年中休業うつらうつら日記(2024年10月5日~10月11日)
24年10月5日
まず、昨夜の出来事から。
誰かに言いたい!
Amazonから「呪術廻戦」の最新巻を始め、9冊の新巻が届くはずだったのに、夕方、整形外科の帰りにのぞいた時も、20時半にポストを見に行っても何もない。
「遅れることもあるよねー」となぐさめるせいうちくんの言葉は置いといて、購入履歴を見たら「10月4日に配達済み」となってるじゃないか。
さらに記録をたどると「宅配ボックス15番に入れた」ところまでわかった。
しかし、この時点で21時を過ぎてしまい、配達したはずの郵便局の問い合わせ電話はクローズしてしまった。
「明日、早起きして電話してみようね」と言われても、「聞き込み捜査に行く!」と敢然とマンション外のインターホンから、まずは一番ありそうな「うちとまぎらわしい部屋番号」を押してみた。(あるじゃん、101号室に対して110号室と間違えるとか)
留守だったり外れだった場合の次の候補を考えていたら、男性の声が呼び出しに出てくれた。
「夜分に申し訳ありません。同じマンションのせいうちですが、うちの荷物が間違って届いてはいないでしょうか」と聞いてみたら、「あっ、今、下に下りて行きますので」と心当たりのある様子。
少しして現れた若い男性が、「荷物が届いてるランプはついてたんですけど、確認してなくて」と言いながら自分ちに来てる荷物を見てくれた(宅配ボックスはランダムに使われるので、自分ちのカギで開いたところに入ってる)。
「あっ、やっぱり来てました。せいうちさん宛ですね」と袋が2つ。嬉しい!
ご迷惑かけたので、エレベーターで帰るすがら「呪術廻戦の最新巻が入ってるんです」と説明すると、「ああ、あれ、最終回終わりましたね」と読んでるご様子。
「はい、今日、28巻が出て、12月25日に29、30巻同時発売でコミックスも終了です。とても楽しみにしていたので、ありがとうございました!」とお別れした。
家に帰ると、せいうちくんが荷物を小脇に抱えた私を見て驚いていたので、「ビンゴ!1軒目で当てたよ」といきさつを話すと、
「キミはあきらめない人だ。不屈の姿を見せてもらった。しかも一発で当てるとは」と感心してくれたよ。
よその人には迷惑かけちゃったけど、向こうも翌日になって気がついたら気の毒に思ってしまうだろうから、ウィンウィンだと思うことにしよう。
はー、むっちゃいい物ぞろい。
「マイホームヒーロー」は待望の最終巻、「満州アヘンスクワッド」は息子が大の愛読者。
きっと喜ぶことだろう。大豊作の日だった。
同じマンションのおにーさん、ありがとうございました!
というのが昨夜の感動的な人間の精神力と勘と運の顛末。
今日の午後は息子とせいうちくんと一緒に娘の面会に。
息子がまたカーシェア使ってくれて、2時間半借りて2700円。
電車とバスを乗り継いでも交通費がそれなりにかかるので車の方が楽だ。
コロナによる面会規制も少し緩くなってきて、3人全員で面会できて、あいにくの雨だったのでテラスは避けて院内をぐるぐる散歩し、気持ちのいいソファーコーナーに収まった。
娘はとても元気そうだったけど、息子は、
「お姉ちゃん、前みたいに『うー』とか『あー』とか声出さなくなっちゃったね」と心配そうだった。
思春期のホルモンの乱れなどからくる情緒不安定が収まり、今はむしろ大人の女性として落ち着いた状態なんだよ、と説明したら深々と納得していた。
目で追いたそうなしぐさやゆったりした姿勢から、いい状態なんだと思える。
施設内を散歩していていつも思うのは、障碍者施設だというのに広々として明るく、心地よい場所だってこと。
大きなホールの壁には鮮やかで目に快い森の風景が描かれているし、廊下の壁にも森が描いてあるところどころに木製の鳥を半分に切って取りつけたような立体感のある姿が。
廊下の壁の下の方には線路が走り、時々「トンネル」に入ったり支線に分かれたりして、歩くのが楽しくなるよ。
