てれびのスキマ「1989年のテレビっ子」(双葉社)読了直後殴り書き
てれびのスキマさんの新刊「1989年のテレビっ子」(双葉社)読了。
いやぁ、面白かった。今すぐもう一度読み返したい気持ちです。
1989年を転換期として語るテレビバラエティ史。
今振り返ってみた時、1989年という年がどれだけ激動の1年だったということをスキマさん自身がサイトにまとめています。
http://littleboy.hatenablog.com/entry/2016/02/07/190918
マンザイブームを経て、お笑いの絶対的王者だった「全員集合」を1985年に終了に追い込んだ「ひょうきん族」が、「カトちゃんケンちゃんごきげんテレビ」に返り討ちに遭ったかのように終了した年。
ウンナン、ダウンタウンが「夢で逢えたら」をきっかけに台頭してきた年。
とんねるずが「みなさんのおかげです」で「ザ・ベストテン」を、「ねるとん紅鯨団」でタモリの「今夜は最高!」終了に追い込んだ年。
萩ちゃんが全レギュラー番組を失った年。
私は高校2年〜3年生。
僕ら世代にとって、ホントすごい1年だったということがわかります。
本書ではドリフ、欽ちゃん、たけし、さんま、タモリ、とんねるず、ウンナン、ダウンタウンなどなど、1970年代からテレビバラエティのトップスターの下積みそして栄枯盛衰または現在まで続く第一線での活躍がそれぞれ絡みあうかのように紐解かれていきます。
個人的には、特に第4章のとんねるずを中心とした項がたまりませんでした。中学、高校時代とてつもない熱量で彼らの発言、一挙手一投足に向き合っていた時期がありました。
火曜深夜の「オールナイトニッポン」が待ち遠しくてたまらず、寝不足上等で、次の日クラスで友達とまるで秘密を共有するように「昨日のあそこ面白かったよなぁ。」と語り合ったものです。
毎週聞いてないととても付いていけない、マネージャーやスタッフの内輪話も「みなさんのおかげです」でネタとして盛り込まれたりすると、それにニヤリとする感覚。
まさにとんねるずと周りのスタッフ、そして我々ファンによる笑いの秘密結社のような楽しさと興奮がありました。
本書の冒頭とエンディングで、2014年3月末の「笑っていいとも」のグランドフィナーレでの、ある程度仕掛けられていたのでしょうが、結果なるべくしてなったアクシデント・・・タモリとさんまのコーナーにダウンタウン、ウンナンが乱入し、気がつけばとんねるずに爆笑問題、ナイナイが同じステージに上がっているという光景が繰り返し描かれます。
私もあの瞬間の至福感といったらありませんでした。
欽ちゃん、ドリフ、たけしはいなかったけれど、あの数十分になんだかすべてが繋がった、あの数十分に集約されたように思えたのです。
・・・で、あの時の気持ちが、何かに似ているとずっと思っていたのですが、やっと気が付きました。
子供の頃に見ていた仮面ライダーシリーズ。
シリーズが終盤に差し掛かろうという時、とてつもなく強力な敵が現れます。とてもライダーひとりでは太刀打ち出来ない。
そんなピンチに、歴代ライダーが勢揃いして、大人数で敵をボコボコにするという回がありました。
どうして急に歴代ライダーが集まったかの説明は多分殆どなかったものと思います。
そんなことはいいんです。
現ライダーを救うべく、各ライダーがそれぞれの個性を発揮して戦い、敵を倒すあの爽快感。お祭り感。華やかさ。
まさにあの感覚であります。
それは同時に、現ライダーのシリーズが最終回に近づいている寂しさも感じさせる回でもありました。
仮面ライダーは置いておいたとしても、そんな思いが少しでも共感出来る人なら是非本書を手にとっていただきたいと心から思います。
僕らが観てきたテレビバラエティの主役たちの歴史が線で繋がり、面で広がっていくのです。
読後直後の殴り書きです。
てれびのスキマさん、ホント稀有な書き手さんです。
さぁ、また明日から読み返そう。
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