コピーライターが選ぶ、歌詞がエグいくらいマッチしてるアニメOP&ED10曲
アニメはだいたい、30分枠。
その中身は本編、予告、CMに大分されるわけだけれど、この本編の中にはそれぞれ1分30秒のOPとEDが挿入されている。
30分枠のうちの3分、つまり1/10は毎週まったく同じ映像が流されているが、僕は基本的に飛ばさないで観ている。
べつにアニメ制作者へのリスペクトを払って関係者の名前一人一人を注視しているわけではない(もちろんリスペクトはあるよ!)。
OPとEDはそのアニメの世界観そのものだから、観ることで本編への没入度合いが変わる。と思っているからだ。
TVCMもアテンションやロゴサウンドというものが前後についたりするが、おおよそそれに近い効果を持っている思う。
飽和しているコンテンツの中でも、"いまからこのアニメを楽しみましょう"と、"今週はここまでまた来週"のスイッチを切り替えてくれるのがOPとEDなのだ。と僕は思っている。
さて、本題にはいると、僕はこの16年ほど恐らく毎日アニメを観てきた。そのなかでも、OP,EDの歌詞(それを紡ぐメロディも)がアニメとマッチしすぎて狂いそうになる作品にいくつも出会ってきた。
たいがい、ふとYouTubeのおすすめなどに出てきて「うわっ!!!あったわ!!!」となるのだが、これはもうデータベース化して、火星に流刑されるときにでも、一生聴きつづけられるようにしておこうと思い始めた。
歌詞の内容、曲調自体、はたまた原作者の意向など、マッチ理由は多岐にわたるが、まとまりのない説明とともに10曲ほど紹介していきたいと思う。
同居人はひざ、時々、頭のうえ。
アンノウンワールド
(著作権的な問題がありそうな気がするので、このあとのリンクはすべてアニメタイトル名+OP, EDで検索したYouTubeリンクを貼っておきます)https://www.youtube.com/results?search_query=%E5%90%8C%E5%B1%85%E4%BA%BA%E3%81%AF%E3%81%B2%E3%81%96%E6%99%82%E3%80%85%E9%A0%AD%E3%81%AE%E4%B8%8A+op
この記事を書き始めようとしたきっかけの曲。
小説家の主人公は若くして成功しているものの、両親を早くに亡くし、無自覚な孤独を生きていた。そこに野良猫との邂逅があり、周囲との人間関係に変化が生まれ、精神的成長を遂げる……という話。
優しげなメロディのなかで
こんな世界知らなかった 何が変えたのだろう
誰かが誰かを想う 日々の隙間で 世界は変わっていく
という歌詞が入る。そんなセリフは本編で一度も言っていないのだが、主人公の気持ちを美しく描き出している。うーん、ゴリゴリマッチだ。素敵すぎる。
電波女と青春男
OS宇宙人
神聖かまってちゃんの、の子さんが作詞作曲し、ヒロインのエリオ役大亀あすかさんが歌唱している曲。
高校進学に合わせて叔母の家に身を寄せた主人公は、これまで存在を知らされていなかった従妹と出会う。もちろんこの従妹は超絶美少女なわけだが、布団に簀巻き状態で登場当初は顔も出ない。そのうえ奇行癖もあり、不登校で……という社会不適合系ヒロインなる、攻めた設定のストーリーだ。
不安定な曲調のなかで、絞り出すような歌声が痺れる。ソース不明のよわよわ情報だが、の子さん自身が、宇宙人というあだ名で揶揄されていた体験が反映されているらしい。
受信してくれるのかなと 心配もしてるんです なんだかんだで側にいてくれてる あなたが好き きっとあなたしか受信できないの
という歌詞も、ただのボーイミーツガールではないぶん、僕の心の琴線をかき乱して仕方ない。
∀ガンダム
月の繭
機動戦士ガンダムシリーズといえば日本のロボットアニメの金字塔だが、そのなかで唯一無二の存在感を示すタイトル。それが∀ガンダムだ。
主人公は地球から月へ渡った人類の子孫。月の人類が再び地球で暮らすため、先遣隊として派遣され、地球で暮らす人々との触れ合いを経ながら、∀ガンダムという最強のモビルスーツ(ロボット)に乗り戦いに身を投じていく…という物語。
このAをひっくり返した文字"∀"はターンエーと読み、あらゆるガンダムの最後の物語…として名付けられたらしい。今後どんなガンダムが新しく出ようと、最後はここにたどりつく。というメタ設定を持っている。(いろいろ例外は生まれてきているが)
その情報を前提として、この曲は全4クールの4クール目のEDである。つまり、すべての物語、すべてのガンダムの終着点を彩る楽曲なのだ。豊かな曲調、たおやかな歌詞、どれをとっても、目を瞑り、終わりを迎えるのにふさわしい楽曲となっている。ちなみに歌詞はガンダムシリーズの生みの親である富野監督が別名義で書いている。暴言や卑猥な言葉を数々発してきた人間が、こんなにも繊細な言葉を綴れるという事実は、自らの人間性に不安を持つライター業のみんなを鼓舞してくれる。
true tears
リフレクティア
いまでは超有名アニメ制作会社となったP.A. WORKSの名を、最初に知らしめた作品。富山県の伝統的な祭りなどを美しく描写しながら、主人公と3人のヒロインの関係性の変化が展開されていく。不思議な歌をうたう後輩美少女、主人公の母から疎まれながら一緒に暮らす同級生美少女、親友の彼女でありながら主人公への想いを断ち切れない美少女と、個性的なヒロインたちも魅力的なのだが、なんと言ってもこの作品は2008年放送当時、作画の良さがブチ抜き過ぎていた。
そんな美麗アニメーションで作られたOPは当然見応え抜群であり、euphoniusが歌い上げるイントロの歌声も素晴らしく、伸びやかな発声だけで、脳をtrue tearsモードに切り替えてくれる。
アニメ本編の内容はなかなかにドロドロしていたのに、なぜか爽やかな印象を持ち続けるのは、この曲があるからこそだろう。
虹色の回路に 無数の言葉たち
半分だけでも ここならば進んでいける
こんな美しい歌詞、どれだけ心が澄んでいれば書けるんだ?