コロナの頃に元の施設からの引っ越しだったから新しい建物で工夫に満ちてるってことなんだろうけど、とてもありがたい。
障碍者福祉に関する限り、うちは家族として「日本は奇跡のような国」だと思っている。
30分で面会時間が終わり、また息子の運転で家に帰る。
車を返しに行くついでに買い物をしてきた息子が「キムチ鍋」を作ってくれた。
買い物の段から彼におまかせした手料理を食べるのは初めてかも。
リクエストした具材以外に「あさり水煮缶」「えび」を買ってきてくれて、うん、あさりはキムチ鍋にとっても合いそう。
豚肉をごま油で焼こうとしているので、
「ストップ!炒めてから煮るの?」
「うん、それもいいかと思って」
「母さんは普通の肉も食べたいから、半分焼いて半分そのまま入れて」
「OK!」となったり、えびをフライパンで両面少し炒めて香ばしさを出したり、なかなかせいうちくん並みのフリーダムかつひと工夫のシェフであった。
父さんに似てよかったね。母さんは応用が効かないのでなんでもレシピ通りにしか作れないよ。
出来上がった「キムチ鍋」はとても美味しく、息子がもうずいぶん居候しているがこれほど「家族の食卓」感が出たことはない。
やはり鍋は万能だ。
でも最近気づいた。「家族はあまりしゃべらない」
息子が家を出て、ある種の「お客さん」として来てた頃はなんだかんだしゃべってくれたものだが、今回の居候暮らしでは口数が少ない。
話すのが面倒くさいのか、離れて暮らす妻のことを想っているのか、今の段階では生活していて話すべきことが何もない「仮暮らし」のせいなのか、いろんな理由で「実家に長期戻ってきてる息子にとって、家族は空気のようなもの」なのだろうと思うに至った。
覚えている限り実家にいる頃から緊張していた私より、ずっとマシなのだろう。
尾瀬にいる息子妻のMちゃんから、「具合が悪くなった」と連絡があったらしい。
コロナではなさそうだが、病院に行くのもひと苦労な山の中なので、彼は大急ぎでレンタカーを手配して明日の朝一番で迎えに行くと言う。
そんな状態で徒歩3時間で山から下りてくるのは難しかろう。
「乗り合いタクシーはあるみたいだけど」とせいうちくんがネットで調べてくれたが、事実上、る車が入りにくい道なので、徒歩なのかなぁ。
こういう時にキャラバンがあれば埼玉のGくんちに取りに行けば使えるんだが、あいにく彼は現在東北あたりからこっちに帰ってきてる最中で、せいうちくんがタイヤ交換や電気まわりのチェックのために受け取りに行く7日の午前中まで帰ってはくるまい。
カナダに行く時にこさえた借金をやっと返し終えてほっとしているらしいMちゃんなのに、金銭的に大丈夫だろうか。
息子に「大丈夫なの?」とせいうちくんが声をかけると、
「困ったら、お願いするから」と言われ、私は思わず、
「お願いされても困るよ」と口走ってしまい、息子は憮然と、
「じゃあ他の人にお願いするだけ」と言う。
これは、ここんとこおさまっていた「お金の無心」だととっさに思ってしまった。
「あなたが親に言えばお金出してもらえると簡単に考えてるのを、Mちゃんはすごくいやがってるんだよ。だから、母さんたちもMちゃんの同意なしに出すわけにはいかないの」と説明すると、かなり気色ばんで、
「何早とちりしてるの?!誰もお金のことなんか頼んでないでしょ?!」と怒気をあらわにしていた。
せいうちくんが「他のことなら喜んで協力するよ」となだめて何とか場が収集できたが、息子が怒るとパニックに陥る私としては頭の中が真っ白になり、ひたすら謝った。
「確かに母さんが言われてもいないお金のことだと決めつけて、悪かった。許して」と哀願すると「うん」と言葉少なに答えたものの、その後しばらく、レンタカーの手配などもあって殺気立ってた息子。
ああ、この、家庭内で誰かが怒ってる感じ、ものすごくトラウマに触れてフラッシュバックが起こる。
その後も何度か謝って、彼の背中に頭をくっつけて、
