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【映画カラダ探し】41歳のおじさんが戦慄しつつも郷敦に惚れちゃう、熱々ホラー

映画「カラダ探し」観ましたか?!
私は何度も観させていただきましたが、熱!熱々です!

先にいうと実は私はこの映画の一応関係者の末端の末端なんです、が…
とはいえ映画本編には1mmも関わっていません。
関わってるものを語るのは苦手だが、関わってない好きなものは存分に語れる特性持ちの私が、これから映画本編の魅力をたっぷり語ろうかと思います。

いや良かった良かったよ〜!
初回の上映会で観終わったあと、もう作った人を抱きしめたくなったよ。実際には恥ずかしくて抱きしめてはないけど鼻息荒く興奮して「良かったす!良かったす!」とその場では伝えれたはず。

公開初週が終わり2周目のそろそろ落ち着いた頃で、感想書いてもステマっぽくないかなと思ったら、まさかの前週比100%※なんですって。動員全く落ちてない。驚異的すぎて意味わからない。※公開週と2週目の日曜日対比
映画って普通は公開初週の動員が大きくて、あとは落ちていく一方なんですけどね…。口コミがすごいみたい。

私は映画が終わったあと「日本のホラー映画が進化した!」とウルウルし、さらに「眞栄田郷敦に惚れた郷敦かっこいいよ郷敦!」ってなりました。41歳のおっさんなのに。

映画の良かったポイントを推敲なく羅列します。
自分の好きなものは無限に書けるので無限に書きます。
※ストーリーや設定は知ってるものとして省略します。
※しらない? 原作の小説も漫画も素晴らしく良いのでぜひこの機会に。この初期設定を成り立たせた上に、毎話サービス精神旺盛すぎて設定もりもりになったのに破綻せずにまとめきったウェルザード先生はやっぱりすごい


Jホラーではなくハイテンポなスラッシャーホラー

この映画は「Jホラー」文脈をことごとく踏まない!

先に言っておくと私、Jホラー大好物です。
…ただ。…ただですね、Jホラー演出ってどうしても段取りに時間がかかる。そのうえで時間がかかる割に絵が地味。しかも粗製濫造されまくった結果、お客さんも演出慣れして効果が出しにくい袋小路にある手法なんです。
現代人にJホラーのリズムはなかなか相性が悪い。とも言えます。

そこでこの映画はJホラー文脈を無視し洋ホラーライクな演出を超ハイテンポにぶちかましてくれます。イメージで言うと「純粋な肝試し」というより「最新のお化け屋敷」といったほうが伝わりやすいかな。
パワフルな怪異が手を変え品を変え高速で襲ってスラッシュしまくり。画も映え映え。
邦画ホラーはどうしてもリング以降「Jホラー」の呪縛があったんですが、いっそこっちに割り切るのはとても良いチョイス!
ケレン味のあるアクションが得意な監督さんなんで、その持ち味を存分に感じさせていただきました。


赤い人がシンプルにいい、ホラーとしていい

この映画に登場する最恐の怪異「赤い人」。シンプルにいいです。ホラーファンもニッコニコです。
演じてるのが10歳ぐらいの子供なんですよね。すごい。
アクション色の強いホラーで子供を起用って、なかなかできないと思うんですが、これが大成功してる稀有な例。
リアル子供にしか出せない原作の恐怖感をだしつつ、特殊な演出をフル動員でエクソシストー!貞子ー!チャッキー!みたいなホラーヴィランズ大集合みたいな演出を大盤振る舞いで組み込んでくれる訳でして眼福眼福。
ホラー業界に注目のニューカマーが爆誕です。
あと詳細は言えないが、第二ラウンドで、ドーンとなってクパーとなるのめっちゃ好き。こういうストレンジャーでシングスなの大好き。


ループ設定の活かし方がうまうま

ループものって利点がいっぱいあるんですよ。ただ単調になりやすいとか、段取りに時間がかかるとかデメリットもあるんですが、今回はその利点を活かしきった構成になってました。

まずはループの活かし方その1。大事なキャラを殺しまくれる
普通の映画だと主人公や登場人物はそう簡単に殺せないんですが、この設定なら殺しまくれます。冒頭で橋本環奈さんの◯◯な殺し方を観れるのはおそらく1000年に1度のこの機会だけだと思います。この顔観れただけで1,800円の元はとれた。

