3人のnoterが初めて会った日

ベビーカーを押して私は走っていた。
西海岸の、赤ちゃん連れお洒落ランナーではない。
単純に約束の時間に遅刻しそうだったのだ。
(家を出る直前に乳幼児がうんこをする現象に、誰か名前をつけてほしい。)

待ち合わせ場所の駐車場が見えてきた。
そう、今日はnote同期が集まる日
駐車場には白いミニバン1台のみが止まっていた。
運転席には1人の男性の影。スキンヘッドの。

(あきらとさん、スキンヘッドにしたんだ……。)

会えて嬉しいな。感情が溢れ出るのを抑えきれず、私はニッコニコで車に近づいた。

スキンヘッドが私に気づく。
「ガン見」
ガン見選手権なるものがあれば、間違いなく金メダルを取る見事なガン見をキメたあと、男はそそくさとシートベルトを締めた。
駐車場を出て去っていく車。
ナンバープレートには、このあたりの地名。
あきらとさんは遠方から参加なので、この車ではない。

人違いだったみたいです。ニコニコしてすみませんでした。


この胸の痛みは何だろう

約束の時間を5分過ぎている。TwitterのDMを確認する。

マイミ:すみません!いま家を出ました(約束の時間+3分)
あきらと:すいません、むしろこちらもまだ(約束の時間+4分)

了解!

暇つぶしに、近くに停まっている工事車両を次男と一緒に眺める。
急に、胸がキュッとする感じがした。
なんだろうこの感じ。知っている気がする。

これは……これは……

懐かしい、この感じは……

なんか、大学受験の朝に似てるな……。
緊張してるのだ、私は。


マイミさん登場

突然、遠くの角から抱っこ紐に赤ちゃんを入れた女性が現れた。
手を振りながら、ふわわんとした満面の笑みでこちらに走ってくる。
顔をくしゃくしゃにして私も大きく手を振り返した。
(マイミさん、あぁ、マイミさんだ!あの日、小児科で遭遇した!)
マイミさん到着。

「おぉぉぉ……。」
駐車場の脇で、2人の主婦は対面した。
2人ともニコニコが止まらない。
本当にこの街にいたんだ。本当に。
私たち、セーラー戦士みたいですね。
普通の主婦としてこの街で過ごしているのだけど、私たち実はnoterなの。

セーラーマイミが言う。
「さっき○○ナンバーの車とすれ違ったよ。絶対あきらとさん。」
道に迷ってるんですね。そのうち来るだろうから待とう。


あきらとさん登場

きゃっきゃきゃっきゃしているうちに、1台の車がやってきて「キィキキィ!!」と音を立てながら左折で駐車場に入っていった。落ち着け。ここは歩行者に優しいドライバーが多い平和な街だぞ。
私とマイミさんからは、車の側面が見える。
運転席には見慣れた横顔。
(あきらとさんだ!アイコンと一緒!)

「ごめんねー。」
そのまんまだー!あきらとさん、noteとTwitterの印象そのまんますぎる!


これまで会ったことはないけれど、なんとなく"っぽい"感じがした。文章と小さなアイコンでしか知らないのに、挨拶もそこそこに「おまたせ〜」くらいの感覚で席についた。

マイミさんも、あきらとさんも、サカエ コウ。さんが書いていたのとおんなじ感じだった。
ああー、これかぁ。
マイミとマリナ、なんとなくどっちがどっちか分かるだろうから、自己紹介もしないまま、私たちは駐車場から移動した。


どっちがマイミ どっちがマリナ

3人揃ってランチ会場の中華屋さんに歩く道すがら。
会話の途中であきらとさんが、みんなの本名も知らない、と言ったのに対し、すかさず口を出す私。
「あきらとさんの本名知ってるよ。○○○○○。」
(初期の頃のあきらとさんは迷走していたので、アカウント名が一瞬本名だったことがある。)
「え!なんでマイミさん俺の本名知ってるの?」
私とマイミさんは顔を見合わせた。いまなんつった??

中華屋さんに入る。私とマイミさんが向かい合い、お手洗いに行ったあきらとさんが遅れて座敷に座る。
「意外だった。俺、マリナさんがキリッとした感じで、マイミさんがふわっとした感じだと思ってたから。まさか逆だとは思わなかった。」
待て待て待て。マイミさん思わず突っ込む。
「最初の印象であってるよ!」
えっ?えっ?とおろおろするあきらとさん。
マイミさんのアイコンと、私の雰囲気が似ていたから間違えちゃったんだって。
どうも、マイミさんのアイコンに似ているマリナです。(キリッ


優しさの化身

うちの1歳次男は座敷席をうろうろ探索(ついたて越しに、あきらとさん相手にいないいないばぁをするのを特に気に入っていた)、みんなにちょっかいを出していた。コミュ強の子もコミュ強。マイミさんの0歳三男くんはおとなしくマイミさんのそばにいて、もう可愛らしいといったらなかった。いるだけで可愛いのなんの!