「本当にごめんね。あなたの尊厳を傷つけたね」と言うと、息子が、
「もう気にしてないよ。僕も焦って、気が立ってた。ごめんね、お母さん。愛してるよ」と私の手をぎゅっと握ってくれた。
「仲のいい家族はケンカしても自然に仲直りできるんだろうけど、母さんは、何かしでかしたら怒鳴られまくって、謝っても何か(布巾とかヘアブラシとか鍋敷きとか)物理的に飛んでくるような環境で育ってきたから、自然に仲直り、って感覚がないんだよ。父さんはおとなしく怒鳴られてさえいれば向こうが勝手に気が済むから、聞き流す習慣がついてるらしいけど」
「わかってるから、大丈夫だよ。気にしないで」とまた手を握る息子。
難儀な親で、すまんね。
とにかく息子が迎えに行って、その足でMちゃんの実家まで連れて帰り、自分は夜には帰ってくると言って早寝していた。
溌溂とした夢の塊のようなMちゃんでさえ倒れるほどの激務なのか、山小屋は。
心配だが、息子が無事に家まで帰り着くといいね。
24年10月6日
朝、2人とも10時頃に起きたら息子はもういなかった。
予定通り8時にレンタカー借りて出かけたようだ。
普段なかなか起きない彼であるのに、愛の力は偉大だなぁ。
なすすべもない我々は寝て過ごしていた日曜日。
もう残りの人生はマンガを読むだけでいいや、と思い定めてから読むのがはかどるんだが、8割ぐらいが過去作の読み返しなので、新しい方にはわずかすつしか伸びていかない。
いや、新作も買ってるのよ。
でも、「初巻では話の方向が見えにくい」ので2、3巻溜まってから読むことが多いうえ、いろんなマンガを同時に読んでいるもんだから個々の作品の細かい設定とかはすぐ忘れてしまうので、結局20巻越えた長編を何度も何度も1巻から読み返すことになる。
楽しいからいいんだが、集めたマンガを残りの人生で全部読めるだろうか。
芥見下々の「呪術廻戦」の第28巻発行祝いにもう10度目ぐらいの「1巻から読み直す」をやったわけだが、それぐらい読んでやっと細かい伏線やセリフの意味がわかったりする。
雑誌で読んでる人なんか、そういう点どうしているんだろう。
私の読み方が喉ごしでぐいぐい飲み込むタイプ過ぎて、幾度も反芻しないとわからないだけかしらん。
今日から鹿子の「満州アヘンスクワッド」を読み返しての最新巻大歓迎脳内パーティーの支度をしているが、これまた18巻もあり、そもそも吸ったら廃人になるような超高性能麻薬を作って売りさばいていて、主人公の胸は痛まないのだろうかとか余分なことを考えてしまうのでよけいに時間がかかる。
超高級阿片を吸うのは富裕層に限られるから、満州の芥子畑から逃げ出してハルピン、大連、上海とマーケットを広げていく「貧しさと差別、国家間の争い」でひどい目に遭っている仲間たちには復讐になるんだろうけど、ひと口でも吸ったら虜になって破滅するようなものを作ってて、うっかり「そんなに出来がいいならおまえが吸ってみろ」と言われたらどうするんだ。(実際、時々言われてる)
うっかりタバコを吸っただけで禁煙が難しくなるのに、阿片を「楽しむ」つもりで超強力阿片を吸ってしまう人々はどうするつもりなんだろう。
途中で息子から「Mちゃんと無事会えた。実家に送って帰る」と連絡があり、レンタカーを予定の15時間ぴったりに返せたようで、元気に帰ってきた。
「思ってたほどひどくはないみたい。とりあえずお姉さんのアパートに泊まるみたいだよ」と報告したと思ったら、よほどくたびれたのか、風呂にも入らず即、寝てしまった。
Mちゃんは明日、病院に行って診てもらうそうだ。
まずは無事で何より。
24年10月7日
私は午後の診療受付ギリギリの18時に整形外科に飛び込んで、先週もらい損ねたシップと鎮痛消炎ジェルを手に入れた。
前回18時過ぎていたので「もう終了です」と言ってた受付の人が今回もいて、
「あら、こないだはごめんなさいね。今日は大丈夫よ」と診察券を受け取ってくれた。