ループの活かし方その2。心情伏線をたっぷり配置
意外な黒幕といった作品ではないのでサスペンス的な伏線、ではないんですが、ちょっとしたアイテムが数周目でさりげなく心情を表現するアイテムに化けるってのがあるんですよ。身につけてるものだったり、置いてあるものだったり、お弁当だったり、髪型だったり、呼び方だったり…、あまり挙げると野暮なんですが、きちんと回収されて綺麗につながるんですね。にくい。にくいよ。さりげないが故にこういうの弱いよ。

ループの活かし方その3。キャラクターの成長が分かりやすい
物語の中におけるキャラクターの成長を「キャラクターアーク」って言うんですが、世界は同じで自分だけが変わっていくのでループものはこのキャラクターアークが分かりやすい構造になってます。
今回は特にジュブナイル要素モリモリなんで、思い悩んでる若者たちが、この悪夢のような体験を通して成長していくわけで…おじさんには若者が試行錯誤で成長していくシチュエーションでしか得られない栄養ってもんがあってよぉ。
ホクホクです。

ループの活かし方その4。ループ慣れを超える恐怖!
どうしてもループものって途中で中だるみするんですよね。ホラーだと特に「恐怖に慣れてしまう」「死んでも大丈夫」みたいな。
実際に映画でもそんな展開になるんですが、そこからの展開がこの映画はうまかった。
よくある定石でいうと「死の恐怖」から「終わらない恐怖」に演出を変えていくんですが、これだとどうしても時間がかかる。
この映画では斬新な手法をとっていました。
ネタバレのため詳細は言えないんですが原作設定を超えた設定が後半に加わります。「その手があったか!」と唸らされました。
結果「さらに上をいく絶望」を感じさせてくれる体験になってます。ループが故の恐怖に新たな手法が加わったなぁ。


ホラー映画 × 青春映画の奇跡的バランス構成

最近のホラー映画を観て思い悩むことがあります。
「怖ければ映画がヒットするわけではない」
これ結構、ホラー好きとしては辛い現実です。
「へレディタリー」や「ミッドサマー」、最近のアジアホラー映画のように世界マーケットで戦えれば話は変わってくるのかもですが、邦画という狭いマーケットだとなかなか厳しい。

Jホラーに超えられない壁を感じる昨今、この問題にどう立ち向かうべきなんだろうとホラー関係者として漠然と感じてました。
そんな中、私は「マリグナント」という映画に出会いました。ネタバレ防止で詳細は言えないんですが最高でした。そしてこの作品に邦画ホラー袋小路を脱出するための糸口を見出しました。
ちょっと迂回して言うと「純ホラーだけで戦わない」、複合ジャンル戦法です。

この映画でもそれが見事に生かされ「満足できるホラー」と「ヒット要素のある青春」を組み合わせた複合ジャンルとして成立していました。
言うは易しなんですが、お互いが足を引っ張っては元も子もありません。
「ホラー好き」と「青春好き」はそもそも全く属性趣味嗜好が違います。
非常にピーキーな配分であり、大博打であることは間違いありません。

ですがこのあたりはジュブナイルホラーの名作「IT」を生み出したワーナーのノウハウなのか、作品は奇跡的なバランスでお互いの要素を高めています。青春を描くことで恐怖を際立たせ、恐怖を描くことでキャラクターの関係性と成長を際立たせる理想の配分。それでも、一点でもバランスを崩せば興ざめしてしまうギリギリの構成で作られてます。
ですが動員をみる限り、この賭けは大勝利のようです。お見事でした。
これからの邦画ホラーの一つの解になるんじゃないか、なんならこれから「ホラー×〇〇」といった複合ジャンルブームが来るんじゃないか、そう思わせてくれる作品なんです。


レイティングがPG12ってすごすぎない?!

散々書いてきたんですけど、この映画、むちゃくちゃ残虐な表現盛りだくさんなんですよ。死に方オンパレードなんですよカーニバルなんですよ見本市なんですよ。
でもこの映画は登場人物と同世代の中高生にも観てほしい訳じゃないですか。事実、この映画のレイティング、PG12(小学生以下のお子様注意レベル)なんですよ。
なので本当にギリギリの表現、インパクトのある残虐表現はしっかり入れつつ、切断面は見せないとか、死にゆく様は声だけで調整するとか、引きづらない恐怖表現とか、表現のデッドラインすれすれで通してやがる。神業。


