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速くならないと悩んでいる貴方に

 またまたの「お前が言うな」シリーズで、フォロワーさんの顰蹙をかなり買いそうな記事タイトルですが。今日は、自分の評判が下がるのも恐れずに、ちょっとこのことについて書いていこうと思います。

 私がグランツーリスモの広いコミュニティの隅っこに陣取るようになって三年半近くが経ちました
 この間、ツイッターでグランツーリスモ絡みのTLで「もっと速くなりたい」と熱い気持ちを持つ初心者・初級者の方が入れ代わり立ち代わり現れるのを見てきました。そのたびに私なんかは「ああ、そのうち私よりも速くなってしまうのね」と年寄りらしく見ているのです。

 実際、最初は私より全然遅かったのにみるみる間に速くなって「今日の公式戦は第○部屋でxxx点取りました!」みたいなツイートをしていて「もう自分の手が届かないところに行ってしまったなあ」と思うこともしばしば。三年半もこの界隈にいれば、今は速いと評判のあの方やこの方が遅かった時代も見てきているのです。センスがあって努力ができれば、一年もあればいいとこまで登り詰めますからね。

 ところがですね。走りや取り組む姿勢を見ていて、あの辺までは速くなるんだろうな、と思った人がそこまでたどり着かないこともしばしばあるのです。これは絶対的な物凄い速さの話ではなくここまでは成長するだろうなという、グランツーリスモで言えばA+にはなるよね、Aまではいくよね、というレベルのお話。このへんまでは成長するだろうな、伸びるだろうなと思った手前で止まってしまう

 お前の見立てなんかあてにならないと言われればそれまでではありますが、自分のことは、意外と自分でわからないのに周囲で見ている他人のほうがよくわかるというのも実は世の常でして。外から見ている分には、なぜその人が速くならないかははっきりわかるのです。
 これは別に私が速いとか見極めのセンスがあるとかでなく、長くやってる人の多くは似たようなことを感じた事があると思います。つまり誰でも他人のことは客観視できるからよくわかるということ。

 かといって、それをはっきり本人に伝えるかというと、それもなかなか難しいわけです。ネットを通じたコミュニティで、繋がりはあるけどそこまで深い関係ではない場合、相手にとって厳しいことや耳に痛いことというのは普通は言えないし言わないですよね。
 時には、本人は「どうして自分は速くならないんだろう…」と悩み訴えるけど、周囲は核心に触れずにそっとしておくか、当たり障りのない言葉をかけるだけというなかなかにいたたまれない状況が生まれるわけです。

 そういう状況を外から見ていると、みんないい人だなーと性格の悪い私は思いますが、かといってそういう私も面と向かってはやっぱり言わない。
 ただ、そういう事例を数多く見てくると、どうしても私の中に澱むものがあると。以前にも宣言していますが、このnoteでは言いたいことを残しておこうと思っているので、ちょっとそのへんを吐き出していこうというのがこの記事の趣旨となります。

 記事をお読みいただく前に前提として強調しておきたいのが、これは「速くなりたいのに速くなれない」とそれなりに真剣に思っている人に向けての内容だということ。
 私自身がそうですが、レースで勝てればそれは嬉しいし、負ければ悔しいけども、一番の目的は楽しむことで、速くなることや勝ち負けに第一の重きをおいていない方には関係のない記事となります。一言で言えば、負けたけど楽しかったと笑顔で振り返ることができる人には必要のない話です。

 また私をご存じの方はご承知のとおり、私自身がそんなに速いわけではないので、技術的な内容は基本的にはありません。年寄りとしての人生経験も加味した私の考えとなります。そういう点では、人によっては当たり前のことしか書いてないじゃないか、と思われるかもしれません。そのとおり、私も社会の常識に近い、基本的なことを書いていくつもりです。

 長い前置きはここまでにして、ここからは「なぜ君は速くならないか」について、私が見てきたことを書いていきたいと思います。
 なお、以下で「1」はあくまでもそもそも論として書いてまして、私がもっと速くなるのになあと思ってる話は「2」以降ということでご承知おきください。

1.適性があるか

 いきなり身もふたもない見出しですが、グランツーリスモで言えばかなり長くやっていてプレイ時間も結構なものなのに、CとかB下位からなかなか抜け出せないという場合にはちょっと必要な視点。というのもこの年になると、適性の大切さというのを身をもって知っているわけです。

 二十代くらいの若い方に特に伝えたいのですが、例えば、職業をとっても、この年になるといろんな業界、職業を見てきていますが、業界によって評価される人材の基準というのは全然違うわけです。
 わかりやすく言えば、お堅い業界とイケイケドンドンの業界では全然違うわけです。当該業界の方がお気を悪くされたら本当に申し訳ないのですが、一例をあげれば、銀行と不動産で評価される人材はまったく別物だと私は思っています。公務員とテレビ局みたいな芸能界なんかもそうだと思います。

