EABANK(EAバンク)は結局誰が得をするのか

TwitterのEA運用界隈で「EA-BANK(以下EAバンク)」が賛否拮抗の盛り上がりをみせています。

なんでもIB紐づけを条件に、100種類超もの厳選されたEAを使い放題というサービスの模様。

EA-BANKサイトトップのバナー画像(引用元:https://ea-bank.com/

EAとは、MetaTraderというソフトで動くFXの自動売買ソフトです。不労所得を求める諸兄の中に「自動売買」という単語を目にしたことがないという方はおられないでしょう。自分は資金とEAだけを用意して、あとはEAが自動で売買して口座残高が増えていくのを見ているだけ!まさに不労所得です。

では肝心のEAはどうやって手に入れるのか。
一般的には、自分で作る or 他所から入手するの2つに分けられます。
他所から入手するはさらに細分化され、

1)mql5.comで購入 or 無料DL
2)販売サイトを利用
3)SNS経由などでEA製作者から購入 or もらう 
4)クラックサイトでDL(違法)

4)を除き、どの方法でもなんらかの支払いが必要になるケースが多いです。1)~3)のうち「購入する」選択を取る場合、EA製作者や販売サイトに対してEA代金が発生します。EA価格はおおよその相場こそあれど、基本的に製作者の言い値です。御託を並べただけで中身のないEAでもウン十万で売れました、なんてのも珍しくありません。

しかし比較する指標を持たない初心者の方にとって「価格」や「人気」、「認知度」はEA選びの要素になりがちです。実際に価格もそこそこして人気と認知度を兼ね備えた質のよいEAもありますが、まず見分けることは困難です。付け加えて資金管理やDDへの正しい理解など、仮に”ホンモノ”だとしても初心者は使いこなせず終わる可能性があります。

などを踏まえた現実的なニーズとしては、
「バックテストは面倒くさい」し、「EAを買うための資金がない」が本音だと思います。そこで生まれたのが「IB形式でのEA提供」です。

簡潔に言うと「EAはあげます😀代わりに指定のブローカーで口座開設して使ってね😀」という仕組みがIB形式です。EAが欲しい人はEAが手に入り、開発者はIB報酬がもらえる。ウィン・ウィンの関係だなんて言われます。

ようやく本題ですが、EA-BANKはIB形式のEA提供を事業的に行っているサービスと思ってもらって問題ないです。


EA-BANKの収益構造

ここで気になるのが、IB報酬は儲かるのかということです。
キックバックされる金額は、ブローカーによって異なります。さらにキックバック率はブローカー側と交渉することで、より好条件の契約を結ぶことも可能です。一般的にはスプレッドの広い業者ほどキックバック率も高いと思ってもらって問題ありません。

引用元:https://ea-bank.com/kouza/

国内でも人気どころの業者でいうと、TitanやTradeViewでしょうか。
例としてTradeViewの場合、タリタリでは1lotあたり8.5USD(円換算148円で1,258円)のキャッシュバックレートが設定されています。

たとえば1日に1lotの取引を行う場合、20営業日で25,160円のキャッシュバックが発生します。そこそこ大きい、というより買い切りEAを一つ購入できそうな金額になります。

短期の比較では、

IB経由で得られるCB金額 < EA買い切り代金 

の構図になるわけですが、長期的にみるとこの関係は逆転します。IB配布を行う側からすると、バンバン取引して、大きなロットを張ってもらえば、早期にEAを販売するよりも多くの利益を得ることができるというわけです。

ただ現実的には勝ち続けるEAも人も多くありません。IB配布を行う個人の中には、大して儲からないという意見が目立ちます。単なるポジショントークではなく、実際に上記の仕組みを考慮するとその通りだと思います。

そこでEA-BANKでは、

最低入金額の設定(取引ロット数の平均値を上げる)

無料利用でEAの複数起動を促進(取引回数の増加)

という仕組みをつくることで、安定したキックバックを発生させているものと思われます。


EA開発者にとってのメリット

開発者には、運用成績に応じて報酬を分配するシステムが採用されています。

「よく儲かるEAなら自分で運用すれば?」という意見を目にします。ごもっともですが開発者自身の運用資金が十分でない場合、EAを販売してまずは種銭を得たいというケースは現実的にありえます。

そういった場合、販売や配布はマーケティングスキルが必須です。実力はあるのに…という開発者の方にとっては、実際に運用しつつ報酬を得られる仕組みといえます。

またEA-BANKとしてはいま現在勝てるEAが生き残っていくという状態を作れるので、常にユーザー側に選ばれる環境を維持できるものと思われます。(生存バイアスの危険性)


ユーザー側にとってのメリット

「卵は一つのカゴに盛るな」戦略が”今すぐ”取れるというのは、魅力的なセールスポイントです。ポートフォリオを公開しているうまい方の運用を徹底して真似すれば、相関や最大DDやらのお作法を深く考えずに済みます。


結局誰が得をしているのか

EA-BANK側は儲かるから事業として行っているので、損ばかりでは立ち行きません。

開発者側にとっては、自身でマーケティングを行い販売・配布するよりかは稼ぎやすいかもしれません。登録後成績が振るわない場合には、報酬が得られない可能性もあります。

ユーザー側は、少資金でポートフォリオを組みたい場合には有用です。Twitter有識者の中には、今年は軒並みどのEAにも勝ちやすい相場だとする意見もありました。キャッシュバック分のコストが顕在化しやすい環境では、買い切りを選択するという意見も多くなるかもしれません。

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