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そこにありつくまでに支払ったコストの設計

感覚ってそこにありつくまでに支払ったコストだよねという話。人間はそこにありつくまでに支払ったコストをアンカーとして目の前のモノを評価するという脳の性質。

サウナしきじの臨時休業という絶望の淵に立たされつつ、静岡駅から徒歩圏内のさわやかハンバーグに向かった。

平日14時なのに50分待ち。おそるべし。待ち時間は同じ階に入ってる本屋を散策。書店を始めるならばさわやかハンバーグの店舗の近くだ。

坦々麺を始めるならばアイスクリーム屋さんの近くのようにどこに構えるかで集客力が変わってくる。こういう他者の集客力とナーチャリングを活かした店舗場所の選定ってめちゃくちゃ重要ではないか。

そんなことを考えながらおおよそ想定通りの45分で着席できた。定番のげんこつハンバーグランチをオーダー。1年半ぶりのさわやかだ。

10分ほどか。オーダーしたメニューが届く。

目の前で丸っとしたげんこつ型のハンバーグが置かれた。それをわざわざ目の前で切る演出。切った状態で持ってくることもできる。だけどこの演出もコンテンツの1つだ。

子供は喜ぶだろう。撮れ高も高いためSNS愛好者にも喜ばれる。ここら辺は消費者目線で設計されている。

さわやかハンバーグは確かに美味しい。前回来たより美味しく感じる。待ち時間がいっそう目の前のハンバーグの価値を高め、美味しく感じるのだろう。

結局、幸せとか美味しさって感覚だから。絶対値はない。美味しいは数値化できない。各々のモノサシで測られる感覚でしかない。

さわやかはこの感覚の設計を実に上手く行っている。店舗は静岡県内のみでそれ以外には展開しないし、行列を消さない。

今回おひとり様の僕が座ったのは6人かげのテーブル席。明らかにキャパオーバーだし、回転率を重視するならば無駄なオペレーションになる。

おひとり様用のカウンター作れば行列は減るだろうが、なんでやらないのだろうとハンバーグを待ちながら考えていた。

結論として、あえて待ち時間を消さないようにしているのではないか。そのハンバーグにありつくまでにかかったコストを増やしているのではないか。その方がより美味しく感じるから。

他県に展開しないのも、回転率を高めないのも希少性や待ち時間という、そこにありつくまでに支払ったコストを増やすためである。

「人間はそこにありつくまでに支払ったコストをアンカーとして目の前のモノを評価する。」

僕がマラソンに出続けるのも完走後のご飯が尋常じゃなく美味しく感じるから。普段と同じものを食べても美味しく感じる。普段よりもそこにありつくまでに支払ったコストが大きい身体。

これは幸せも同じで、幸せって作れるものではなくて感じるもの。何かをやったから幸せではなく、そこから感じ取らねば幸せという感覚は得られない。

同じ条件下でも幸せを感じられる人もいれば、感じられない人もいる。それは絶対値ではなく各自のモノサシで各自の相対値での判断だからだ。

さわやかハンバーグは美味しく感じられるスパイスをメニュー以外にも含めていた。学びの多いランチだった。

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