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プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅱ サンプル論文解説(令和2年秋 問2)

◆プロジェクトマネージャ試験 論文サンプル◆

令和2年秋 午後Ⅱ(論文)問2の解説をしていきます。
問題は以下のIPAサイトからダウンロードお願いします。

◆動画解説◆


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出題趣旨と講評

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★上記より★
・プロジェクトの計画時であること
「外部」のステークホルダであること(こちらではコントロールできない)
顕在化はしていないリスクであること(兆候をつかむ方法!!!)

骨子作成

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設問ア
 1-1 プロジェクトの特徴と目標
 1-2 外部のステークホルダに起因するプロジェクトの目標にマイナス影響を与えると計画時に特定したリスクと理由


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設問イ
 2-1 外部のステークホルダに起因するリスク評価
 2-2 リスクに対する対応策の作成
 2-3 リスクの監視方法


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設問ウ
 3-1 リスクへの対応策とリスクの監視の実施状況
 3-2 今後の改善点


◆骨子と本文の対応付け◆

設問ア
 1-1 プロジェクトの特徴と目標

  ※準備してきたものを書く

 1-2 外部のステークホルダに起因するプロジェクトの目標にマイナス影響を与えると計画時に特定したリスクと理由


 プロジェクトの計画時に、プロジェクトの目標の達成に影響を与えるリスクへの対応を検討する。
 (問題が発生して、発見や対応が遅れがちになる)PMはこのような事態を防ぐためにプロジェクトの計画時に、ステークホルダ分析の結果やPMとしての経験などから、外部のステークホルダに起因するプロジェクトの目標達成にマイナス影響を与える様々なリスクを特定する。


設問イ
 2-1 外部のステークホルダに起因するリスク評価
  プロジェクトチームの外部のステークホルダはPMの直接の指揮下にないので、外部のステークホルダに起因するプロジェクトの目標の達成にマイナスの影響がある問題が発生していたとしても、その発見や対応が遅れがちとなる。

これらのリスクの発生確率や影響度を推定するなど、リスクを評価してリスクへの対応の優先度を決定する。


 2-2 リスクに対する対応策の作成
  プロジェクトの実行中は、リスクへ適切に対応することによってプロジェクトの目標を達成することが求められる
 
 リスクへの対応策とリスクが顕在化した時のコンティンジェンシ計画を策定する。


 2-3 リスクの監視方法
 プロジェクトを実行する際は、外部のステークホルダに起因するリスクへの対応策を実施するとともに、あらかじめ設定しておいたリスクの顕在化を判断するための指標に基づき状況を確認するなどの方法によってリスクを監視する。

設問ウ
 3-1 リスクへの対応策とリスクの監視の実施状況
  ※本文に記載なし(自分で考える)

 3-2 今後の改善点
  ※本文に記載なし(自分で考える)

ヒントになる過去問題

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私の作成したサンプル論文
※ボーダぎりぎりと考えてください

設問ア
 1-1 プロジェクトの特徴と目標
 私は大手SI企業(Z社)に勤めて15年になる。
 今回論述するのは情報通信機器販売会社(A社)の顧客管理システム再構築のプロジェクトである。
 私がA社の現行システムに携わったことから、再構築プロジェクトのプロジェクトマネージャに任命された。
 A社の現行システムは稼動開始されて10年が経過しており、度重なる要件追加の影響で保守性が著しく低下している。
 そこで、システムの構造を見直し、保守性を高め現行と同等の案件を取り込む際にも
 10%の経費削減を目標としてプロジェクトが開始された。
 プロジェクトの特徴としては、納期と品質である。  
 納期については、2020年3月から開始される春の商戦に間に合わせることが
 経営者会議での決定事項であり2020年2月末に稼動開始することが強く求められている。
 品質に関しては、「稼動開始後の6ヶ月間の商用故障0件」の目標が掲げられている。

 1-2プロジェクトの目標にマイナス影響を与えると特定したリスクと理由
 プロジェクトの計画段階においてプロジェクトにマイナス影響を与えるリスクを洗いだすことが重要である。
特に、客先A社に起因するものについては、問題が発生してから対応したのでは、QCDに大きな悪影響を及ぼす。以下のマイナス影響のあるリスクを特定した。
①A社とB社の合併によるプロジェクトの中断のリスク
 A社は、M&Aによって会社を大きくした背景があり、同業他社との合併によってシステム開発自体が中断になる可能性がある。
②案件担当者が多忙で要件定義が遅延するリスク
 要件定義工程が行われる時期は、A社の繁忙期と一部被っている。担当者が多忙により、レビューに参加できずに進捗遅延となるリスクがある。
③A社担当者同士の部門間での意見対立による進捗遅延のリスク
 過去のA社の案件で、A社部門間で意見が対立して、進捗遅延が起こったことがあるため今回も同様になるリスクがある。

