい順位、その人の性格や各ヒーローの理解度によって選択が変わってきます。また、大会ではルールによってもヒーロー選択が異なってきます。自分ならどのヒーローを取るか考えながら見るのもおすすめです。

・序盤~中盤の進行

 基本的にミニオンを雇用することにコインを使用すると、短期的に強い部隊にすることができます。一方で、コインをグレード上げに使用すると、次のターン以降により強力なミニオンを購入するチャンスが訪れるため、長期的な戦力強化を図ることができます。対戦相手と比較して、グレード上げが遅れすぎると挽回が厳しくなり、一方で早すぎると戦闘で負けてライフを失いやすくなるため、程よいさじ加減が求められます。

・トリプルからの発見

 バトグラでは同じミニオンを3枚入手するとトリプルミニオン(ゴールデンミニオン)を作ることができます。トリプルになるとスタッツや効果が約2倍となることに加えて、トリプルミニオンを場に出した時に報酬の呪文をもらうことができます。報酬の呪文を使用することで、トリプルミニオンを場に出した時の自分のグレードよりも一つ上のグレードのミニオンを発見(ランダムな3枚から選ぶ)することができます。どのグレードのミニオンを発見しにいくのか、3択からどれを選ぶのか、そもそもどこまでトリプルを狙うのか、などが見どころです。

・編成の組み方

 バトグラをプレイしたことのある人は皆悩んだことがあるはず、どう編成を組んでいくかというのは正に見どころです。トリプル報酬から狙うのか、グレードを上げて探しに行くのか、そもそも何を狙うのか、対戦相手や状況によってどう変えていくのか、などなど。
 少し編成の説明をします。バトグラの編成には、「スタッツ」「毒」「手数」の3つの要素が存在します。これらの要素は概ね3すくみの関係にあり、「スタッツ」は「毒」に弱く、「毒」は「手数」に弱く、「手数」は「スタッツ」に弱い、といった関係になっています。種族によって得意とする要素が異なるため、BANによってどの編成を狙うのかを考えていく必要があります。これは対戦相手にとっても同じであるため、メタや読み合い等が発生します。(※詳しくは以前の私の記事などを参考ください。)

・終盤の読み合い

 終盤になってくると各プレイヤーの凡その編成が定まってきます。対戦相手の編成については画面左側のヒーロー画像にカーソルを合わせることで確認ができ、「獣4」や「マーロック6」のように編成の中で最多の種族とその数が表示されます(同数の場合は「混成ミニオン軍団」、無種族のみの場合は「(空白)」)。こうした情報と前回対戦した時の情報を基に相手の編成を予測し、戦闘を有利にするための対策を講じていくことになります。対策となるミニオンを採用したり、配置を変更したりするだけで大きく有利不利が変化することもあります。ある程度バトグラをプレイしたことがないと難しい話かもしれませんが、終盤の読み合いは大きな見どころです。


2-2.「ロビーレジェンド:レイドリーダー」ならではの見どころ

 ここでは、筆者の思う「ロビーレジェンド:レイドリーダー」ならではの見どころを紹介していきます。

・全員上手すぎる!!

 今回の出場者は、各サーバーの上位16名同士での戦いをくぐり抜けて来た猛者たちです。漏れなく全員上手すぎるプレイヤーと言えるでしょう。バトグラをプレイしたことのある方向けに補足すると、普段のレート戦であれば平均順位が3.0位を切るような戦績の神域と言える方々です。1位をとっても+50以下、8位を取ろうものなら-140以上されるような世界だそうです。

・ポイント制

 冒頭で紹介した記事にもある通り、「ロビーレジェンド:レイドリーダー」ではポイント制が採用されています。1発勝負の大会と異なり、自身のポイントや相手のポイントを考慮してのプレイが見られると思います。特定の人が同卓者の共通エネミーの様になったり、1位を狙わずに下位落ちを避けてポイントを稼ごうとしたり、はたまた一位以外は意味がないという様な状況もあり得るでしょう。そうした場面で上手すぎるプレイヤー達がどんな戦いを繰り広げるのか楽しみでなりません。

・中国勢の参加

 少しニッチな話になりますが、「ロビーレジェンド:レイドリーダー」には中国サーバーから4名が出場します。普段は中国サーバーでプレイしている人の配信などを見る機会がないため、どのようなメタとなっているか気になります。中国勢に限らず、配信などをされていない方も多数参加されているのでどのようなプレイングが見られるか楽しみです。

・日本から4人出場!!!!