 もちろんどの職業でも高い評価を受ける、優れた能力を持った方はいます。でも、それはどちらかというと「適性」ではなく「才能」のレベル。
 年をとると思うのは、人の適性というのは若い時に思っていたよりもいびつで凸凹しているもの。本当に一人ひとり人間は違うし向き不向きがある

 最近は「自己分析」とか言うらしいですが、よく就職活動で自分のことをよく知りましょう、みたいなことを言いますよね。私もかなり昔になりますが、当時はめんどくせー、うざってーぐらいに思っていましたが、あれ、やはり大事なのです。自分がどんな人間で、どんなことが得意で、どんなことが不得意かを知っておくことは。就職(特に新卒)は人生を大きく左右するので(現在は随分違うでしょうが)。

 で、かなり話が脱線しましたが、ゲームでも同じことが言えるわけです。その人の適性から見て、向いているゲーム、向いていないゲームというのが絶対にあるわけです。
 自分の例で言えば、そもそもアクションゲーム全体が下手なんですが、特に辛いのが3DのものとかFPS。触りますけどそのたびに適性のなさを実感します。要は自分が若い時に存在しなくてやっていないタイプのゲームなんですね。

 「Rocket League」という車を使ったサッカーゲームがありまして、結構好きでいまでも時々触っているんですが、何年やっても全然上手くならない。練習してもできないのが3Dの感覚が必要な空中戦。
 で、あるとき知り合いのフレンドさんがそのゲームを始めたと言うので、一度ご一緒したんですね。フレンドさんははじめて1ヶ月とかそのあたりだったんじゃないかと。一方、私はもう一年以上やっている状況。
 なのにですね、もう全然動きが違うわけです。フレンドさんは空中を華麗に飛び回り、シュートを撃ちまくるのに、私は地上で落ちてくる球を待って、その球すらも満足にミートできない有様。プレイ期間も費やした時間も全然違うのに、フレンドさんのほうが遥かに腕前は上。このときほど適性の違いを実感したことはなかったですね。

 もし、ゲームを、プロとは言わなくても高いランクを取るためにやるというなら、自分にあったゲームを選ぶことは必須です。これはグランツーリスモだけでなくどんなゲームでも同じ。
 ただもう一度書いておくと、私の「Rocket League」みたいにずっと低レベル帯でもプレイしてて楽しいからいいんだ、という人には関係ないお話です。あくまでも上を目指してプレイするなら適性は大事、というお話。

2.練習をしているか

 これまたぱっと見ると身も蓋もない見出しに見えますが、これはちょっと奥の深いお話。
 私もそうですが、いろんなゲームやりたいから一つのゲームに時間取れないんだよねーという方は、そもそも時間を費やしてないのを自覚しているから、速くならないと悩むこともないでしょう。
 ここで触れるのは、毎日○時間、ライバルのあいつと同じくらいやってるのにどんどん差をつけられていくのに悩んでいる、みたいな場合のお話。

 結論を書いてしまうと、そういう方をよく見ていると「毎日○時間やっている」といってもプレイしている(遊んでいる)だけなんですね。練習していない。漫然とフリー走行やレース練習を繰り返しているだけ。

 どんなことにも共通しますが、長くやっていれば慣れ(習熟)の分だけは上達します。グランツーリスモで言えば、コースを覚える、車の動きや操作を覚える。要は反復による上達。

 誤解がないように言えば、反復は結構な効果があります。これだけでも相当上達するでしょう。ただやっぱりそれだけではどこかで頭打ちになることが多いし、陰で工夫しているライバルには差をつけられる。人と違いを出すにはやっぱり一捻り工夫が必要なわけです。

 となるとやっぱり「練習」が必要になってくる。練習をどう定義するかは様々な考えがあるでしょうが、大体は「目的を明確にし、その目的を達成するための手法を選んで実行する」ことになると思います。
 例えばあるコースで○秒台を出したい!となれば、更に目的を細分化して何を改善する必要があるか。目的を決めてそれを達成するためには何をすればいいかを考えなくてはいけない。

 そして、一番大事なのは練習したあとで上達という狙った成果が出ているかを確認すること。この後の項目の話とも重なりますが、今日も練習したぞーだけで終わっている方は結構いらっしゃいます。
 上達している手応えがなければ、目的か手法のどちらを見直す必要がありますが、それをしないで漫然と(実は効果の低い)練習を続けている方は少なくなりません。
 ちゃんと目的を持った練習もやってるのに速くならない…という方は、自分の上達度合いを記録をつけて振り返っているか、練習は効果が上がるものになっているか、見直されることをお薦めします。