設問イ
 2-1 外部のステークホルダに起因するリスク評価
 プロジェクトには数多くのリスクが存在するが、その発生確率・プロジェクト目標達成に及ぼす影響度を定性的に評価し、対応の優先順位をつけることが重要である。
 そこで前章で特定したそれぞれリスクについてリスク評価を行い優先度を決定した。
①合併によるプロジェクト中断リスク
 影響度「大」 発生確率「低」 優先度「中優先」
 合併により、それまでにかかった費用が回収できないとなった場合、プロジェクトの目標達成は不可能となるに等しい。しかし、前回の合併は5年前であることから、プロジェクト期間中の合併の発生確率は低い。 

②A社案件担当者の不参加による進捗遅延リスク
 影響度「大」 発生確率「高」 優先度「高優先」
 過去のA社とのプロジェクトのプロジェクト完了報告書を確認し、進捗が遅延した最大の要因であったと書かれていた。今回も、繁忙期と重なるため、要件定義工程の進捗遅延は、プロジェクトの成否にかかわる。

③A社部門間での意見対立による進捗遅延のリスク
 影響度「大」 発生確率「高」 優先度「高優先」
 今回のシステムは、A社の3部門との調整が入るが20機能中、8機能は複数部門で使われる機能である。それぞれの部門間で意見が対立した場合、要件定義工程の進捗遅延が発生し、全体スケジュールに影響する可能性が高い。

 2-2 リスクに対する対応策の作成と監視方法
 プロジェクト実施に向けて前項で行ったリスク評価について具体的な対応策の作成とリスクが顕在化した時の基準および、顕在化した際のコンティンジェンシプランを作成した。

①合併によるプロジェクト中断リスク
 万が一合併が行われても弊社側で合併は止められない。対応策として、事前に中断時の費用について契約内容に盛り込むことにした。顕在化のトリガとしては、実際に合併が行われた場合で、A社からプロジェクト中断の指示があった場合である。コンティンジェンシプランとして、それまでに要した費用について費用の回収を契約に基づき交渉することとした。

②A社案件担当者の不参加による進捗遅延リスク
 対応策として、A社担当者のスケジュールをあらかじめ抑えてもらうことにした。こちらであらかじめ詳細なレビュー日程を決め、A社担当者の予定と合うか、合わない場合は直近の別日を押さえておいてもらうこととした。顕在化トリガは、レビュー日程に対しての予定通りレビューが行われなかった場合だ。コンティンジェンシプランとして、A社担当者の決定権がある代理に参加してもらうこと、全体進捗の見直しをA社と交渉することとした。

③A社部門間での意見対立による進捗遅延のリスク
 対応策として、部門間での取りまとめを行う窓口的な担当者をA社側に選任してもらうことにし、部門間での対立を起しにくい体制としてもらうことを申し入れた。顕在化は、窓口担当者から、意見が纏まらないので期日を伸ばしてほしいという申し入れがあった場合になる。コンティンジェンシプランとして、A社責任での全体日程の見直し及びA社内の窓口体制の見直しとなる。

設問ウ
 3-1 リスクへの対応策とリスクの監視の実施状況
 プロジェクトが開始され、要件定義工程が中盤に差し掛かった2019年3月に、前章②のリスクが顕在化した。A社担当者のS氏が、多忙を理由に予定していた要件定義設計書のレビューに出られなくなったということだ。S氏は会計機能に関しての要求事項を出しており、全20機能の内、2機能に影響している。私は、プロジェクト計画時に設定してあったコンティンジェンシプランを発動させることにした。
S氏の代わりに決定権がある代理に予備日程に参加してもらうか、全体進捗の見直しである。A社内でもプロジェクト遅延は会社として信用を損ねることになるため、S氏と同等の知識と決定権があるY氏を担当としてもらうことになった。
コンティンジェンシプランの発動が早期だったため、予備日も含め期限内に要件定義のレビューを終わらせることができた。

 3-2 今後の改善点
  要件定義段階のコンティンジェンシープラン発動があったが、対応を迅速に行えた為同じ工程内でリカバリすることができ、無事に予定通り2020年2月末にシステムのサービスインを迎えられた。商用故障0件という高い品質も保てている。
 これは、プロジェクト計画段階であらかじめ起こりうるリスクを洗いだし、それに対する対応策及び顕在化した場合のコンティンジェンシプランを洗いだせていたことが良かったと考える。
 今回のリスク予想ができたのは、弊社内での過去のプロジェクトマネージャがプロジェクト完了報告書を詳細に記載し、問題が起こった場合の対応策も詳細に記載していたおかげでもある。
今回のプロジェクトにおいても、プロジェクト完了報告書を詳細に記載し、弊社内のナレッジとして蓄積していきたい。

以上


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