 敢えて最後に持ってきましたが、日本からはなんと4名が出場します!!!!予選を勝ち抜いた方の所属国が公開されていますが、4名も参加しているのは日本と中国のみという快挙です。日本コミュニティはレベルが高いと言われていますが、世界大会でもその強さを遺憾なく発揮していただければと思っています。日本勢頑張れ!!そして楽しんでください!!

・ワイプ

 今回の公式配信では、視点プレイヤーのワイプも表示されます。酒場や発見、戦闘などへのリアクションを見ることができ心揺さぶられます。ガッツポーズや喜びの舞いなどが見れるのはアツいですね!
 

3.バトグラ配信で耳にする言葉

 最後にバトグラ配信でよく耳にする公式の用語ではない言葉について、まとめておきました。日本語配信を見られる際に参考にしていただければと思います。(以前書いた記事の焼き直しです。) 箇条書きで簡単に説明していきます。語源や内輪ネタのような言葉には基本的に触れません。

<ミニオン関連>

【スタッツ、サイズ】ミニオンの攻撃力+体力。
【アタック、頭】ミニオンの攻撃力。
【ヘルス、けつ、タフネス】ミニオンの体力。
【スケーリング】ミニオンのスタッツを上げること。縦/横という表現が用いられることもある。縦:数体を強くする。横:全体的に強くする。
【聖盾、盾、ディバシ】聖なる盾およびそれを持つミニオン。
【3way、薙ぎ払い、横薙ぎ、隣接攻撃】洞窟ヒドラやエネミーリーパー等の隣接するミニオンへもダメージを与える能力およびその能力を持つミニオンのこと。
【トークンミニオン】野良猫、タイドハンター等の雄たけびでミニオンを召喚するミニオン。野良猫、タイドハンターは本体や親、召喚されたミニオンはトークンや子と呼ばれることが多い。
【リフレッシャー】断末魔や蘇りでメカを召喚するミニオン。ハジキロボの聖なる盾の復活に用いられる。
【軸、キーミニオン】ある構成の核となるミニオン。
【完全体アマル、パーフェクトアマル】聖なる盾と毒を得たアマルガドン。
【DSS、ダブル錆システム】錆きの聖者(通称錆)を2体採用した編成。交互に聖なる盾が割れることで理論上無限に聖なる盾が復活する。錆きの聖者は過去にいた同様の効果を持つミニオンの名前から鯖と呼ばれることもある。

<雇用フェイズ関連>

【買う、取る、雇う、ピック】ミニオンの購入。
【売る、捨てる、切る、払う】ミニオンの売却。
【リフレッシュ、リロール、リロ、シャッフル】酒場を入れ替えること。
【凍結、フリーズ、固める】酒場を次ターンまで保持すること。
【盤面、ボード、デッキ】画面の自陣側のミニオンを出す場所。また今出ている自陣のミニオンのこと。
【抱える、ハンドキープ】ミニオンを出さずに手札に持っておくこと。

<戦闘フェイズ関連>

【殴り方、当たり方、当て方、エテ、エテリケテ】ミニオンがどこを攻撃したか、どこから攻撃されたか。
【死体、ケルスザード、ケルス】すでに敗退した人のこと。生存者が奇数人の場合、基本的に下位3人の誰かが戦闘で当たる。敗退時の編成のままとなっており、ケルスザード側のヒーローパワーは発動しない。
【温かい死体/冷たい死体】直前の戦闘で敗退した死体(強いかも)/2ターン以前に敗退した死体(大体弱い)。

