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【受賞作品発表】 #文脈メシ妄想選手権

#文脈メシ妄想選手権 にご参加くださったみなさま、ありがとうございました。
今回、立案から告知、募集締め切りまで、ものすごい速さで駆け抜けた企画でした。どれぐらい早かったかというと、こんな感じ。

4/29(水)夜 コラボイベントのスケジュール概要が関係者に共有される
4/30(木)note企画のお題に『文脈メシ』を提案、『文脈メシ』原案:坂るいすさんより使用許諾を得る、告知文執筆
5/1(金)告知下書きをイベント運営スタッフ内で共有
5/2(土)AM8:00 『 #文脈メシ妄想選手権告知note公開

爆速。

事前告知がなかったのにも関わらず『文脈メシ妄想選手権』告知の公開初日から投稿が続々と集まりました。一番早かった書き下ろし作品はなんと告知公開から2時間20分後の投稿。企画運営側の仕事も早いけど、参加者の仕事も早すぎる。みなさんありがとうございます。

132件(+遅刻1件:タグはつけていらっしゃらないですが心の中では参加作にカウントしています)もの作品をお寄せいただき、心より嬉しく思っています。

では、お楽しみの時間です。
池松さんの独断と偏愛により選ばれた各作品を発表いたします。


🍩 夜明けのドーナツ賞

真夏の夜の餃子|ふらにーさん

恋人と別れたばかりの女と、いつも絶妙なタイミングで連絡してくる男。

「今はあいつに執着してるだけで、他に好きになれる男なんて星の数ほどいるよ。俺も含めて」

歯が浮くようなセリフを吐く男には、すでに彼女がいる。
「しばくぞ!」と私なら言ってしまうところですが、ふらにーさんのお話に出てくる「わたし」はそうはしない。かといって、なし崩し的に彼に心を預けてしまう訳でもない。
そんな絶妙なバランスを保とうとする感情と、感情を揺り動かすべく挑んでくるかのような真夏の餃子とビール。
汗が吹き出るような小汚い中華屋、ぬるい風を吐く扇風機、パリッとした羽根つき餃子と、ビールを飲む男の白い首元。

ざわざわしました……。続きが……気になります……。

ふらにーさんには副賞「抹茶焼きドーナツ2個セット」をお贈りいたします。
おめでとうございます&素敵な作品をありがとうございました!
※ コラボイベント事務局より別途ご連絡を差し上げます。

☕️ 夜明けのコーヒー賞

あの日の居酒屋から愛を込めて|逆佐亭裕らくさん

創作に打ち込んだことがある人ならば一度は味わった感覚、またnoteで今現在苦しみながら作品を作っている人は深く頷きながら読んだのではないでしょうか。

私事ですが、学生時代は映画を撮っていまして、裕らく師匠が「バンド」で見たのと同じような景色を私も映像の世界で見てきました。学生映画祭で、私の作ったものよりも優れているとは思えない作品が私よりも上位の賞を獲るなど、悔しい思いも何度か噛み締めてきました。
その頃才能があると言われ映画監督の夢を抱いていた人も現在映像関係の職に就いているかというとそうではなくて。反面、地道にしがみ続けて作り続けた人が国際映画祭の正式招待を受ける映画監督になっていたりして(マジ快挙)。

人気だとか評価だとか。雑音的な苦しみが作品づくりにはつきものですが、良作を産むためにやるべきことは自分の作品に向き合い続けてひたすら作り続ける、それしかないんですよね。
とにかく作る。人気とか評価とかは、タイミングとか運とか大人の事情が絡んでくっついてくる、単なるオマケ。

もしも人気が出たり、作品が評価されたりしたとしても、原点の「エイヒレ」が作品づくりにおいて一番大事であることは変わらないと思うのです。

企画屋の顔を前面に出しているけど、エッセイや小説も手を抜かない、と心に決めている私にもグッときてしまいました。

逆佐亭裕らくさんには副賞「特製デザイン・コーヒードリップパック2袋セット」をお贈りいたします。
おめでとうございます&素敵な作品をありがとうございました!
※ コラボイベント事務局より別途ご連絡を差し上げます。