 なお、私はほとんどのゲームでゆるゆるエンジョイ派なので、しっかり「練習」することはほとんどありません。くどいですが、それはそれで立派な楽しみ方だということははっきり書いておきます。

3.同じ気持ちの仲間がいるか

 もちろん一人でプレイして上達する手もあります。一人の練習で相当なところまでうまくなる方もどのゲームでもいらっしゃいます。一方、仲間と情報交換や切磋琢磨しながらレベルアップするというのも、これもゲームに限らず何にでも共通する王道の方法です。

 もし、仲間と一緒に練習しながらレベルアップを目指すという場合に強調しておきたいのは、自分と同じ気持ち、同じ考えでゲームをしている仲間と一緒にプレイしているかという点です。

 大学における体育会と同好会の棲み分けみたいなもので、自分の活動に対するスタンスと仲間のスタンスが違っていると、後々あまりハッピーでないことになります。
 真剣にガチで上手くなりたい勢と、技量の追求は程々でエンジョイ中心勢。言うまでもありませんが、どっちが正しいというものではありません。ゲームに対する姿勢も含めて、自分とある程度同じ考えの仲間がいるかが大事。

 そういうグループ全体のスタンスが一致した上で、さらに、グループの中に自分と同じぐらいの技量(でスタンスも同じ)の親しいメンバーがいると更にベストだと思います。
 周りが上級者だけのほうがいい環境のような気がしますが、自分と同じレベルのプレイヤー(もしくは自分より一枚上手いくらい)がいるのが一番練習効果は大きく上がります。
 今回のような事例だとまずないでしょうが、逆に自分が一番上手くて、周りは自分よりも…という中でやっていると、なかなか練習の効果が上がりにくい。

 近くに同レベルで同じ考えのプレイヤーがいると、様々な場面でベンチマークにしやすいことに加え、練習結果を振り返る過程で、仲間から疑問や悩みを伝えられたら、自分なりの答えを考えて発言し会話しなくてはいけない。
 周りが全部上級者だと、日本人はつい上下関係でアドバイスを一方的に聞くだけになってしまう。ディスカッションが発生しないんですね。それだと自分の上達について自分で考えなくなってしまう。

 私自身を振り返っても、幸運にも本当にほぼ同じ実力の親しいフレンドさんがいたことが大きかったと思います。
 ここまで話してきたようなメインの練習グループがあった上で、時に外のグループに武者修行ではないですが、出稽古にでかけていくのが一番理想の形かと思います。

4.自分の現状にあったことを教わっているか

 長い間見ていてこれも気になっていたこと。初心者の方がいると、親切心から周囲にいる上級者が自然といろいろと教える環境が生まれることが少なくありません。かくいう私ですら、アドバイスめいたことをすることはあります。
 アドバイスを貰う方もやはり嬉しいものです。何でも先達に聞くのは上達の一歩という常識がありますし、上級者が自分のことを考えて言ってくれることはありがたいもの。

 ただ、そういう様子を何度も見ていて、気になることも多々あって。それは、上級者のアドバイスというのがかなりの確率で(私のアドバイスも含め)、その人の現在の状況や課題にあっていないことが非常に多いということ。

 そもそも人に教えるというのは非常に難しいことなのです。私と同年代の方の多くは、仕事で先輩として上司として、教えたり指導したりするポジションに立つことも多いと思いますが、それが何と難しいことか。
 同じやり方が通用する人は絶対にいません。一人ひとりのパーソナリティに合わせて、その時の状況に合わせて声をかけ、色々考えてもそれでも思いどおりにいかないことばかりで。私なんかは「自分は本当に教えるのに向いてない」と本当に日々ため息をついております。

 その分野の技量が高ければ、教えるのが上手いかというと決してそんなことはなくて。名選手必ずしも名監督ならず、なのです。
 日本の特徴として、昔からある様々なものは技量が高ければ指導者の免状を与えるようなところがありますが、繰り返して言うと、個人の技量と指導者としての能力は、説得力の部分とかある程度リンクするところもありますが、基本的には別物です。リンクするなら金メダリストが常に最良の指導者ということになってしまう。

 日本でもサッカーを皮切りに、プレイヤーとしての実績と指導者としての資質を分ける(指導者ライセンス制度)考えが徐々に定着してきました。引退する名選手が「私は指導者向きではないのでその道は目指しません」と発言することも珍しくなくなりました。
 多分、そのこと自体は多くの人が頭ではわかっていると思います。でもいざ、初心者を前にするとそれを忘れているのではないかというシーンを多く見ます。