この時間になるとほとんど患者さんはいないので、待ち時間が少なくて済む、というか、
今日はほぼ待たずにすんだ。
膝とか腰とか両手の腱鞘炎とかで、2週間に1回しかもらえないシップとジェルに頼って暮らしているから、通院が欠かせない。
キャラバンのタイヤをオールシーズンタイヤに替えようというのとGくんが配線をいじっていてどこかが「ボカン」と言った気がする(そしてそのあとシガーソケットが電源として機能しなくなった)のとその巻き添えで動かなくなったらしいカーナビを全部なんとかしてしまおうと、せいうちくんが引き受けてタイヤを注文したり修理のスケジュールを予約したりしていた。
Gくんは何でも「ホームセンターに行けば何とかなる」派で、修理とかにお金を使うのはイヤなタイプ、おまけに本当に修理に持っていこうと決めると「どこが安いだろう」とか迷い始めてフリーズしてしまうのだ。
おまけに「予約」入れるの大嫌いだしなぁ。
幸い、息子がそのあと数日車中泊の旅をしてみたいそうで、Gくんちまでキャラバン取りに行ってくれた。
その日1日せいうちくんが走り回って、タイヤは何とか無事にオールシーズンタイヤに替わったようだが、「不具合の原因がよくわからない」と日産の工場で言われ、入院させると24日ぐらいまで戻ってこない様子だったので、いったんキャラバン入院はあきらめて引き取ってきた。
走るだけなら全然問題ないので(カーナビは運転手が各自のスマホを使っている)、夜、息子が乗って出かけて行った。
予定を聞いてみたが「高円寺に住んでる友達を迎えに行ってドライブをする。そのあと1人で車中泊」とのことで、どこまで行くつもりなのか全然イメージがつかめない。
「2、3日ぐらいで帰るかなぁ」というので、我々が車中泊に出かける11日の午後には絶対返してね、とよく頼んで送り出した。
手荷物の小さなバッグと寝袋だけ提げて出かけるのを見ると、もっともっと大掛かりになってしまう自分たちの旅支度について反省せざるを得ない。
無事に面白い体験をしてきてくれ。
そんな連絡をGくんと取り合ってる間に、この車中泊の少なくとも友人別荘を泊まり歩く部分に一緒に行かないかと誘ってみた。
2カ月ぐらい前に同じ誘いをした時はいつものように、
「わしは何カ月も先の予定を決めたりしたくない。今、返事をするなら『行かない』になる」と言われていたので。
「数日前になったから誘うけど、Iくん夫妻の別荘と長老の別荘、泊まりに行かない?長老んとこはあれこれ人が来るから、せいうち夫婦は1泊して旅を続け、Gくんは置いていくので誰かに乗せてもらって帰って」と聞いたら、
「先過ぎる予定は全部断る代わりに、直前に入る誘いがあり、しかも自分に何の予定も縛りもないのなら必ず行くことにした。なので行く。しかし、絶対あんたらにスルーされると思っていた」と同行に同意。
今はGくんが2人泊がやっとの構造にしてしまっているキャラバンだが、初日は何とか3人で寝る工夫をしなければなるまい。
やっと山崎豊子原作のドラマ「沈まぬ太陽」を観終わった。
最初と最後の回は私が寝ていたのでもういっぺん観ることになったせいうちくんには気の毒だが、「感動したので、かまわない」という寛大な答えだった。
今日もマンガの新巻発売の特異日であったのか、たくさん届いた。
次の山は10日に来るものだと思っていたんだが。
というわけで自炊するものも増え、1巻から読み返すものも増え、とりあえず嬉しい悲鳴を上げておこう。
朝基まさしの「マイホームヒーロー」が完結した件については息子から、
「いいマンガだった。ありがとう!」と力いっぱい言われたことだし。
WOWOW+シネフィルに入っていたせいなのか、観るだけなら誰でも観られるのか、今日22時から始まる「ゴールデンカムイ」実写ドラマ版初回無料放送を観ることができた。
映画より出来がいい気がする。
