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素人による素人のためのデリバティブ入門 - 先物取引編 -

無謀ですが、自分の知識を整理したいので頑張って書いてみます。「先物は危険」が一般的な認識かと思いますが、金融商品としてではなく、通常の商行為にも使われる取引なので、知っておくと色んなことが理解できます。

私自身は、デリバティブはFXを含めてほとんど取引経験がありません。よって、概念だけの説明にとどまります。

※ 本記事は、当該取引を推奨するためのものでは決してありません。
※ 本記事は著者が知り得る情報の提供を目的にしておりますが、仮に読者が本記事の情報に基づき当該取引で損失を負ったとしても、著者は一切責任を負いません。

うどん屋と小麦

うどん屋を始めるために、原材料として小麦を仕入れることを考えます。

仮に、100kgを100万円で購入したとします。ただし、船で輸送するので到着は3ヶ月後とします。そのため、あなたの開業も3ヶ月後となります。

うどん一杯あたり、100gの小麦を使用します。従って、あなたは1000食のうどんを売る計画を立てています。

さて、3ヶ月後、首尾よく小麦が到着しました。ただし、その時に小麦の価格は100kgで80万円に値下がりしていました。100万円で仕入れてますので、このままだとうどん一杯あたり200円の赤字が出てしまいます。さて、どうしますか?

「先物取引」とは

先物取引とは、

● 指定された将来の「ある日」に、
● 予め決めておいた値段で、
● 「買う」または「売る」約束をしておく

取引のことです。

例えば、先程の小麦の例で考えます。あなたは、100kgの小麦を現物で買うと同時に、「100kgの小麦を、3ヶ月後に100万円で売ります」という約束をしておきます。そうすると、3ヶ月後は相場で80万のものを100万で売ることが出来ますので、こうなります。

● 現物買い・・・80万 - 100万 = -20万(損失)
● 先物売り・・・100万 - 80万 =  20万(利益)

これにより、現物買いの損失と先物売りの利益が相殺されますので、相場の価格変動により損失を出さなくてよくなり、うどんで利益を出すことに専念できます。

逆に、小麦が120万円に値上がりしていた場合は、

● 現物買い・・・120万 - 100万 =  20万(利益)
● 先物売り・・・100万 - 120万 = -20万(損失)

こうなるので、逆の場合でも相殺が可能です。従って、うどんで利益がでれば儲けをだすことができます。

差金決済

ところで、あなたが「売る約束」をした100kgの小麦は、どこから手に入れればいいのでしょうか?

自分が実際に買った100kgの小麦を、3ヶ月後に実際に売ってもいいんですが(これを「受け渡し決済」と言うそうです)、そうするとあなたは商売が出来ません。

ですので、先物取引では、期日までに反対売買をすることで決済するのが一般的です。100kgの売り建てをしていれば、100kgを買い戻す注文を新たにします。そうすると、売り買いの注文量が一致しますので、商品を受け渡す必要がなくなり、金銭の利益または損失額のみを受け渡しすればよくなります。この決済方法を「差金決済」といいます。

商行為における先物取引

小麦だけにとどまらず、一般的に農作物は天候などに収穫が影響され、価格は上下します。先程のうどん屋の例のように、現物と併せて先物取引を行っておけば、価格変動に影響されて本来の事業による利益が損なわれる可能性を減らすことができます。農作物に限らず、石油のような天然資源も、国際情勢などに左右されて価格が激しく動きます。このため、商社や原材料を加工する事業者などは、商材を扱う時に取引所で先物取引をするのが一般的、というより、やってなかったら逆に「投機(スペキュレーション)」と見做され損失が出た時に経営責任を問われる場合すらあるようです。

商品先物以外の先物取引

● 日経先物
対象原資産を「日経平均株価」にした先物取引。実態のない「株価」を取引しているので、決済は差金決済のみとなります。これも、詳しくないですが大きな機関投資家などが、先程のうどん屋の例と同じように、相場の下落局面などを予想して「売り建て」することによってリスクヘッジしたりするのに使うようですが、日経先物のみの売買で儲けをだそうとする人もいるようです。私はやったことありませんので詳しくないです。

● 金利先物、債券先物
資金調達のために、金融機関から変動金利で融資を受けている事業体が、金利変動によるリスクを減らして資金調達コストを固定するために、金利の先物(指定されたある日の金利)で行う先物取引です。これはプロの金融屋でないと理解が難しいと思います。私もわかりません。金利変動リスクを減らす、という目的では、債券先物が取引される場合もあるそうです。

まとめ

先物取引について書いてみました。江戸時代、米相場の乱高下から生まれたのが発祥だそうです。驚きですね。

先物というと、「リスクの大きい取引」というのが一般的な理解ですが、実はリスクヘッジのためのものだというのも、また驚きですね。

次回は、「オプション取引編」に続きます。


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