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クソリプを具現化したようなストーカーを成仏させた話【中編】

※ こちらの文章は、フラッシュバックを起こさせる可能性があるため、過去ストーカー被害に遭われた方は読まないことをおすすめします。

前編はこちら。

【段階2】分断の激化

卒業式から数日後、共通の友人(仮にトモ太とでもしておこう)から、わざわざ電話で連絡があった。
「クリ男とマリナちゃん、付き合ってたりする?」
いや、そんな事実はない。
「だよね。クリ男、mixiにマリナちゃんの写真をあげて、みんなに、え、彼女?とか聞かれて喜んでるわ。あいつヤバイな。」
トモ太によると、クリ男は彼氏ヅラで、大学にて盗撮した私の写真をネットにあげていると言うのだ。ヤバすぎだろ、それ。

運の悪いことに大学一年、入学直後に、クリ男と私は電話番号とメールアドレスを交換していた。大学生活を通じて着信もメールもなかったクリ男から、卒業後、日を追うごとに連絡が増えていく。1日に何回もの着信、10通を超えるメール。対応しきれない。電話もメールも無視をした。

入社式も終え、仕事に集中したい私は思い切ってメールを送った。
『もう連絡してこないでください。』

激しく着信があるなか、クリ男からの着信拒否・受信拒否を設定した
非通知でもかかってきたので、非通知拒否も。

【段階3】「無敵の人」

クリ男の様子が最近おかしい、とトモ太が私に忠告してくれた。
「あいつ『マリナさんと待ち合わせ』とか言って、ほぼ毎日マリナちゃん家の最寄駅に行ってるらしいわ。」
まじか……在学中の雑談の中で、どこに住んでいるかぐらいは言ったかもしれない。でもまさか、駅に来るとは。家がある地域にはJRと私鉄の駅がある。不幸中の幸いで、クリ男は私が使っていない方の駅で張り込んでいた。

トモ太は、私を心配するというよりも、異常者を身近に発見したことに興奮しているようだった。それでも内通者がいるというのは心強い。ストーカーの観察をしたいトモ太と、クリ男の様子について知りたい私との利害が一致し、トモ太は潜入調査(親身にクリ男の相談に乗ること)を快諾してくれた。


ある土曜日、トモ太から電話があった。真剣な口調でトモ太は言った。
「今日は絶対家を出るな。」
私に会えず、悲観的になったクリ男が言ったらしい。
手に入らないのならば、殺す。
サーっと血の気が引いた。本当にそんなこという人いるんだ。

翌日の日曜も家にこもり、月曜も家を出る気になれず会社を休んだ。火曜からは出社したが、落ち着かない。私、殺されるほど悪いことをしたのか。

また土曜が来て、その日は地元の友人たちとご飯を食べに行く約束をしていた。待ち合わせは、クリ男がいる駅の改札前。
私はお店に直行すると友人たちに連絡を入れ、待ち合わせ場所には行かなかった。でも、気にはなっていた。本当にクリ男は待ち伏せしているんだろうか。

改札口からは見えづらい角度の雑踏に身をひそめ、待ち合わせ場所の方を見た。クリ男はそこにいた。やたら派手な色のシャツを身につけ、ギラギラした目で改札前を行き交う人の流れを見つめていた。そして体の前に回されたショルダーバッグ。
背筋がぞっとして、クリ男に見つからないよう足早に駅を離れた。大好きな友人たちに囲まれて食べたご飯は、味がしなかった。

【段階4】クソリプ男の気持ちを受け止める

本当にクリ男は私を殺そうとしている。家にいても仕事中でも冷や汗が流れた。そのような状態が長く続くのは、精神衛生上よくない。
私は心を決めた。精神的に追い詰められる前に、クリ男と決着をつける。
指を震わせながら、メールを1通打った。
『明日の夜、19時に電話します。』

次の日の19時、仕事上がりの私は大阪・梅田の地下街にいた。ひとりきりで電話をするなどとてもじゃないが耐えられなかった。人目が多く、私とクリ男のどちらの通勤経路からも外れているここならば大丈夫だろう。帰宅中の会社員でごった返す地下街の公衆電話(気分的に自分の携帯電話でかけたくなかった)で、意を決してクリ男に電話をかけた。

後編につづく>


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