<その他>

【金(きん)、コイン、G】ゴールドの呼び方。
【○ターン目、ターン○、○コインのターン、○Gのターン】ターン数の呼び方。ターン開始時のターン数やコイン数で呼ばれる。
【グレ上げ、アプグレ、ランク上げ、上げる、上いく】酒場グレードを上げること。
【早上げ】標準的な動きより早期にグレードを上げること。
【下を回る、ステイ、滞在】そのグレードに留まること。
【上振れ】
自分にとって都合の良い、確率の低いと思われる事象が起きた/連続した時に使われる。
【下振れ】自分にとって都合の悪い、確率の低いと思われる事象が起きた/連続した時に使われる。
【しゃがむ、ためる】目先の盤面強化をせずに、次ターン以降の盤面強化に備える動き。高グレード発見やグレードの早上げから強力な編成を狙いに行く動きはスイングと呼ばれることもある。

<英語由来>

ライトファング/光牙
グラバー/金ぴか
シェイカー/地響き
ラットパック/ネズミ軍団
ママ/母熊
パパ/ゴルドリン
ジーニー/ランプの精
ハベゴ/刈入れゴーレム

<麻雀用語由来>

ツモ/酒場にきたミニオンや発見で表示されたミニオン
トイメン(対面)/戦闘相手
着順/最終順位
受けが広い/有効活用できる選択肢が多い
リーチ/あと1体で欲しいミニオンが揃う状態

<おまけ>

【そうぼ、すはは、すはーは、すまま、etc】「魔女の翼の巣母」のこと。公式には「そうぼ」らしい。
【ナイアガラ】連敗してレートが大きく下がった際に使われる。ある有名配信者のツイートが発祥。
【ピラテス】海賊編成の俗称。ある有名配信者のスタンプ読み上げが由来?。

おまけ よくある疑問

・勝率ってわかるの?

 デッキトラッカー等の外部ツールを使用することでおおよその勝率やリーサル率を知ることができます(ある試行回数の戦闘シミュレーションを行ってその結果から表示される)。ツール側で反映されていない処理等があると勝率表示も大きくずれることがある(カエルの初期やパイロスポーン等)。紙とペンで理論上は計算出来ることから、デッキトラッカーの使用自体が不正に問われることは今のところないようである(大会等でも禁止されないことが多い)。

・死体部屋って何?

  序盤に回線落ちやコンシードで敗退した人がいる試合のこと。生存者が奇数人になると、下位3人が死体に当たれる仕様を利用してライフを犠牲にしたプレイング(早上げ等)を狙う人が増え、荒れた試合になりやすい。

・タスキルって何?

 タスクキルの略。ハースストーンを再起動したり、通信を一時的に切ったりすることで実行可能。盤面がずれたり操作が不能になったり等のバグの解消策として用いられる。また、戦闘フェイズを省略して雇用フェイズを長くすることもできる。なお、雇用フェイズ中にタスクキルすると相手の編成情報をその時点のものに更新することができる。大会等ではバグの解消以外でのタスクキルは禁止されることが多いので注意が必要。また、タスクキルを繰り返すと動作が重くなることがあるため乱用は避けたい。

・雇用フェイズが長くなるとは?

 バトグラは戦闘フェイズ開始時毎に全員のタイミングが同期されて揃い、その時点で戦闘結果が確定する。そのため戦闘フェイズ開始後に復帰することで戦闘フェイズを省略することができる。戦闘フェイズ開始から次の雇用フェイズ終了までは全員同じ持ち時間となっているため、戦闘フェイズを飛ばすことで雇用フェイズを長くすることができる。

・人によって各種処理の速さが違うような……?

 PCのスペックや回線の状況などによって処理に差が生じる。加えて処理を早める設定を行うこともできる https://www.youtube.com/watch?v=_MGZwpwOhkU(自己責任)。前述のとおり、戦闘フェイズ開始から次の雇用フェイズ終了までは全員同じ持ち時間となっているため、各種挙動が早くなれば雇用フェイズは長くなる。

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