これを毎週観て、かつ保存するためにはWOWOWの靴を舐めて高いサブスク料を払うしかないのだが、幸い今、アマプラ以外のサブスクには入ってないのとサブスク制作のドラマの出来の良さを肌で感じていることでもあり、2カ月ほどWOWOWのお手並みを拝見し、ついでに映画をたっぷり録画させてもらうのもいいだろう。
BOSSの500mlペットボトルを箱買いしてきたが、節約のため安いUCCコーヒーの粉を買い、鍋で溶かして冷まして1.5Lのペットボトルに入れる作業をせいうちくんが始めている。
私はもっと前からアールグレイのティーバッグ3つと2Lの熱湯で紅茶を淹れ、パルスイートで少し甘くしてアイスティーを作っているし、これまた2Lペットボトルの箱買いをしていた「綾鷹」を水出し緑茶に替えて麦茶ポットで作っている。
こういうとこで節約するのは全然苦にならないから、コーヒー代だけでWOWOW代払っても充分おつりがくると考えると、なんだか笑いが浮かんでくる。
やはり人間、好きなことにお金をかけるべきだなぁ。
マンガとか小説とかサブスクとかマンガとかマンガとか。
24年10月8日
最初は車がうちにあるわけだからGくんが電車でくればいい、となっていたところ、昼頃に息子が急に「今日帰ろうと思う。そちらの都合は大丈夫?」と言ってきて、別にかまわないけど、なんだ、1泊で飽きちゃったのか。
山梨まで行ったようなのでもうちょっと足を延ばして温泉のある道の駅とか泊まってくればいいのに。(昨日は深夜だったから、もう温泉はどこも閉まっていたろう)
さて、息子が帰ってくるとなればこちらでパーキングに停めておく料金も高くなるし、Gくんちにいったん返してもらえばGくんも荷物積んで来られるよなぁ。
その旨連絡したらGくんは「なんだ、もう帰ってきちゃうのか」と呆れながらも、「こっちに車があるなら寝袋とかの確認もできるし、11日夕方にわしがそちらへ行く、ってことで」となった。
そこで、自宅に向かいつつある息子に「Gくんとこに車返してきて」と指令を出す。
しかし「24時頃になりそう」と言われるとGくんちに迷惑がかかるのもさることながら息子自身が終電で帰れない。
そこでせいうちくんが「家に帰れる?」と「終電で」の部分を省いて打ってしまったもので、「終電に間に合うように帰れる?」と聞かれているのか「じゃあ車で自宅に帰れる?」と聞かれているのかわかんなくなった彼は「結局、何が最善手なの?」と大混乱。
そりゃそうだ、そもそもGくんがうちに車で迎えに来るって話は息子が出かけてから発生してるので、彼としては両親が車中泊に行く、車がある、家に返せばいい、という楽々パックのつもりで出かけたかもしれず、夜中に埼玉から自宅に電車で帰るとは思ってもみなかったろう。
すべては息子に「Gくんは11日に家に車で来ることになった」という情報が全然渡ってなかったのが問題の根源だった。
「だったらもう1泊してくる」って言い出したけど、ごめん、母さんがもうGくんに「車は今夜中に戻すから」って言っちゃった。
「いったん今晩渡すって話になっちゃったから、あまりズレがないように明日の午前中にでも返してきてくれない?」とメッセージのやり取りをしてるうちに埒が明かなくなったので、3者通話で話し合う。
結論としては「急いで帰れば21時頃にGさんに返せる」ってことで、話はついた。
しかし、息子は怒ってるだろうなー。
自宅に帰ればいいものと思ってたのに埼玉から電車で帰るミッションにいつの間にかなってたわけで、その過程も完全にこちらの説明不足だった。
実際、無事21時にはGくんちに着き、電車で22半ごろ帰ってきた息子はとぉーっても不機嫌そうだった。
「予定があれこれ変わってごめんね。車中泊、どうだった?」
「疲れた。もう寝る」
私が寝室に駆け込んで安定剤をのみ下したのは言うまでもない。
今日は乳がん検診と歯医者でのクリーニングと2軒医者を回って、明日は心療内科の診察日なんだけどなぁ。
このままだと薬が全然減らせない。
