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ことばのこら

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あふれてこぼれた言葉の居場所、それはシェルターのようなもの
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#詩

時代

やっぱりね 会いたいんだよ 恋とか 愛とか で、なく あなたの落とす その言葉が愛おしく ただ 生まれてくれて ありがとう この 同じ時代に

生活の色

今日の色は何色ですか あなたの こころは何処ですか 台風一過の空の下 わたしの心はくすんでる 好きでなく むろん 嫌いでなく あなたが 笑っていればいい … … という、 たぶん強がりの話 (と)

また

ほら もう また 好きに 理屈を捏ねてる

梅干し

梅干しが食べたくなって 1ヶ月ぶりにごはんを炊いた 走り出したかった 泣き叫びたかった 春の雨の中を 真っ白い湯気の中を 梅干しのすっぱさで (と)

プラトニック

恋の終わりは あまりにもあっけなく 夜の夢から醒めるみたいに うつらうつらの中から 唐突に それは 呆気なくも 清々しい 愛と恋の違いは そういうことかもしれない (と)

白昼夢みたいな

大寒 覆い被さるような 白くて厚い空 しんと静かで すんと冷たく 昼間なのに 夜みたい 寂しいようで 落ち着く 足早に 家にかけこみ ストーブを点け 湯を沸かし あたたかい 珈琲を淹れよう あたまを 真っ白で 埋め尽くす その快感よ (と)

きみ

美しいものを 見れば見るほど 会いたいなと 浮かぶ (と)

そっか、

あぁ わたし 傷ついてたんだって 気づいてなかったよ (と)

満月

私が住んでいる国だけの話じゃなく 世界中の同じタイミングで “止まる”ことを余儀なくされたこの2年弱 いろいろなことを考え そして、感じた 生活の真横で 大切なものが 音もなく壊れ 普通があっけなく 奪われていくような気がした 見える人には見え 見えない人には見えない 忍び寄る分断に 恐くて涙が止まらなかった 不安、恐怖、憤り、失望、思考停止… 守りたい心さえも凶器になり 非常が平常になるなかで それでも 今、頭にあるのは この恋の行方だったりする これから何年か、何十年か

あさ

少しだけ泣いた夜 起きたら 赤ちゃんみたいな顔になってた なんだか 生まれ変わった気分 (と)

ねこ

会いたいだなんて バカみたいでしょ 片想いだよ (と)

安心のある場所

ことばは ことばであり ことばでなく あぁ、 ここが分かり合えるということは なにものにも変え難いものなのです (と)

新月

あんなにも カチカチだった心を 溶かしてくれたのは 月であり 朝陽であり 秋の柔らかな風であり 脆くも優しい ひとたちだった 黒く深い海に 飲み込まれないように 息をするのが精一杯だった夜 希望を求めて 見上げた新月 目覚めると 生まれ変わったように 橙色に凪いだ海が ゆっくりと身体に満ちる おおきく 途方もない あつみをもって 目を閉じ 息を吸って 固く結んだ 唇をほどき 全てを受け入れよう 大丈夫 呑み込まれやしないから (と)

だよね

だいじょうぶ だいじょうぶと 心が叫んで 本当に大丈夫?と 問うてみたけど 答えは明確 自分が一番 やさしくないのは いつものこと (と)