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ゴミの城

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動画~https://youtu.be/YN4iTq7kIF4  父親が他界、実家に残されたのは子供のように振舞う母親と引きこもりの兄、そして大量に残されたゴミの山だった。 登場…
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#実家の片付け

ゴミの城〜017~石碑の前の照れた顔~実家の写真の処遇

これまでのお話 物心ついた時には家にカメラがあった。そのカメラは家族で旅行へ行くときや、僕たち兄弟が幼稚園や学校に入学する時などに父親が使っていた。 父は決まって「そこに立て」と、僕らを学校の入口やお寺の石碑の隣などに立たせるのだ。あらためてそんな写真をいま見てみると僕はいつも照れくさそうな顔をしていた。もちろん、ちゃんと理由がある。入り口というものは、たいてい人が入ってくるものだ。知らない人の視線を浴びながら大人のような背広を着させられた僕はいつも恥ずかしくて父が早くシャ

ゴミの城〜018~捨てたがり~物を捨てたくて仕方がない

これまでのお話 父は物を捨てられず実家は「ゴミ屋敷」と化したが、その影響なのか? 自身は不要な物があるのが嫌で嫌でたまらない。 ゴミの日の前日になると捨てられる物を探して極力、ゴミ袋にゴミを入れていく。出かけるときは必ず空のペットボトルや宅配で届いたダンボールなどを持って近所のスーパーにあるリサイクルボックスに立ち寄る。 ここ最近、フリマアプリやリサイクルショップなどで自分の不要な物をかなり売ってしまった。それでも家には他の家族もいるので物は多い。増えていく子供の荷物を

ゴミの城〜019~着実に庭の木も成長している

これまでのお話 実家の庭の木が伸びきってしまった。もう二階の屋根まで届いている。 先日、脚立を買って実家の木を切りに行ったのだが、購入した脚立の高さが足りなかった。一応、木の長さを測り、脚立の長さと自分の身長を考慮して購入したのだが、実際に使ってみると少し短かった。庭で伸び切った木は全部で三本。それを切るためだけに脚立を購入するのだ。どう考えても自分にはそれ以外に使い道がない。サイズがもうワンランク上の物もあったのだか、ワンランク上になると値段がかなり上がる。結果、高さが

ゴミの城〜020~母との時間

これまでのお話 実家へ行ったときに、ちょうど母親がトイレへ行く所で二階から兄が介抱しながら一緒に降りてきていた。母は足もおぼつかずトイレへ行くのがやっとで、僕は母と兄に「ただいま」と声をかけて母が階段を降りるのを手伝うと奥の部屋へと向かった。以前から母は一人で排泄もできない。兄が手伝っている。 父親の位牌に線香を上げていると、トイレから僕の名前がする。 「○○来ているんでしょ。……こんな姿、○○には見せられない」と母親の涙声が聞こえてきた。 家、全体が排泄物の匂いがして、

ゴミの城〜021~どうすればゴミを捨てられるのか?

これまでのお話 父親が遺したゴミ屋敷を少しずつ片付けていて、その様子をYou Tubeに載せているのですが、動画を視聴して下さっている方からコメントを頂くことがあります。 ゴミ掃除は心が折れることが多く、頂いたお言葉に励まされ実家へと向かうのですが、コメントの中でも同じようにゴミを少しずつ片付けていらっしゃる方が多く、コメントを拝見する度に「大変だろうな……」と想像しています。 捨てると怒るゴミの処理は?父親がゴミを溜めるようになったのは、父が仕事を辞めてからだと思います

ゴミの城〜022~兄と喧嘩

これまでのお話 実家には母親と兄が住んでいる。母は認知症気味で目の焦点も合わず、いつもベットの上で横になっていて、僕が行っても言葉を発することはまずない。兄は中学生の頃から引きこもりで、現在は介護4級となった母親の面倒を診ている。 実家のゴミ屋敷を綺麗にしようと通っていても、いつも「母親が亡くなったら、家は売ることになるのではないか?」と思いながら掃除をしていた。 先週、実家に行ったときに兄に「母親の貯金から、いくらか出して家を直そう」と提案してみた。少しばかり貯金があ

ゴミの城〜023~庭の木

これまでのお話 兄と喧嘩をした翌週、気まずかったが僕から兄にメールで「今日、行きましょうか?」と連絡をしてみた。すぐに兄から「今日は午前中にお母さんと買い物に行ったので大丈夫」と返信があった。とりあえず怒ってはなさそうだし、来週にでも顔を出すことにした。 一週間振りに実家に顔を出すと、玄関先の木の枝が切ってあった。てっきり前の家のおじさんが切ってくれたのかと思い、兄に聞いてみたら「台風が来るから切った」とのこと。兄が木を切るなんて珍しい……。喧嘩をしたときに僕が色々と言っ

ゴミの城〜024~母の誕生日

これまでのお話 先日、母親の誕生日だった。母は81歳になった。父の方が歳上だったのだが、父が81歳で亡くなったので今年で母と父は同じ歳になった。 誕生日の当日は仕事で顔を出せなかったので、前日の夜に実家へ顔を出した。母が病院から退院してすぐの頃は、医者から「柔らかい物を食べさせてくれ」と言われていたので、差し入れはプリンやヨーグルトなど柔らかそうな物だったのだが、兄に聞いたら「最近は、ある程度の物は食べている」ということで、母の好きなお寿司を持っていった。 ほんの数年前