それなのに、あさってが息子の誕生日だから、せっかく街にも出ることだし、彼の大好きなTOPSのケーキを買ってきてあげよう、とか考える親バカだ。
ついでにと言っては何だが、温泉つき別荘に泊めてくれるIくん夫妻におみやげとしてWESTのクッキーを買う。ついでに自宅用にも少し。
今、じりじりやせてきてるからあまり食べてはいけない禁断のクッキーやケーキなんだが。
24年10月9日
心療内科の通院日。
あいにくの小雨だが自転車で強行突破した。
帰りに駅の反対側でTOPSとWEST買うんだもん、歩くのはかったるい。
いつもこの時間帯には待合室に誰もいない。
いざ人が待っていて先に呼ばれるとけっこう長いから、おそらく面談に時間のかかる患者さんを入れている時間なのだと思う。
すぐに呼ばれて診察室に入る。
今日の主な訴えは、息子という異分子が1人増えるだけで相当めんどくさい、って点だ。
「でも、追い出すわけにもいかないしねぇ。ま、お宅は家族の仲がいいから、何とか乗り切ってください。今日と明日を好きなことだけして暮らす、そういう気持ちで毎日を送ってね」と言われた。
薬はまた2週間後の面談までに4週間分くれそうな勢いであったが、車中泊から帰った翌日になるのできっと自分はほぼ気絶しているだろうと思い、
「3週間後の面談で、薬は4週間分お願いします」と頼んだら「はいはい」と受けてくれた。
7月に息子夫妻が急にカナダ行きから方向転換して、アパートを引き払ってそれぞれ身の回りのものを詰めたリュックだけで生活するようになってもう3カ月。
その後、2人とも別々の山小屋に出稼ぎに行ったりしていたが、息子の方は東京でも本業のインプロコントの仕事があるので実家に居候を始めた、その辺から薬の量がほぼ1.7倍ぐらいになっている。
「彼女が戻ってきたら、長野の方に住みたいと言ってる奥さんとやはり東京をベースにしないと活動できない息子の話し合い次第で、どこに住むかわかりません。そもそも定住するんだろうか、と不安になってきてます」と毎回どんよりと面談に現れる私に、減薬主義のドクターも「もー、年内はどうにもならんかも」と考えてる様子だ。
「車中泊、行くんでしょ。楽しんできなさい」と励まされたよ。
なんか面談は短めだったし、妙に時計気にしてたなぁ、と待合室で処方箋待ってたら、私の次の人も早々に片づけられていて、その間中、待合室の横手の部屋の開いたドアから日本語と韓国語とミックスして大声で叫んだり怒ったりしている様子の女性の声が鳴り響いていた。
気の弱い患者さんだったらパニック起こすと思う。私もちょっとぷるぷる震えてた。
私と次の人を片づけ終わったドクターが部屋から出てきて、ちょっとあわてた様子で件の部屋に入り、ドアを閉めるまで怒声は続いていた。
たぶん「とってもじっくり話を聞かなきゃいけない患者さん」なんだろう。
お疲れさまです、ドクター。
まだ小雨が降る中、自転車で街中を横切って東側から西側へ移動し、百貨店でケーキと、ついでに12日に泊めてもらうIくんちへのおみやげにウエストのクッキー買った。
40年来の友達だが、ここ10年ぐらいは今年3月頃に初めて別荘にお邪魔した以外はずいぶん会ってないMちゃん(息子妻じゃないよ。Iくん妻だよ)とリゾートマンションについてる温泉で女子バナするんだ。
楽しみにしていよう。
雨もやんで、無事に帰ってこられた。
せいうちくんは明日、あさってと人間ドックなので今日の20時から食事制限がある。
出社していたので、帰るなり「ぶっかけそうめん」を作ってくれて、TOPSのケーキをひと足先にひと切れだけもらって食べ、さあ、ここからは検査食しか食べられないぞ。
旅の支度もしなくっちゃね。
I家へのおみやげ用にせいうちくんが「豚の角煮」を作り、翌日泊めてもらう長老んとこには私が漬けて冷凍しておいたタンドリーチキンを持ってってオーブンレンジ借りて焼くつもり。
もう寒いから、服の選定が大変だ。
24年10月10日
息子の誕生日だ!