ちなみに、コラボイベント内で池松さんが「ぎゃくさていゆうらく」と読み間違えていたので「"さかさてい" です」と訂正しておきました。

🌅 地球裏側の夜明け賞

私たちの居場所はいつも楽園ではない。|岡田環/Tamaki Okadaさん

戸籍を持たないタイ少数民族の女の子に就学支援をする日本の市民団体。岡田環さんはその団体の寄宿舎でモン族の女の子マイちゃんと出会う。
約10年後、里親制度団体の支援を受けてバンコクで進学したマイちゃんは、マイちゃんを10年間支えた「日本のお父さんお母さん」の家にホームステイし、環さんに再会する。

「日本の暮らしはどう?」「日本のお父さんとお母さんとは仲良くなれた?」私の問に、静かにマイちゃんが答える。今まで日本という国に対して彼女が持っていた幻想、そして現実、思い入れと、今、目にしていること。そして、急に涙声になって言う。「私は知らなかったの。」

お金持ちの日本のシニア層が彼女たちを家庭内の労働力としてあてにしていること。支援されることと引き換えに彼女たちは少数民族の文化を紡げなくなってしまうこと。「支援」は様々な問題を孕んでいる。
だが「日本のお父さんお母さん」の姿を見てマイちゃんはこう言い切る。

「私ね、知らなかったの。」マイちゃんは肩を震わせて泣く。「とてもうれしい。」

「日本のお父さんお母さん」がどんな方なのかは本文を読んでいただきたい。「支援」は豊かな人が余分な富を分け与えるというイメージを多くの人が持っていると思うが、このお話から見えるのは、手元の少しばかりの余分を「分ける」と決めた人が分けている姿だ。

タイのお粥と日本のお粥。
ぜんぶ読み切って再び読むタイトルが心に沁みました。

岡田環さんには副賞「noteサポート500円」をお贈りいたします。
おめでとうございます&素敵な作品をありがとうございました!
※ 池松さんより作品に対しサポートが送られます。

✨ Special Thanks

【小説】 ぜんぶ、わたしの|坂るいすさん

るいすさん、本家『文脈メシ』ではあんなにキャーキャー甘い妄想を繰り広げていたのに。
……しょっぱい。しょっぱいよ。ドーナツでこんなにしょっぱい話書けます?

「おせちに入ってるレンコンって、『先を見通す』縁起物なんですって」
「うん」
 松田さんがゆっくりと、紅茶をすする。
「だから、もしかしたらドーナツも、『先を見通せる』のかもしれないなあ、と思って」
「…うん」

このあと、エミコが飲み込んだ言葉。言えなかったのエミコの心中。未来のない恋愛だとエミコ自身もわかっていながら止めることができない苦しさが伝わってきました。これ、女友達には「あんた不倫なんてやめときなよ。」って一蹴されるやつだけど。

しかしまぁ、松田さんはクズやな。

今回、コラボイベントを開催するにあたり『文脈メシ』の使用を快諾してくださったこと、まことに感謝しております。
池松さんと仲さんが、るいすさんの夫さんを呼んで(るいすさんは不参加でOK)「坂るいすを語る会」オンラインイベントをしたいそうですがご都合いかがでしょうか。

以上、受賞3作品の発表とSpecialThanksでした。

池松さんの記事には受賞3作品に加え「池松28選」の発表/コメントがありますので合わせてご覧ください。

企画共同主催のあきらとさんによる結果発表/コメントはこちら。

おふざけノリの告知に、よくもこんなに素敵な作品ばかり集まりましたね!?
おバカな告知文を書いた私が一番驚いています。

みなさま、本当にありがとうございました。


6月初旬には「第4回 呑みながら書きました」の開催を予定しています。
また遊ぼうね〜!


※ コラボイベント『文脈メシに愛を捧げる』 #たべてはなしてつながる 裏話を、池松さんが近日noteへアップ予定です。お楽しみに!

♡を押すと小動物が出ます。