しかし、ぴったりくっつかれると親はゴハンを食べられないんだよね。
そのとき、あきらとさんが「マイミさん、三男くん抱っこしてもいい?おーい、おじちゃんとこにおいでー。」
あきらとさん……スマートすぎない?
うちの次男が、つまようじを全部容器からぶっこぬいた時もスマートだった。
「おおー、いっぱい取れたねー。すごいねー。じゃあ、今度はここに入れてみようか。入れられるかな?」
あきらとさん……声かけのプロ……。
優しさという概念に神が肉体を与えた存在、か何かかな。
これからはもう、無下にできないな。(するけど)


マイミの由来

なごやかに談笑はつづく。
マイミさんのペンネームの由来。
「昔、すごくマイナス思考だったのね。それで、マイナス思考のマイ。」
え、そんな、人見知りだから「しりひとみ(ひとみしり)」みたいな理由だったの。
同類じゃん。しりちゃんとマイミさん、仲良くなれるのでは。

ゆっくり1時間以上かけてゴハンを食べて、店を出た。


「スーパーZ」ツアー

店を出た我々は、スーパーマーケット「スーパーZ」ツアーに向かう。
この地域のローカルながらセンス抜群のスーパーマーケットだ。
ローカルすぎて居住地バレ待ったなしなので、店名を伏せさせていただく。
マイミさんも私も、超ヘビーユーザー。オオゼキもOKストアも目ではない。
(ちなみに私はオオゼキもOKストアもバージンなので、発言に裏付けはありません。)

スーパーマーケットレポートも別途書くつもりでいたのだが、ちょっとね、やっぱり「スーパーZ」については書けない。
KALDIの奥の冷蔵コーナーにあるようなオシャレなブリーチーズが298円とか、500gの生ハムが398円とか、「小売厳禁」とパッケージに印刷された5kgのハムがあるとか。
なんか、ちょっと、イリーガル臭があるんですよね……。
消費者としては激安で嬉しいんですけど、これ、陳列して大丈夫かな……みたいなやつが多すぎる……。

私たちは真っ当なnoterなので、非合法(?)なものとは一線を画しておきたいところ。
なにより「スーパーZ」レポを書いて、もしも、レポから足がついてお店が摘発されて無くなっちゃったら、私は地域住民から石打ちの刑にあってしまう。それは避けたい。
あきらとさんに「うわー、これ安い!これも安い!買いてぇ〜。」と言わすだけ言わし、マイミとマリナがドヤ顔をし、私は自宅用にニンジン(6本入り98円)を買って、スーパーZツアーを切り上げた。

いつものスーパーにマイミさんとあきらとさんがいるのは、とてもとても不思議な感じだった。まるで白昼夢のようだった。


マイミさんの家

マイミさんのnote『10分でひとは変われる。朝の10分散歩が1日の心と体の変化にもたらすもの。』の舞台となる散歩コースへ向かう道すがら、「ここが家です。」とマイミさんが言う。
我が家からめちゃめちゃ近い。よく前を通る。
ほんとうにご近所さんなんだ。
Googleマップさんによると、我が家とマイミさん家の距離は450メートル。
400メートルトラック一周+ちょびっと。うっそだろ。近すぎでしょ。
そして、いい立地だね。うらやま。


『10分散歩』

『10分散歩』コースに到着。マイミさんの三男くんは抱っこ紐の中でおとなしくしてくれており、うちの次男はあきらとさんが押すベビーカーの中で寝ていた。
大人のペースで、おしゃべりしながら散歩できる。
全員、ちょこまか動き回る年齢の子を持つ親。(マイミさんの二男くんと、あきらとさんの娘さんと、うちの長男が同い年。)
公園をゆったり散歩できるのが久しぶり、嬉しいねー、などと言いながらのんびり歩く。

青々しい木々、青い草の匂い、ブブブウウブウブブブと唸るエンジン音。
ちょうど公園で草刈りをしていた。
すんごい草のニオイする。
あのね、いつもは鳥のさえずりとかが聞こえるんですよ。


突然のお掃除

そのあと、マイミさんとあきらとさんの保育園のお迎えまでまだ時間があった。
所在ない感じが申し訳ないので、急遽マリナ家に来てもらうことにした。
しかし、我が家。リビングにおもちゃが散乱し、朝ごはんの米粒が床に散らばったままになっている(その日の朝は子どもたちが派手に散らかした上にバタバタしたのでエネルギーが枯渇してそのままにしていた)。片付けねば。
マイミさんとあきらとさんに、『10分散歩』コースをもう一周してもらう間に、私が次男とともに先に帰宅し、掃除をしておふたりを迎えることにした。
あきらとさんのnote『マリナ油森さん、瑞季マイミさんと会ってきました』で "いろいろ、いろいろ話しました。" と書かれているのは、私が掃除のために離脱してふたりで話す時間がたっぷりあったからです。
エンジョイできたようで何より!
掃除、結局20分くらいかかった。日頃から部屋は綺麗にしないとな。反省。


