新型肺炎COVID-19の終息イメージ

緊急事態宣言が延長されそうな中,「経済が死んでしまう」など反論が大きくなってきた。公開されるデータが分かりにくいので,あれこれ自分の感覚でものを言いたくなってしまうのは分かる。そこで,暇にあかせ素人分析だで公開されているデータを解析しているので,そのいくつかを参考に出してみる。急いで書いてるので,古いグラフもあるけどご容赦。あくまでデータの話で,そうなっている事情は斟酌していない。

感染拡大の解析方法
感染状況を把握するグラフとして有名なのはFinancial Timesが掲載している下記の図で,横軸に「100人目の感染者がでてからの日数」,縦軸に累積感染者数の対数をとっている(https://www.ft.com/coronavirus-latest)。

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この図は,感染拡大期には「2日ごとに感染者数が倍になる」等の補助線を引くことで,拡大率が読め国ごとを比較できる。しかし,総感染者数が飽和的になりプロットが横ばいになると変化が読みにくく,収束しているのかはっきりしない。
数学が得意な友人たちとメールで議論した結果,「日々の新規感染者数」を「累積感染者数」で割った日々の拡大率をプロットすることが良いとなった(ほとんどは友人たちが考えた)。つまりこのプロットの傾き,微分係数を数値的に求める。説明は下記で,別のところに書いた記事の切り貼りで恐縮。

画像2

医療崩壊のことを考えると,a(day)が0.1を下回るかどうかが判断上のポイントとなる。

各国の拡大率比較
比較のため,worldmetersがまとめているデータを用い(https://www.worldometers.info/coronavirus/),日本・中国・韓国・イタリア・スウェーデン・ドイツ・英国・米国をビジーな図になるがプロットした。日本は赤線で示した。

日毎の増加率国際比較 リニア

感染拡大期には0.5(2日で感染者数が2倍になる)を超えることもあるが,日本以外では次第に爆発的な感染が収束している様が読める。
日本は0.1付近を上下し,封鎖等の対策を行った他国のように収束する傾向がはっきりしない。0.1以下を拡大するため,拡大率を対数でとる。

日毎の増加率国際比較 対数

封鎖した中国,検査と隔離を徹底した韓国が速やかに0.01を切り,0.001を達成している。感染者数が2倍になる日数は,拡大率0.01だと70日,0.001だと690日,0.002で347日。素人意見だけど,0.001付近になれば感染拡大は抑え込めたと言って良いだろう。
スウェーデンの「自粛なし」は間違いで少なくとも3月は日本より行動抑制していた。封鎖しているイタリアより拡大率は大きく推移しているが,次第に拡大率が下がる傾向は同じ(対数スケールなので僅かな違いが大きな差になる)。
日本が特異なのは,前述のように0.1付近をうろうろしていること。他国のように爆発も起こしていないが,さりとて,4/7の緊急宣言後も下がる気配が見えない。結果的に,先を読むことが難しくなっている。収束のイメージを描きにくい。

最新のデータをみる。4/28時点のデータ。ソースはworldmetersで統一。

各国比較 4月28日版

ビジーで申し訳ないが,イタリアとドイツを筆頭に,英国や米国も0.1を切り単調減少中。0.001を見通せる状況にある。
自粛しかできない日本だけど,緊急事態宣言前は主な国の中で最も拡大率が高かった。他国と同様の下降トレンドに乗っていない。宣言以降は,単調ではないが段階的に拡大率を下げ,善戦している。しかし,これはかろうじて0.01が視野に入ったという意味での善戦で,ロックアウトで今後も拡大率を下げるだろう他国に伍していくには,引き続き自粛を続ける以外にない。0.01は安全圏ではなく,もう1桁近く下げないと感染を抑えたとは言えない。
連休中にどこまで0.001が見通せるか,それが全国に出ている緊急事態宣言を継続すべきか,部分的にでも解除すべきかのポイントとなると思う。

日本国内について
ここでは日本全体を扱ったが,この手法は各県別に使うこともできる。
次のノートではそこを扱う。

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