昨日、ちょっとだけケーキを一緒に食べて、換気扇の下でタバコ吸ってる時にあらためて「誕生日、おめでとう」。
明け方の4時頃だったので、
「そろそろあなたが生まれる頃だよ。母さんはひと晩中陣痛でうなってたし、父さんはあんまり役に立たないけどそばにいてくれて、あなたの頭が出てくるのを見てたよ。生まれたあとは胎盤癒着があって、ドクターが手を突っ込んでひっぺがす『用手剥離』やらざるを得なかったんだけど、あれは陣痛より10倍痛かった。母さん、絶叫してた。あと、いきみ過ぎて膣内の筋肉が切れちゃっていまだになんかおかしい」
「大変だったんだねぇ。ありがとう」
「推定体重2800gのはずだったのに、3880gあったからね、あなたは。まあ、あなたと娘ちゃんがいてくれて、いい人生だったよ。あなたもそう思える日が来るかもね」
「うん」てな会話を交わし、プレゼントとかは何もなし。
だって身ひとつ荷物ひとつで実家に居候してる人の荷物増やしてもしょうがないもん。
あ、でも愛読してる十日草輔の「王様ランキング」ってマンガ、まだ読んでない新しいとこをコミックス2冊買ってあげたな。
妻のMちゃんは「肺炎」との診断が出たそうで、本人は「来週には山に戻ります」って言ってたけど、そもそも来週いっぱいでおしまいのバイトだから、もう引き上げてしまえばいいのに。
「週末は我々いないから、息子と2人で自由に使って」と勧めたけど、やっぱりまだ籍も出てだるいから実家にいるそう。
息子が会いに行って、あと、キャラバンが帰ってきたら1週間ぐらい予約淹れさせてもらってるから、Mちゃんと荷物(山装備含む)を引き取ってくればいいのに、と思ったらバイト最終日は彼もライブ出演があるんだって。
息子もまだまだ「なんとかうまくスケジュールを組めないか」って力が弱いからなぁ。
たまっていた自炊(マンガを裁断してスキャンし、データにする)を2山ぐらいこなし、その間中せいうちくんがリモート会議に出ているのを聞いていたが、仕事、大変そうだ。
もう責任ある立場ではないのでプレッシャーはほぼなく、「日々、僕のプレゼンスが必要なくなっていくのを感じる」と言ってるから、精神的には楽みたい。
でももう1年ぐらいかかる仕事を抱えてしまったらしいので、処遇や実働時間がどうなるのかまったく読めない。
始めると何でも強烈に打ち込んでしまう人だから、やらなくてもいい作業とかいっぱい発生しそうだな。
そこを妻に見抜かれてる時点で、本当にわかりやすい人だ。
この日記を読んでる同僚からまで、
「せいうちさんはのめり込むと激しくのめり込むから、うさこさん、大丈夫なんですか?」と心配されるほどの突然の集中とこれまた突然の放心に交互に襲われるタイプなんだ、彼は。
そんなせいうちくん、今日は1日検査食で過ごし、夜にコーヒー飲もうとして「あっ、牛乳はダメなんだった!」とブラックで飲んでる状態。
寝る前に下剤をのんで、明日は朝早くから腸を空っぽにするために2時間かけて2Lの下剤をのむはずだ。
ちゃんとやんないと、管突っ込んでる医者から「便が残ってますね。洗い流します」と内視鏡の先からぷしゅーと出る水で腸を洗われちゃうんだぞ。
恥ずかしいぞ。配偶者が見てないだけ、あなたの方がマシだが。
「夫に腸内の『エノキ残渣』を見られた妻」、これはさすがに恥ずかしかった。
24年10月11日
