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金沢21世紀美術館で、ミヒャエル•ボレマンスとマーク•マンダースの展覧会を見た。

2人に共通する点は、アカデミックなスキルを踏襲しながらも、独自かつ現代的な表現に落とし込んでいるところだ。

ボレマンスはその絵画において、写実性と抽象的な平面性を共存させており、マンダースもある意味、このロジックを彫刻に置き換えているとも言えるかもしれない。

自分がボレマンスに感動した点は2つあり、1つ目は絵を描く態度というか、遊び心のようなものがひしひし伝わってきた点だ。

何か、絵を描こうと思いはじめたその心のままに描くという態度。それが、とくにドローイングが支持体を選ばずに箱やボール紙、その他さまざまなものに描かれているところから感じられた。

まだ形式化される前の純粋な創作衝動を表現するには、その心ですぐ実践すること。心が出来上がっているのに、筆やキャンバスがないからといってアトリエに戻るのを待っていたら、せっかく温まったものも冷え切ってしまう。

そのくらいの感度をもって、つくるということにあたれと、作品に言われているような気がした。

そして2点目は、ボレマンスの作品に対する自信をつよく感じたこと。30メートルくらいある壁に、小さい作品がそっけなく、2枚くらいかけてあったのだが、それでいいのだと、説得されてしまった。

自分であれば、まずは壁を埋めるために30枚くらいを想定しそうなものだが、きっとそれは努力した、あるいは、相当な労働力を支払ったという担保がほしいからで、これにくらべてボレマンスの態度は圧倒的に正しい。

画家は、広い壁に絵を1枚だろうが2枚だろうが、その空間を満たす、内容の絵を描かねばならない。

マンダースの作品は、素材自体を強調したブロックと、何かを描写したブロックがコラージュされている印象だ。その組み合わせは、自分は今までに見たことのない、新しい秩序のように感じた。

作品数は二人あわせてもそこまであったわけではなかったが、十分に堪能し、刺激にもなった展覧会だった。

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