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続・京都〜日光を9日間で走った話(その2)


当選!? 本当ですか?

この思いがけない知らせを受けて、私は非常に驚きました。思えば東京マラソンなどは度重なる応募にも関わらず一向に当選する気配すらなく、最近では「フルマラソンなどタイムと距離が測定できればどこも同じである」という打算的思考の元、かの大会には全く応募すらしなくなっていた私にとって、GW前に届いた上記の知らせはまさに晴天の霹靂と言うべき朗報でした。

話を一ヶ月前に戻します。
京都〜日光の大会へのエントリーも首尾よく終え、事前の予習も怠ることなく済ませた私には、あとはコース上の補給ポイントの計画立案を残すのみとなっていました。
しかしみなさん、今年は4月末に、とある全国的な大規模イベントが企画されていたということを覚えていらっしゃる方はおりますでしょうか。

それは、統一地方選挙と呼ばれるものです。

上記のようなイベントは、私はこの年になるまでさほど関わりのないものと認識しておりました。むろん日本国民たるもの、自らの主権を明確に行使する貴重な機会は大切にせねばなりませんが、しかし「行使する」と「行使される」の間には雲泥の開きがあります。かくいう私も、およそ一年前、知り合いの市議の方から「引退するからぜひ後継者として出てくれ」などと言われて仰天することになろうとは一体誰が想像したことでしょうか。

私のようなものにまでそのような要請が来るとはこの世界はよほどの人材難なのかと想像したのですが、どうやらその通りのようで、立候補して選挙活動をするのにも多大なお金と時間を要しますし(当然その間は無給)、当選しても身分の保証は4年のみ、その後も議員活動の他にも支持者や地域の対応やお役所への対応、活動報告の作成や地域への配布、機関紙の配達や集金など身を粉にして働かなければならず、しかも給料は今の半分以下、SNSでは叩かれる、むろん落選したら一から就職活動が必要、となると、さすがに今の私にはハードルが高すぎます。
「無理です」「そこをなんとか」といった果てしない応酬が続いていた中、その後無事新しい候補者が見つかり、私はその代わりその方の応援ボランティアをすることとなりました。

しかし、選挙カーの運転、電話名簿を元にした電話かけ、早朝の駅での宣伝、付近の家へのビラ配り、などの作業に週末のかなりの時間を割かざるを得なくなりました。これも貴重な人生経験の一つであると自らを叱咤激励していたのですが、それにしてもたかが選挙にこれほどまでの壮絶な大変さがあったとは。中学生の時の生徒会の選挙くらいしか経験していない私は、今までの人生の認識の甘さをカスタードプリンを乗せたソフトクリームのごとくつくづくと思い知らされることとなりました。
唯一の慰めは、選挙カーを運転している時に笑顔で手を振ってくれる人がいたことでしょうか。これは非常に嬉しいので、皆様もぜひ選挙カーの中に疲れた運転手の顔を見かける機会がありましたら、「うるさい!」などと思わずぜひ大きく手を振っていただけると幸いです。むろんその方に投票していただく必要は全くありませんので。

というわけで、本日の冒頭のセリフに繋がるわけです。いやはや、今回の当選に比べれば東京マラソンの当選など全くどうでも良いことです。そうですよ! フルマラソンなんて別にあんな華やかなものである必要は全く無く、もっと参加費が安い河川敷を延々と走るコースで十分なのですよ。

今年出走したさが桜マラソンの参加者に送付されてきた地元小学生のメッセージ。こうした心のこもったメッセージも地方のマラソン大会ならでは。



そうして出走前の一ヶ月間の週末に貴重な人生勉強をさせていただいた私は、その代償として補給計画を一切立てることもなくスタートの日を迎えることとなったのです。そしてレース当日夜明けとともに家を出て、思いがけず大混雑していた朝6時発ののぞみ号になんとか座った私は、東海道の車窓を眺めながら今日の行動計画を考えていました。まぁ去年も出ているわけだし、スタートしてしまえばなんとかなるだろう。

しかし、私は初日から、自らの学習能力の無さというものをつくづく思い知らされることになります。

(次回に続く)

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