読書量の増加

若い頃はほぼ本を読みませんでした。買って読むと言えば、マンガやゲーム雑誌、攻略本ばかりでサブカル寄りのライトノベルも含めて活字主体の本はほとんど読みませんでした。絵がある方が入ってきやすいし、絵自体も好きなのに対して、字だけの小説は想像しながら読むことが疲れるし、娯楽という感覚ではありませんでした。必要に駆られて技術本や自己啓発本で勉強することはありましたが、今まではほぼ読書とは無縁の生活でした。

そんな中、知人から借りた本で「あ、面白いかも」と思える小説がありました。貴志祐介の『悪の教典』。悪趣味で凄惨だし、大手を振ってお勧めするような作品でもないんだけど、それら若干の後ろめたさが逆に娯楽という感覚で楽しめたんじゃないかと思います。それから『十角館の殺人』や『殺戮にいたる病』、『罪の声』等、似たようなジャンルをたまに読むようなります。

ときに私、ずっと以前からAmazonのPrime会員でして、そのサービスの中にはPrime Readingという電子書籍のサブスクリプションがありました。読める本の数はそれなりなのですが、追加料金でより多く読めるようになるKindle Unlimitedにランクアップでき、ときどきその料金が大幅に値下げされるキャンペーンなんかも開催されています。ただ私はPrime Readingの範囲でたま読める本があればいいと思っていたので、特に利用せずPrime Readingでぬるーく留まっていました。Prime Readingは小説はあまりないんですが自己啓発本は割とあって、勉強しなくちゃいけないけど高いお金を払ってまで買うのもなぁ、ということでそれなりに有効に使っていたと思います。

ある日、Kindle Unlimitedの値下げキャンペーン中にカイジのいくつかのシリーズが期間限定で追加されるというのを見て、入ってみようかなと思った矢先、貴志祐介のいくつかの作品も含まれていることに気付きました。『黒い家』、『天使の囀り』、『ISOLA』と並んでおり、値下げ期間は限られているのでその間に読めるだけ読んでおこうと、それまでの人生で一番本を読みました。とはいえ、読むスピードが特段早いわけでもないので1ヶ月で10冊もいかない程度でしたが…。

そんな経験を経て、本を読む抵抗も大分下がり、娯楽として楽しむことを見いだせるようになって、徐々に読書量も増加していきました。ただKindle Unlimitedの通常価格はそれでも高いと感じるので、たまに値下げ対象に含まれたときだけサービスに入り、それ以外はPrime Readingで続けています。

最近は青空文庫で、昔の文豪の本を読んでいます。さすがに描写も文体も現代とは違うので、正直読みにくくて純粋な面白さは感じにくい。今まで教科書に出てくるような本もまともに呼んだことがなかったので、どちらかというと知識として読んでおこうという思いの方が強いです。それでも夏目漱石の『こころ』なんかは、前半の伏線と後半の大きな展開でとても驚かされました。

もっと早く本を読んでればよかったなぁ、と思う一方、今まで読んでこなかった過去の名作が読み放題だな、と思ったりもしています。

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