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小説:労働Gメンは突然に

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【労働基準監督官のお仕事小説】 厚生労働省の職員にして、専門職の国家公務員、そして労働法の番人である労働基準監督官――別名、労働Gメン。 23歳の時野は晴れて労働基準監督官となっ…
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#有給休暇

労働Gメンは突然に:第3話「有給休暇」

第1話から読む   前話を読む 登場人物本編:第3話「有給休暇」1 「今日はたくさん飲んで、食べて、楽しんでください! それでは、乾杯!」  かんぱーい、と口々に言う声に続いて、グラスが触れ合う音があちこちから聞こえた。  角宇乃市の繁華街である明多町は、角宇乃駅から角宇乃労働基準監督署とは反対方向に10分ほど歩いたところにある。  角宇乃市は県庁所在地ではないものの、県内の中核都市として人口が多く、それに比例するように繁華街である明多町も栄えている。  今日は、