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2021年の5冊

2021年に個人的に面白かった本5冊です。

「未来人サイジョー」いましろたかし

漫画家のアシスタントのまま50歳になってしまった西条は都落ちして故郷の四国へ向かう途中で寄った大阪で突然1970年にタイムスリップ。無一文となった彼は、過去の世界でサバイブするために、パチンコ屋で出会った漫画家志望の北川のアパートに転がり込みます。ひたすら打算で動く西条と、トキワ荘のテラさんのような優しさを持つ北川がコンビを組んで、未来のヒット作品のパチモン漫画で一攫千金を狙います。
四畳半にタイムスリップすることで、情けなさ溢れる漫画が久しぶりに戻ってきました。こんなに志の低いまんが道は見たことがありません。

「つつがない生活」INA

仕事でイライラしている妻が書いた買い物リストの最後に「気をつけて帰ってくること」と書いてあったり、車をぶつけられて病院に運ばれるも過去に自分が起こした事故を思い出し追突して来た中国人男性のことが心配になったり。ふとした瞬間に垣間見える優しさが、この頃のカサついた心を癒してくれます。

「Neverland dinner 二度と行けないあの店で」都築響一編

いろんな人の二度と行けないお店のエピソードを読んでへえーと思いつつ、自分にとってのNeverland dinnerは何かなと考え始めてページを捲る手が止まってしまう。そんな本でした。

「シカクはこうしてこうなった」たけしげみゆき

大阪の書店シカクの運営振り返り記。本屋を始めた頃の話を読むと、お店が10年以上続いているのはすごいなと驚きを隠せません。TOP5 BOOKSを始めてみようと思ったきっかけの一つとなった本です。

「地獄」ヨン・サンホ×チェ・ギュソク

Netflixシリーズ「地獄が呼んでいる」の原作コミック。「我は神なり」ではダム建設のための立ち退き金を村人から巻き上げようとする新興宗教が描かれていましたが、「地獄」では人智を超えた現象に対して信じさせる側も振り回されてしまう、という先の読めない展開にしびれました。

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