 教える能力で言うと、私の某フレンドさんは教えることが非常に上手い。その方に教わると、非常に様々なことが整理されてよく分かるんです。その方に教わったときには、自分との教える能力の違いを痛感しました。事実、その方に教わった方の多くは明らかに速くなるんですね。ああ、こういう人が教えるべきなんだと。

 だから、人に教える立場になったときに頭においておかないといけないのは、(プレイヤーとしての技量とは別に)自分に人を教える能力があるかだと思います。
 それを自覚した上で、教える時に一番気をつけなければいけないのは、自分が教えたことで教えた相手の能力が狙い通りに伸びたかです。
 もし、教えた相手の能力が伸びていなければ、それは教えた側の問題です。教えっぱなしでその見届けを相手の立場に立って丁寧にやっていない方が非常に多い。

 教わった人が、その人の現状ではハードルの高すぎる課題をなんとか達成しようと必死に努力したり、もしくは抽象的でどうやればいいのか曖昧な課題を何時間も練習しているのを見ると、色々思うところはあるわけです。
 練習しても全然成果が出なくて(それはそうです、教え方に問題があるのだから)、それでも上達しないのは自分のせいだと思って練習を続けている。

 教える上級者側の問題について書いてきましたが、本稿の趣旨に戻ってお話をすると、しっかり練習をしているのに速くならない理由は、その練習が間違っているから、ということになります。
 前に書きましたが、今日もたくさん練習した、終わりー!ではなく、期間を通じて記録を残して自分の変化を確認することが重要なのです。そして記録から、練習が自分にどういう変化をもたらしたかを知ることが重要なのです。そして、変化がなければアプローチを変えていく。多少の期間は必要ですが、いい練習はそれなりに早く効果を実感できます。効果が早く出るから、いい練習なのです

 ですから、速くなりたい貴方が、上級者から教わったことを練習しても成長を実感できない場合、まず教わったことを疑いましょう。ぶっちゃけて言うとほとんどの上級者の言うことは私も含めてあてになりません(汗)
 自分より上手いあの人の言うことだから、という考えはすぐに捨てることをお薦め
します。速くなるために、上級者の言葉を聞くことはとても大切ですが、必ず自分で取捨選択することが大切です。

 誰かにアドバイスもらいたいな、と思ったときは、単に上手い人ではなく、周りで教えるのを見ていて教えるのが上手いな、あの人に教わったらあいつすぐ速くなった。そういう人を見つけて教えを乞うのが一番いいです。
 それでも、教える側と教わる側の相性はあります。どんな生徒でも必ず能力を引き上げられるスーパー先生というのはそうはいません。ですので、教わってみて相性をちゃんと見極めて、自分に合ったことをアドバイスしてくれるかをしっかり確認する。

 グランツーリスモでも「これをやれば速くなる!」みたいな動画をたまに見ますが、これをやれば〇〇になる!みたいなものって世に溢れてます。ダイエット法なんかいい例ですし、株やFXなど投資絡みのものもそうです。
 その当人が成功した方法ではあるんでしょう。でも、それをやったらみんながみんな同じように成功するわけではないわけです(流石にわかってると思いますが…)。
 1年以上プレイ経験のあるプレイヤー100人がこの方法を試した結果、鈴鹿で平均1秒ラップタイムが縮みました!みたいな検証可能な実験結果があれば少しは心が動かされますが(笑)

 誰でも成功できる方法があれば、それが確立された時点で唯一絶対解があることになりますから。それがないからこそ、確立されていないからこそ、商売になるのであれだけ出続けるわけです。ダイエット法や投資方法なんて40年くらい出続けてるのを見てきてますから。
 だから、あくまでも一つの情報として参考にするくらいの気持ちで。眉につばつけるくらいの気持ちで接することをお薦めします。

 本当に教えるというのは難しくて。繰り返しになりますが、一人ひとりに応じてアジャストしていかなければいけないし、時期によっても違ってくるわけです。グランツーリスモならA帯・B帯・C帯のそれぞれで教える(学ぶ)ことも違ってくるでしょうし、一人ひとり得意なこと、できてることや、逆に課題やできていないことも違うのです。
 言い換えれば、一人ひとりに応じて教え方や伝え方を変えられること。これは絶対に教え方の上手い人の条件だと思います。

 最後になりますが、上級者の怪しいアドバイスを鵜呑みにして成長が止まっている人は多く見るので、もう一度、上級者を信じるな、自分で取捨選択が大事とお伝えしてこの記事を終わろうと思います。

 もちろん取捨選択が大事なのはこの記事の内容も含めてですよ(にっこり)