6時に起きるせいうちくんとほぼ入れ替わりで寝たので、2時間下剤をのむのにつきあうと言った話がナシになってすまなかった、せいうちくん。
板垣巴留の「SANDA」が16巻で完結するのを、例によって1巻から読み返していたので寝るまで時間がかかったのだ。
しかも最終巻直前の第15巻がない。
LINEで確認すると、どうやらマンガ友達のミセスAに貸してそれきりになってる可能性が大。
「SANDAはあんまりついていけてません」と最新巻も断られそうになったところを、「最終巻で、それなりにまとまった話で終わりました」と報告したら「それではお借りしてもいいでしょうか」とやり取りしてるんだが、8月頃に送った大量のマンガの中に「SANDA」第15巻が入ってるのは確認できて、返却された記録は見つからない。
まあ普通、大混乱に陥るよね、これだけ貸し借りしてれば。
今も10冊の新巻が貸し出しを待って本棚で待機している。
その中には今年1月に亡くなった芦原妃名子の遺作となった「セクシー田中さん」第8巻も入っている。
連載を描いてる最中に亡くなったマンガ家さんの場合、ネームや下描きページも入れてコミックスにする場合もあるが、「セクシー田中さん」はちゃんと描き込んだ完成原稿で(掲載紙の「姉プチ」2024年1号に載ったものらしい)、話としては途中なものの、なんだか「亡くなったけど顔はキレイでよかった」みたいな感想が浮かんだ。
いろいろあってこの世を去ってしまった人だが、読み手にとっては現実の彼女の気持ちやどう亡くなったのかの真実を知るすべはなく、全部原稿が語ってくれるものだと思う。
最後まで「田中さん」が作者の中で息づいていたと知ってちょっとほっとした。
9時に起きたらせいうちくんはもう下剤を半分がた飲み進んで、しきりにトイレと書斎を往復していた。
朝帰りになると言っていた息子も布団でグーグー寝ていたので、
「いつ帰って来たの?」とせいうちくんに聞いたら、
「7時頃かなぁ。なんか急に、『隣に座って』とか言ってさ、座ったら、『31歳か…まったくなってないな…』って首を横に振っていたよ。何か思うきっかげがあったのかね」って。
いいなー!早起きしてると息子のそんな赤裸々な表情が見られたんだ!
無理してもあのまま起きてればよかったなぁ。
(私がいたらその顔は出なかったかも、という発想はかなり遅れてやってきた)
今も息子は好き勝手な寝相で熟睡している。
起きたらケーキの残りを一緒に食べて、「31歳か…」の話を聞けるかどうかトライしてみよう。
あんまりぐだぐだしたこと言い始めたら「舟を編む」の天才装丁家のように「滅せよ!」とか言っちゃうかもしれない。
さて、残りの荷造りをして、腸内空っぽのせいうちくんが帰ってきて、Gくんがキャラバンで迎えに来てくれるのを待とう。
もっとも、
「早稲田の駅前に検査に行くんだけど、毎回、帰りに目の前にある『丸亀製麺』で天ぷらうどんを食べるのが楽しみなんだ」と浮かれていたから、すでにうどんを取り込んだ状態だろうけど。
「SANDA」を詠んだついでにこちらも新巻の尾崎衣良「真綿の檻」を5巻まで読んでしまったせいで6時寝、しかもなぜか9時起き。
3時間睡眠ではあまりに旅行に対する備えが甘いので、今から寝る!
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