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300字小説まとめ/tononecoZine

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300字ショートショートのまとめです
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紙さま!

きのう古本屋で買った文庫本から「ニャア」と鳴き声がした。 たしかに、紙と紙の間にはあらゆるわくわくが挟まっている気がする。ノートだとか本だとかコピー用紙のかたまり、それぞれの隙間に。 ページを捲るたび、時には星々が煌めき、カラフルな未知がその片鱗を魅せ、触れたことのないおまじないや祈りの言葉がそこに息づいているような。 え?でも、こんなところから猫?? 今度は文庫の隙間から白いふわふわとしたしっぽがのぞいている。ゆったりと、左右に振れるしっぽ。 やがてするりと、黄色い

ドリーミン・ポン・デ・ケージョ

今日は購買でお気にのパンが買える日。通っている高校では週一で街のパン屋が出店する。私はその店のポンデケージョの大ファンで、朝からそのことで頭がいっぱいだ。あのチーズの練り込まれたもちもちは罪。 4限が終わって足早に購買へ。 もう顔馴染みになったレジのおばちゃんが「特別なのあるわよぉ!」と一番に教えてくれた。指さす先には特大のポンデケージョ。瞬間、私のテンションは爆上がった。ずっしりみっちり座布団の親戚みたいなそれを買って教室へ戻る。 いざ食べようと思ったけれど、なんだか愛