浜松聖星高等学校吹奏楽部 第27回定期演奏会

日時:2024年2月11日(日)アクトシティ浜松大ホール
会場:10:00
開演:11:00
終演:13:37

・演奏:浜松聖星高等学校吹奏楽部
・指揮:土屋史人
・客演指揮:高昌帥*

~プレコンサート~
【フルート6重奏】
・組曲「???」より第1曲「???」(???)

【金管8重奏】
・軌道共鳴(三澤慶)

~校歌斉唱~
・作詞:佐佐木信綱
・作曲:信時潔
・編曲:森田一浩
・指揮:伊藤利恵子

【第1幕:オープニング&オリジナルステージ】
・交響曲第2番「オデッセイ」より(R.W.スミス)
 第2楽章「ポセイドンの風」

・無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番(J.S.バッハ/森田一浩)
 第5曲「シャコンヌ」

・アンセム~吹奏楽のための*(高昌帥)

~アンコール~
・アラリンと赤とんぼ(朝鮮民謡・山田耕作/高昌帥)

【第2幕:エンターテイメントステージ】
・聖星吹部ミュージカル風ステージ~おおきく息を吸い込んで!~
 脚本:オザワ部長
 音楽:三浦秀秋
 指揮:伊藤利恵子
 歌唱指導:田上知穂
 キャスト:吹奏楽部員
 総合演出:土屋史人

・ディズニー・アット・ザ・ムービー(/J.ビギンズ)

・ミュージカル「レ・ミゼラブル」より(C.M.シェーンベルク/森田一浩)

・ベニー・グッドマン・メドレー(/岩井直溥)

【第3幕:ファイナルステージ】
・秘儀Ⅸ<アスラ>(西村朗)

~アンコール~
・花は咲く(菅野よう子/???)
・???(???)
・愛と真理でやら舞歌!(小椋佳/真島俊夫)

浜松聖星の定期演奏会へ足を運びました。今回が初です。
日程の都合上、全日本アンサンブルコンテストに出場できないということで、学生の自主行動でプレコンサートを開催。
フルート六重奏の作品は、組曲まで聞き取れましたが、作曲者と抜粋箇所が聞き取れずorz
バスフルートを主軸とする作品で、調性感のある作風。バスフルートの響きが堪能出来て満足。組曲ということなので、全曲拝聴してみたいですね。

第一幕が開始する前に校歌斉唱。信時潔さんが作曲されていたんですね。存じ上げませんでした。吹奏楽編曲は森田一浩さん。ハープが入っていたりと、豪華な編曲でした。

音楽監督である、土屋さんが親交があったR.W.スミスの作品と森田一浩さん編曲のシャコンヌで幕開け。
R.W.スミスの交響曲第2番は抜粋で拝聴した程度で、まともに拝聴したことがありませんでしたが、色々と面白いことやっていますね。
サンダーマシーン、サウンドチューブ、オーシャンドラム、シンセサイザーの使用など、普段のスミスらしさもありますが、これは全曲拝聴しなくては・・と感じた次第。

シャコンヌは、ストコフスキー版より、原典版を意識した演奏だったかなと感じます。全曲を(付け焼刃程度ですが)知っている手前、あぁ~いいところでカットかと感じてしまいましたが、ストコフスキー版と原典版が綯い交ぜとなった演奏だったかなと思います。

高昌帥さんのアンセムは、中間部でクラリネットパートが舞台袖で演奏されていたと思われますが、その響きが今まで拝聴したことがない響きで驚きました。コントラファゴットとコントラバスクラリネットの音が前面に出てくるのも面白かった。コントラファゴットとコントラバスクラリネットの音が混ざり合うとこういう響きになるのかと得難い経験が出来ました。

