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ことばのこら

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あふれてこぼれた言葉の居場所、それはシェルターのようなもの
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2021年9月の記事一覧

そんな勇気もないのだから

好きはどこから湧き出て どこへ消えていくのだろう いつから溢れて どこで零れ落ちるのか 行く宛てのない感情の 扱い方もわからぬまま 夜の闇に紛れてしまえばいいと願う 胸に宿る小さな灯を 無意味だと罵りながら ギュッと目を瞑り朝を待つ あぁ そんな勇気もないのだから (と)

満ちる

書きたい 書きたい と、 心が湧く (と)

ジャム

朝のひかり 窓辺に並ぶジャム ボールには栗の皮 ふいに届いたレモン搾り アボカドの種 暮らしの中で 今日もまた 朝がきた (と)

…ぁ

日曜日の朝 二度寝 あなたの歌声 猫のヒゲ

月夜

台風一過の今日 夜のはじめ頃 あまりに月がきれいで ベランダに出て ビールの栓を開けた つい 一週間前は 夏の終わりを はしゃいでいたのに たった数日で 彼方に感じるほど秋めいて あまりにも 馴染んでいる身体に 少し戸惑う なんだかんだで 喜怒哀楽と 忙しい たぶんきっと いつだって こうして 色んな感情と 生きていくんだ 悲しくて苦しい 悔しくて恐い 軽やかでくすぐったくて 嬉しくてあたたかい こんな日は 少し夜更かししても いいよね (とんこ)

着々と

かたくなな その心で 蝕んでいるのは 私自身だ 少しずつ 確実に 見えないように 見ないふりして 着実に 平気な顔して だって 痛くはないもの すぐにはそんな あれ、 前にもあったね こんなこと 直ちに影響は出ませんからって そうして じわじわと いつの間にか 一番の敵は わたしだ 守るようで 恐れて 追い込んで どこまで行くの なにを守るの かたくなな その心で (と)

夏納め

こどものころ とりこんだ布団の山 寝転ぶ温かさ 優しい夕暮れと 色なき風 久しぶりのお月様 気持ちのいい一日の終わり どんな時でも 変わらずに愛おしいもの (と)

花束

小学生の男の子に 大葉とエゴマの違いを教えてもらう こっちの方が葉がギザギザしてるでしょ 何より香りが違うからすぐわかるよ! 新聞紙でくるんだ赤紫蘇を花束だよ、と差し出され…胸がドキドキ (と)

白露 新月

8月の終わりと共に訪れた 秋のまんなかのような風 久しぶりの晴天に 夏を惜しんでいたのも忘れ あぁ、秋だねと見上げる私は 相変わらずゲンキンだなと笑う ふかい息をひとつ吐いたら 次の季節へ向かおう 美しい秋のはじまり (と)

ねこ

ただただ 目の前にある わたしの生活を送ること それに集中して 時に放り出して 笑って 泣いて 怒って そういうことで 守れるものがあると 信じていられる強さを持ちたい それさえも かたくなだねと あくびする猫 (と)

すきのはじまり

あの頃は 珈琲を豆から挽くなんて考えもしなかったし そもそも部屋で珈琲を淹れた記憶がない いつから好きになったのかも曖昧で 珈琲がコーヒーになって珈琲になったのも知らない 好きのはじまりを知らない (と)

ファミレス

足早な新宿駅とか24時間のコンビニとか マニュアル通りのチェーン店とか そういうものに救われる夜もある 夜中にファミレスでコーヒーも飲めないなんて 不健全じゃないかと思う (と)

ぼくのなつ

友だちと 笑ってごはんを食べました 手をつないで遊びました なんだかからだがふくふくして とっても気持ちよかったです 心ってこんなに軽かったんだね 夜はぐっすり眠りました こんなおおらかな夜は久しぶり 知らぬ間に 鈴虫が鳴いていて 秋の風になっていました 昨日と同じ今日なのに すごくまぶしく感じました どうしてかな わからないけど あたたかい涙がこぼれました ぼく、今を生きたいです。 2021年、夏 緊急事態宣言の中 ほんの数時間のこと (と)

願い

会いたい気持ちを 力に変えたい だから今は 強がらせて (と)