ウェルカム・トゥ・マイハウスからの、即お迎え

マイミさん、あきらとさん、我が家に到着。
私、ひとつヘマをしまして。
長男の幼稚園延長保育を申し込むつもりが忘れておりました。
いったん抜けて、家の近所のバス停までお迎えに行かなければ。
マイミさんとあきらとさんを我が家に残し、次男とともにお迎えへ。
初対面の人を家主不在の家に上がらせるって普通はしないけど、マイミさんとあきらとさんなら大丈夫だと思った。
うちに3億円があっても手をつけないと思ったから。(3億円欲しいな)


梨を食べたい幼児たち

ラテン系フレンドリーな長男は「ママのお友達が来てるの?」と喜びながら帰宅。
マイミさんが梨を2つ持ってきてくれていて、せっかくなのでこの場でいただく。
私が梨を剥いている間、キッチンゲートにへばりついて「ナシ!はやく食べたい!」「キェェェー!(長男と場所争いをして押される次男の叫び)」と阿鼻叫喚の兄弟。
あまりにも通常運転。お客さんが来てるんやから、少しは遠慮せぇよ。
八つ切り×2個の梨を人数分の皿に取り分けたのに、我が子たちは容赦ない。
「ナシ!もっと食べたい!」「ギャーーン!(梨を食べたい次男の叫び)」せやから、少しは遠慮せぇよ。
マイミさんもあきらとさんも優しい。「いいよ、いいよ、食べて。」と子どもたちに梨を譲ってくれた。
結果、大人たちが食べた梨は1切れか2切れ。ということは。幼児たちよ、キミたちどんなけ食べたんや。


写真を撮ろう

「3人が一緒にいた証拠を写真に残そうよ。」
いいねいいね。あ、でも、マイミさん顔出ししてないもんな。
ということで、あきらとさんと私のツーショット。

あきらとさんの胸ポッケの中で、ご満悦の私。


公園へ

よーし、自慢の油森家自家焙煎コーヒーを淹れちゃうぞ、と張り切る私に長男が言う。
「すべり台公園に行きたーい!お友達も一緒に行こう!」
すべり台公園とは、家を出てすぐにある公園のことである。
「え……ちょっとコーヒー飲んでからでもいい?」
「ヤダヤダヤーダ!!いま!行きたいの!!」
長男がすみません。マイミさんもあきらとさんも優しいので、公園遊びに付き合ってくれた。
フリーダム、我が子たち。あまりにも通常運転。
そしてみんな現役の親なので、すごく公園遊びが板についている。
ふたりとも、いいママ、いいパパしてるなぁ。


マイミさん、またね

めちゃめちゃ蚊に刺されまくっているうちに、保育園お迎えの時間が来て、マイミさん離脱。
マイミさん、あまりしゃべれなかったな。
掃除で離脱したあとは私がキッチンで梨を剥いたり、公園遊びではバラバラに行動するうちの子たちを大人は別れて見ないといけないため、マイミさんが1人でうちの長男の相手をしてくれて、遠方から来てくれたあきらとさんと私を次男担当にして話させてくれたり……。
ありがとうマイミさん。もっとお話ししたかった。正直なところ、消化不良です……。
お家マジで近いので(間に邪魔な建物さえなければ、窓越しにモールス信号でおしゃべりできるレベル)、近々また遊びましょう。
「スーパーZ」で500gの生ハムを買うときは、半分の250gをおすそ分けしにいきます。(以前うちだけで消費しようとして、晩酌のおつまみだけでは消費しきれず、週3日夕飯が「カルボナーラ生ハム乗せ」になった。美味しかったから調子に乗って連続で作った。)


ようやくのコーヒータイム

あきらとさんは帰るまであと少しだけ時間に余裕があったので、バラバラに行動する兄弟の回収に手を貸してくれた。
家に上がる前に、男単独で家に入っても大丈夫か、と遠慮する紳士っぷり。
せっかく遠方から来てくれて、自家焙煎コーヒーを飲まずに帰らせるわけには行かなかったので無理やり上がらせた。(あきらとさんは『油森家の珈琲ライフ』シリーズが好き)
長男と次男は野菜ジュースを飲み(彼ら全然昼寝しない)、あきらとさんと私はコーヒーを飲んだ。
コーヒーをめちゃくちゃ褒めてもらって、私は嬉しい。
マイミさんにも飲ませてあげたい!来週あたりどう?


あきらとさんをお見送り

「つぎはお兄さんのお家にいく?」と行く気満々の長男に「行きませんよ。」と言いながら、抱っこ紐に次男、ベビーカーに長男を乗せて(歩かせると時間がかかるので)、あきらとさんのお見送りへ。

別れ際にあきらとさんが言った。
「なんか無性にさみしいな。子どものときに、友達と遊んで夕方バイバーイって言うときみたいなさみしさ。」
私はいじめられっ子だったのでそういう記憶は実のところ無いのだけれど、あきらとさんが言わんとしていることは分かるから「うん、そうだね。」と返した。



駐車場から家への帰り道、空を飛び交うトンボを見ていたら急に胸がキュッとした。
待ち合わせのときに感じた、大学受験の朝のような胸の痛みではなくて。

なんだか、ちょっと、今度はちゃんと、そんな感じだった。

♡を押すと小動物が出ます。