郷敦なんなん郷敦めっちゃカッコいいぞ郷敦

終始常時カッコいい郷敦。
四六時中眼差しが優しすぎる郷敦。
もう郷敦って言いたいだけになってる郷敦。
完全に惚れた。

ってぐらい眞栄田郷敦さんが良かったです。
冒頭の集金袋の受けさばき方とかさ、バスケしながらユニフォームで汗拭く感じとかさ、明日香の手を引く優しさと強引さの黄金比とかさ、これ私みたいなおじさんでもキュンキュンするのにファンが観たら泡吹くんじゃないかと思いました。終始エクストリームな状況なので、もう郷敦のカッコよさが常に際立ってましたね。
郷敦の仲間を見守る眼差しが、この映画の「ある種のハチャメチャ」に説得力をもたせてたのだと感じました。すげえなこの人。


企画・プロデュースの生き様が痺れる

突然何の話かとビックリしたと思いますがちょっと語ります。

私、ホラー好きなんですよ。
で、その制作のバックグラウンドの話も大好きなんです。
ホラーって酔狂じゃないとできない部分、あると思うんですよ。
なのでこの手の話には熱い、カッコいい話が溢れてて。
大学を出たばかりの若きジェームズ・ワンとリー・ワネルが七転八倒して超名作「ソウ」を作り上げたとか、そんな話を延々とできる人間が私なんですが、この映画「カラダ探し」も製作背景が熱いんですよ。
たまたま私がこの映画の末端の末端にいたから、ホンのさわりですが映画の企画プロデュースの原さんに直接話を聞けたんですね。
映画のプロデューサーって「大企業の中の人」で「偉いけど何やってるかわからん」「現場わかってない」みたいなイメージも、やっぱりあったんですが、彼と会うと印象が間逆すぎて驚きました。
腰は低い、大企業から独立してやってる、そんなことまでアナタがやるの?って部分を全部やってる、行動力のお化け、ホラーが好きすぎる、誰よりも熱狂してる。
そんな彼が語る背景話がエキサイティングじゃない訳がない。
ただ、どこまで伝えていいかわからないので本人のTweetをいくつか掲載させてもらいます。

この辺の話を聞いたときは、同じホラー制作者として、やっぱり超かっこいいと思いました。この映画は7年の血と汗が存分に詰まったホラー作品なんだなぁと。

大企業を辞めて「GHOST GATE FILMS」というプロダクションを立ち上げて。本人は日本から世界で戦えるホラープロダクションを作るって宣言されてて。
映画の最初に「GHOST GATE FILMS」の名がまさに有名ホラープロダクションのようにスクリーンいっぱいに表示されるんですが、もうその時点でちょっと泣けるんです。
くぅぅぅ、同じ地平線を目指すものとして、私も株式会社闇も、、、頑張るぞ〜。

うん、無限に語れるね。Adoさんの挿入歌の入り方良かったね。
ホラーでこんな使い方ができるのか!曲がかかる理由!最高!
エンディングの「行方知れず」も椎名林檎さんとのマッチがすごすぎて鳥肌。この組み合わせ考えた人すごいわ。

あと井戸!どう考えてもリングのオマージュだと思ったけど、同時期公開でそんな事するかなと思ってたら映画公式Tweetで「たまたま現場にあったんでオマージュしました」って言ってて、お茶目か。
あと橋本環奈さんはやっぱり国宝。彼女を映すだけでどんなシーンが成立しゃちゃう。プライスレス。世界遺産。

はい、という訳で5,000文字。きりがないのでこのへんで。
今回は映画「カラダ探し」のレビューでした。好き勝手書きました。
急にこのnoteが消えたら誰かに怒られたんだなと思ってください。

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そして「カラダ探し」がらみでひとつ宣伝!
私たちが主に関わったのは「カラダ探しオンライン」という映画「カラダ探し」のアナザーストーリーとなる「オンラインイベント」なんです。
私が『カラダ探し』を体験したい、学校で赤い人に追いかけ回されたいと思い描いていた夢があって、それをオンラインの配信体験として実現しました。
※しかも脚本を上記の原さんが共同脚本でガッツリ参加してくれてるぅぅ!

あなたが物語の主人公となり、
あなた自身がカラダを発見し、
あなたの選択で物語が分岐し、
あなた自身が赤い人に立ち向かう体験になってます。

映画を観て、もっとこの世界に浸かりたいと思ったらぜひこのオンラインイベントもチェックしてね〜


来世、救われます。