第2幕はミュージカルで幕開け。過度な演出や小道具は最低限に抑えられていたかなと感じております。演出者の動きと声が合っていたのは良かったな感じております。

ファイナルステージで、西村朗さんの作品。スクリーンに西村さんの写真を映して演奏されていました。
土屋さんは、秘儀シリーズを数多く演奏されており、西村さんから「あなたはこれだけ秘儀を理解理解しているのだから、秘儀マスターの称号をあげる。だから、多くの方に秘儀の奥義を伝授してあげてくださいね!」と生前仰っていたそうです。
3年前、コンクール音源ですが本校が演奏された秘儀Ⅴを最近拝聴しましたが、鬼気迫る演奏で恍惚となりました。今回の演奏も然りです。
来月には、西村さんの御弟子さんである中橋愛生さんが秘儀Ⅵをフレキシブル版がバンド維新2024が初演されます。演奏されるのは浜松聖星さんです。ここまで来たら、演奏されていない秘儀Ⅶと秘儀Ⅷも演奏して頂きたい。

最後に、被災者にエールを!ということで、花は咲くを演奏。アンコールは本校の定番(になるのかな?)を演奏して締め括りました。

3年生の挨拶などもあり、卒業式に参加させて頂いた気分でした。これからも、西村さんの秘儀シリーズ、多くの方に伝えて頂けたらと思う次第です。



ここからは、「おおきく息を吸い込んで!」の批判的な内容になります。読みたくない方は、飛ばして下さい。
重ねて書きますが、演奏は素晴らしかったです。焦点を当てているのは脚本についてです。ご了承下さい。

さて、ミュージカルの内容は以下の通りです。

浜松梅星(せいばい)高校が中日本吹奏楽コンクール(支部大会)に出場し、全国大会を目指して練習するが、部活動だけに専念できないと生徒と全国を目指して頑張る部長と対立。青春を謳歌したいからと恋愛や友達を遊ぶ部員(Aとする)、部活動は、ほどほどにして受験勉強に専念する部員(Bとする)と意見が対立。
最終的にAとBが自分の居場所がここじゃない、どうせ全国大会に出場できないという考えを改め、部長たちと和解して練習に専念。結果、全国大会に出場することになった。

色々と端折っていますが、大筋は以上となります。

吹奏楽伴奏のミュージカルは生演奏でいくつか拝聴してきましたが、本作品の脚本が自分としては魅力を感じなかった。
コンクール至上主義と部活を引退&コンクールが終わったら音楽活動はそれでお終いという雰囲気が強く感じられた。
吹奏楽問わず、音楽というのは一生涯楽しむものではないかと感じている。私の狭い認識だが、音楽が嫌いという人には今まで(ネットワークも含め)出会ったことがない。
コンクールに出場することや結果に拘ることが悪いとは思わない。ただ、吹奏楽も一生涯わたって楽しむことが出来る音楽ではないでしょうか?私の感覚がおかしいのか、それを汲み取ることができなかった。

あと、音無カスミ(だったと記憶している)という登場人物(ピッコロ奏者)の発言について。大きい音が出せず名前通り霞みたいな音しか出ないと演出されていましたが、いじめに発展しないかと感じる。
ドラえもんに登場する、剛田武の妹ジャイ子。本名を設定しなかった理由は「同じ名前の子がいたら、いじめられるのではないか?」という配慮で設定しなかったそうです。同姓同名の方がいるのは限りなく低いかと思いますが、この演出については疑問に思うところがありました。

先ほども書きましたが、コンクールに出場することは悪いことではないと思っています。ですが、その先を見据えないと日本の吹奏楽は徐々に衰退してしまうのではないかと感じています。
吹奏楽の作品・演奏を”鑑賞”する文化を定着させるためには、どのようにしていくべきか・・それが定着するのは遠い未来なのかなと。

文章を綴っている時に、コンクール至上主義についてあれこれ考えていたら、とある科白が頭をよぎった。

お前がやろうとしていることは、鉄道の時代に馬車の扱い方を教えようとしているみたいなものだ

ドラゴン桜2

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