新型肺炎COVID-19 5月9日の状況

前回の記事から10日ほどたったので,その後の状況をまとめる。

■各国別の比較
1.拡大率(新規感染者数/総感染者数)

各国比較 5月9日版

 データはworldmetersから一日一度採取してたもの(https://www.worldometers.info/coronavirus/)。4月末と比して大きな違いはない。日本全体として初めて拡大率0.01(1%)を切ったのは朗報。自粛の頑張りのおかげで,経済活動の再開が検討されているドイツやイタリアに並んでいる。人口百万人あたりの死者数で言うと,5/9時点でイタリアは503人,ドイツは90人。そして日本は5人。圧倒的に少ない死者数で同程度の拡大率を達成している。
 日本も再開を検討すべき時期だが,ここ数日報じられる韓国やドイツでのクラスター発生からすると,完全な再開は拡大率として0.001(0.1%)を切ることが必須と思う。

2.致死率

致死率 国際比較 5月9日

 致死率(死亡者数を総感染者数で割ったもの)は,当初の日本は3.5%程度と世界で指折りで高かったが,その後感染者数が急増したため2%をきった。5/9時点では感染者数の伸びと比べ亡くなる方が多くなったため,3.9%まで上昇している。しかし,各国とも上昇しているため,むしろ低い部類になる。
 主要国で高い順に,ベルギー16.3%,フランス14.9%,イギリス14.7%,イタリア13.9%,オランダ12.8%,スウェーデン12.4%など。当初1%台と低かったドイツは4.4%まで上昇している。
 年代別に見ると,高齢者ほど高く80代以上では日本も17.3%と高い(「年齢不明」とされる年齢非公開の143名では致死率が74.8%と極めて高く,実際の致死率はもっと高いと思われる)。韓国では3月のデータでの致死率が9.2%と低かったが4月のデータでは20.0%と上がっている。感染者が増えると,80代以上の致死率は20%程度になると思われる。

■日本の県別状況
 以下のデータはNews Digestで採取(https://newsdigest.jp/pages/coronavirus/)。

1.日本全体と東京

拡大率 日本と東京 5月9日版

 非常事態宣言後に凸凹しながら低下し,5/6に日本として初めて0.01(1%)を切った。感染者数の約1/3を東京が占めておりプロットはほぼ重なる。
 拡大率について,大阪大学の中野先生がk値という指標を考案された(http://www.rcnp.osaka-u.ac.jp/~nakano/note1.pdf)。k値とは
   k=1-(1週間前の総感染者数)/(当日の総感染者数)
で定義される。これは変形すれば
  k=[(当日の総感染者数)-(1週間前の総感染者数)]/(当日の総感染者数)
となり,記号化すればΔN/Nと基本的に同じ考え方である。日々の新規感染者数を割る拡大率より,計算はやや複雑になるが日毎の凸凹が均され傾向が読みやすい。

2.県別の状況

地域別拡大率 5月9日版

  ビジーな図で申し訳ない。非常事態宣言以後の1ヶ月で,各都道府県でほぼ1桁拡大率を下げているが,やや「安定度」が違う。素人意見では,プロットした県でいうと愛知県,福岡県は0.01(1%)を切る日も多くなっており,油断はできないが自粛を弱めても良さそう。
 兵庫も良さそうだが,やや不安定。東京と大阪はここから数日のトレンドを注視。0.01を切る日が続くかどうか。一時拡大が懸念された北海道も下がる傾向にあり,同じくここ数日を注視する。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?