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セミトリ

セミを捕まえた。昨日近所の公園でアミをもって子供と虫取りに行った。
子供と出掛けた手前、父親として何としても捕まえたいと思った。子供の頃は確かによく捕まえた。しかし35年のブランクを経て、セミとは幻想なのではないかという思いに至っている。
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集団幻想。ここは東京だ。東京にセミがいるのか。本当に見たことがあるのか。記憶にはない。実際、嫁に「セミがよく鳴いてるね」と言われるまでセミの声に気付かなかった。当たり前の騒音は自然と脳内フィルターでかき消されている。意識しないと聞こえない声は本当に存在するのか。
そう思って公園に行った、もうセミがいるわいるわ。いましたセミ。セミ天国。
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しかしセミよ。メスの気を引くためとはいえ、なぜそんな目立つ手法を選んだのか。他の虫がせっせと社会性を身につけたり擬態を駆使して天敵から身を守ろうとしている中で、誰よりも大声を出すという解答しかなかったのか。人生完全燃焼、という勢いは感じるが、もう少し賢く生きてくれれば、お互い静かに暮らせるのにね。
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鳴いてるセミは比較的高いところにいるので捕まえれず。鳴いてないセミ(多分メス)は比較的低いところいる事が多く、簡単に捕まえれた。
せっかくセミを捕まえだが、肝心の息子は怖がって近づいてこない。英雄になれると思ったのに。「はやく逃して」と言われる始末。虫取りの本質を伝えてなかった私が悪いのか。
あとクロアゲハとか捕まえたけど、蝶も息子はお気に召さなかった。これも早々に逃す。
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こんな時、インターネットは便利だ。虫の名前はすぐ調べられるし、生態も動画ですぐ観れる。35年前なら「よくわからない虫」で済ましていたものが、今はWikipediaの詳しい情報とともにこの世界の一部を解き明かす事ができる。羨ましい。私が小さい時にこれがあれば調べ倒していただろう。この世の謎を解き明かせ息子よ。

これは昨日の日記だな。今日は何をしたかな。今日も出社して事務所仕事しつつ、昼に焼肉を食べて、夜にステーキを食べた。
焼肉、ステーキが「この世で美味しいモノ」の一角を担って久しい。この世には様々な食材や調理法、食文化があるのにもかかわらず。「肉を炙ってタレ」がむちゃ強い。こんにゃくなんて、超複雑怪奇な工程を経て生まれるのに。マンガならステーキのワンパンチで負ける絵が浮かぶ。調理の複雑性が美味しさに直結しないって理不尽だよな。
とはいえ、牛肉にせよ野生の頃から考えれば品種改良を繰り返しひたすら味を高め、最も美味しい形で消費者の元に届くよう流通してる訳だし、牛肉には牛肉のストーリーがあるのであろう。
結論的にはステーキ松のステーキは美味しい。
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今日はいろいろあって疲れたのでいつも以上に内容を薄く薄く伸ばして書いてみた。セミ捕まえた、肉食べた。なんと淡白な日常か。これはいかん。明日はもっとドラマを起こすべくちゃんと生きよう。せめて大きな声で鳴いてみよう。

来世、救われます。