「させていただく」、変だろうか

はじめに

 「させていただく」とは、私にとって、授業で発表する時、受講生らにテーマ及びその内容を注意させる働きを持つ言葉だと思う。政治家、公務員、芸能人代表など様々な有名人らや政府関係者たちはそのような言葉をよく使っている。しかし、実を言うと、私はその言葉の意味について少しはっきりしない。文法的に、「いただく」は「もらう」の謙譲語である。例えば、友達に台湾のお土産をあげる際、「私は母に台湾のお土産をもらった」とそう言うことだ。そして「させて」の主体は相手、「いただく」の主体は自分という構造からくる言葉である。言い換えると、その言葉が利用されるタイミングでは、相手や第三者の許可を受けて行う場合であるはずだ。

新聞記事の概略

 次の図は、朝日新聞2010年9月4日の記事における日本人4202名を対象に行った「『させていただく』は変ですか?」というアンケートの調査結果を示したものである。

キャプチャ

出典:2010年9月4日,「be」,朝日新聞

 これを見ると、「させていただく」に違和感を多少覚える人の割合は55%であるが、特に「変だ」と感じる比率は19%にとどまった。一方、問題ないかもしれないと考える人の割合は45%で、その中に「変じゃない」と言う比率は16%に過ぎなかった。その正反対の比率を見ると、ほぼ同様であった。

 賛成の意見としては以下のようなものがあった。まず「自分で使ったことあり」の比率はわずか40%であり、その中になぜかと質問し、「よく耳にするのでつい」と答えた人数は340人、15%を占めた。その他「他に適当な表現が思いつかない」と回答したのは296人、「案外と便利」と言ったのは216人だった。それから、反発する人の拒否感は強かった。東京の女性(50歳)は次のように述べていた。「へりくだっているようで、上から目線の言葉だろう。経営者などから言われると、強いプレッシャーを感じた」。

 一方、反対の意見としては、丁寧な言葉だと言った人は925人、49%を占めた。他には「使い慣れている」「言い換えようがない」「誠実な感じがする」との回答も見られた。次に、違和感があるという意見を初めて知った人も多かった。特に佐賀県の女性(73歳)は「小学校の卒業前、担任から他人に何をする時絶対にその言葉で接せよ、と指導された」と違和感なしと言った。

 これらの意見をまとめると、「丁寧・使い慣れ」という点を重視すれば使用に賛成し、「プレッシャー・違和感」という点では使用に反対する意見が多いということになる。

新聞記事への自分の意見の表明

 私はこの記事を見て、両方の意見が具体的であると思うが、どちらかというと、少し違和感を覚えるという意見に賛成したい。筑波大学の北原保雄は次のように述べていた。前述の通り、「させていただく」というのは、相手の許可を得て自分が恩恵を受けると定義されている。しかし、許可を得る相手がない、または漠然としている場合には慇懃無礼に聞こえる。つまり、自分が斯かる強制的な言葉を受け、プレッシャーが多少高まる。それに、慇懃無礼というような現象が多くなっている。その一方で、私は反対の意見もある。慇懃無礼な点を知っているが、やはり丁寧な言葉を使用すると、相手の受ける印象が気になり、相手に自分の真剣な気持ちを認めさせる可能性がある。

 ちなみに、台湾における変な言葉もある。例えば「可悲」という自分が相手の事情で悲しみを持つ言葉であるが、最近「可撥」という言葉に替えられる。それはただある実況者がゲーム中で打ち誤った。特に若年層がその言葉をよく使っている。私にとって、その原因でこの言葉が使われることは全く認められない。文化を含めない言葉が勝手に使用し、話す時相手(特に上司、教授など)にとってよくわからなく、悪い印象を与える可能性がある。

キャプチャ1

      図:「1月11日に投票しなさい!」ユーモア漫画     (赤色は、2019台湾若者層の流行語)
(出典:「謝東霖Hsieh Tung Lin」,Facebookページ)

帰結

 最後にまとめると、私は「『させていただく』は変ですか?」という問題について、賛成したいと考える。確かに、相手の許可を得て自分が恩恵を受けることなので、極めて美しい言葉と考える。しかし、多くの人がその言葉を過度に使い、慇懃無礼というような現象が次第に生じている。日本で利用している人々は、その言葉の定義を深く考えれば、その現象が減少し、相手にとって強いプレッシャーが減らす可能性があるかもしれないことがわかるだろう。そして、この記事を見た後、私は未だにその言葉がはっきりせず、様々な尊敬語及び謙譲語をどのような場合で使うか使わないかが十分に理解できていないことがわかった。その言葉を勉強するには、日本語学の研究者や言語学者たちに説明してもらうことが必要だと思う。

 一方、台湾における注意点もある。まず、文化を含めない言葉が余り使われないはずだ。30代以上の人々としてよく理解できないし、過度に使用されると自分の国を貶す傾向もある。また、丁寧な言葉の使い方がよく注意されてほうがいい。確かに、台湾人の利点は話し回らず、直接的に話す。しかし、直接的に回答過ぎると、相手の自尊心を潰す可能性がある。そのため、多少の丁寧な言葉を含めば、相手に「柔らかい」という意見を認めさせるだろう。

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