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「くじらぐも」音読劇を終えて 

 今日、くじらぐもの音読劇の発表会をした。例年、3月の学習発表会で1年生全体で行っているところを、各クラスで劇をつくって見せ合う形にしてみた。僕は学習発表会でみんなで合わせて、一つのことを行うことにあまり価値が見出せない。練習時間は多い割に、一人ひとりが試行錯誤する機会が少ないように感じるからだ。

 卒業式や運動会の練習もそうだが、学年単位での動きになるとどうしても教師が主体で指導し、子どもはそれに従うという構図が多くなってしまう。もちろん学年単位でも子ども中心に指導をしている人もいるだろう。けれども、やはり人数が増えるとその難易度はかなり上がってしまう。

 そこで今回は「くじらぐも」を5つの場面に分け、それぞれの場面でグループで担当する形の劇にしてみた。こうすることで一つのグループにつき約5人のメンバーで取り組むことができる。これで子どもたちが主体的に活動しやすくなるだろうと考えた。

 けれども、劇をつくるための練習はそんな簡単にはいかなかった。誰がどこを読むのか、どんな動きをするのか、劇に使う小道具はどんなものを作るのか。子どもたちはグループでもめにもめながら進めていた。時に腹を立てて拗ねる子や友達が話を聞いてくれないと泣いてしまう子もいた。僕はそんな姿を見かねて、つい腹を立てて口を出してしまうこともあった。

 しかし、徐々に子どもたちは自分たちで劇の形をつくりあげていくすがたが見えてきた。その姿を見ていて、やはり子どもには学ぶ力が備わっていると感じさせてもらった。

 本番の発表はもちろんツッコミどころは満載で笑ってしまうようなところもあった。3クラスの劇をみんなで見合うと同じ作品の劇なのに全然違う演出になっていた。それもまた、僕らにとっても子どもにとっても面白かった。違いを楽しめるいい機会にもなったと思う。

 振り返りを書いてもらうと「うちのチームが一番チームワークが良かったです!」と書いている子がいた。その子は練習の序盤で「もうこんなチーム嫌だ。やりたくない!」と怒って泣いていた子だ。この劇をつくる過程で感情が大きく動いたのだろう。それはきっとその子が自分の手と頭と口をたくさん動かしたからこそ得られた感覚なのだろう。

 学びのつくり手の感覚を少しでも感じられた機会になっていたらいいなぁ。

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