【EJ版】気になるnews! (+要約&補足) vol.1『統合失調症の遺伝的・生物学的原因が科学者によって発見される』

★まとめると…

☞原因の1つはC4遺伝子によるsynapseの過剰な刈り込みか。

☞治療法に新たな希望。

☞有識者も大いに期待。

★EJで一言

 また一つ、人体のmechanismが解明された。こうした成果が積み重なり、医療の発展に寄与している。

引用元: 情報curation service(キュレーションサービス)“Gunosy”(グノシー)から、online media(オンラインメディア)“life hacker”(ライフハッカー)[日本版](更新日:2016年2月7日)の記事。▶https://gunosy.com/articles/R5We5

タグ: #統合失調症 #schizophrenia

以下、該当記事の要約と補足です。

<原因の1つはC4遺伝子によるsynapseの過剰な刈り込みか>

 『Nature(ネイチャー)』誌で「統合失調症患者に見られる遺伝子変異が同定さた」と発表があった。“complement component 4”(補体第4成分。以下、C4。体内の免疫細胞が破壊すべき病原体に印をつけるprotein(プロテイン)を生成する)遺伝子が高度に発現すると、統合失調症を発症する確率がかなり高いとしている。

 C4は、思春期に起こる“synapse(シナプス=神経結合)の刈り込み”(脳が必要な神経回路を強化する為に不要なsynapseを除去する)過程にも関与しており、これが過剰に起きた場合、統合失調症risk(リスク)を上げると考えている。これは「症状が10代から20代初期に始まること」「成人患者の大脳皮質が薄く、synapseが少ないこと」の説明にもなるだろう。

--補足1:Nature website『Schizophrenia risk from complex variation of complement component 4』published online.(27,January,2016)▶http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/full/nature16549.html

<治療法に新たな希望>

 統合失調症は、まとまりのない思考や運動、幻覚や妄想など、様々な形で発症する。複数の症状が重なり、正常さをを失うcase(ケース)も多い。今なお根本的原因は解明されていないが、ここ数年の研究で多くのことが判明し、遺伝子の突然変異、免疫機能、微生物叢(そう)(※注:しばしば、腸内細菌を意味する)などの関与が疑われている。

 現在の治療の選択肢は大半が対症療法的であり、効果的な治療は非常に限られている。しかし今回の発見も含め、いずれ生物学的なmechanism(メカニズム)の理解が進めば、研究者を通じてより効果的な治療法が開発されるかも知れない。例えば今回の発見から、患者の思春期におけるsynapseの過剰な刈り込みを抑制できたら、症状の程度を軽減したり、予防できるはずだ。

<有識者も大いに期待>

 National Institute of Mental Health(NIMH=米国国立精神保健研究所)の所長代理を務めるBruce Cuthbert氏は、この発見には直接関与していないが、press release(プレスリリース)で以下のように述べている。

“この研究は大変革(精神疾患との闘いにおける決定的な転期)をもたらすものです。この遺伝子の大発見により、ついに、臨床試験や、早期発見、新たな治療法、そして予防の可能性が見えてきたのです。”
--補足2:NIMH website『Schizophrenia’s strongest known genetic risk deconstructed』press release.(27,January,2016)▶http://www.nimh.nih.gov/news/science-news/2016/schizophrenias-strongest-known-genetic-risk-deconstructed.shtml

執筆/編集/投稿: TOOKIK(twitter: @tookik_jp) -- EJA(拡張日本語協会)代表, EJA専属 writer

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?