最終回でOPがかかるシーンは必見だ。ネタバレを避けていうなら、耳をすませば以来の衝撃だった。
.hack // Roots
亡国覚醒カタルシス
https://www.youtube.com/results?search_query=.hack%2F%2FG.U.+ED
オンラインゲームのなかに閉じ込められてしまうジャンルの走りといえば.hackシリーズだ。この.hack//Rootsは.hack//G.U.というゲームの前日譚を描いており、オンラインゲームに主人公ハセヲたちが閉じ込められる前、普通にゲームとしてプレイをしていたころに、次々とプレイヤーが意識不明の"未帰還者"となる事件を描いている。当時はメディアミックスもそこまで多くなかったので、非常にチャレンジングな作品であった。
シンプルに一言で価値を言い表すなら、厨二病が濃い。特濃ッ!
そんな作品のEDを歌い上げていたのがALI PROJECT。ボーカルの宝野アリカ様は、荒木飛呂彦先生と並ぶ超自然的な若々しさなので、ぜひ調べてみてほしい。
なおOPのSilly-Go-Roundもとても良い曲だ。強大な謎の力に立ち向かい悪戦苦闘するハセヲの姿が
ゴールのつもりで リセットボタンに飛び込んで
僕等はぐるぐる 同じ場所を回ってるんだ
勢い任せで いつかは昨日の引力を 越える 君と
という歌詞にピタリと重なっている。
狂乱家族日記
超妻賢母宣言
かつて世界を混乱に落としいれた魔王的存在がいた。その子供の可能性がある人間・生物が1000年ぶりに複数発見される。そこで全員を家族として共同生活させ誰が子供かを確かめる実験を行うことに……という家族寄せ集め系ストーリーが狂乱家族日記だ。うえのメインビジュアルのど真ん中にいる猫耳ガール"狂華"が家族の母親役となり、人間だけでなく、クラゲ、ロボットなども我が子として分け隔てなく接し、交友を深めていく。のだが、この狂華がはちゃめちゃな独裁気質で、家族生活は混乱を究めていくというハイテンションコメディだった。
ちょうど電波ソング全盛期だったこともあり、ニコニコ動画を中心におおいに楽しまれた。一家の母である狂華による独裁宣言の歌詞なので、アニメにマッチしてあたりまえではあるが、
良き 賢い 女とは今の日々を
自由気ままに 謳歌している姿をいう
自分らの 幸せが世界のため
独裁主義 それは最高級の褒め言葉
という言い切りがとても格好いい。
ちなみに、エンディングでキャラソンを流すというブーム期にあったため、多様なキャラたちの歌が2話ごとくらいで切り替わっていた。こちらも狂華が担当した『 狂乱戦記 〜日常ノ神サマ〜 』がまたまた良い電波ソングだった。畑亜貴全盛期特有の空気があるので、ぜひこちらも聴いてみてほしい。
スクライド
Reckless Fire
https://www.youtube.com/results?search_query=%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%89+op
CMの前後にはいるカットをアイキャッチと呼ぶのだが、スクライドの場合は、若本規夫さんによる激シブい「スゥゥゥクライドォ」というセリフだった。作品の随所にクセになるポイントが散りばめられ、公開から20年以上経った今も高く評価されている。
このアニメはアチアチバトルものなのだが、OPの歌声もアチアチだ。ボーカル井出泰彰さんの掠れたボイスが荒廃した世界観とマッチしまくっている。そして歌い出しの「奪え!すべて!この手で!」という短いフレーズのなかに、主人公カズマの生き様がグッと詰まっている。
スクライドとは"拳と速さの物語"なのだ。(観ればきっと頷くはず)
ぼくらの
アンインストール
https://www.youtube.com/results?search_query=%E3%81%BC%E3%81%8F%E3%82%89%E3%81%AE+op
夏休みの自然学校に参加した少年少女たち。散策中に洞窟に迷い込むと、そこには怪しげな男"ココペリ"がおり、巨大な無敵のロボットに乗って地球を守るゲームをしないかと誘いを受ける。しかしそのロボットを動かすためには、ある代償が必要で……というストーリー。命と生き方について考えさせられることの多い本編に、まっすぐ応える歌詞がある。
この星の無数の塵の ひとつだと 今の僕には理解できない
アンインストール アンインストール
恐れを知らない戦士のように 振る舞うしかない
ぐぅぅっ!良すぎる!"ぼくらの"はいわゆるマルチ主人公的な描かれ方もするのだが、この歌詞は登場するすべての少年少女の想いに合致している。
ちなみにEDのVermillionもシビれるほど良い。
Vermillion 僕らは生きることにしがみついたけれど
Vermillion それを格好悪いとは思わない
このセリフを言えるのは、言っていいのは、戦う少年少女たちだけなのだ。
メイドインアビス
Deep in Abyss
世界のどこかにある巨大な縦穴"アビス"。そこは幾層にも別れたダンジョンと化しており、人々は穴の中へ、まだ見ぬ貴重な財宝を目当てに潜り込む。ただし、このアビスには呪いがあり、上から下には容易に降りられるが、下から上に行くときは"上昇負荷"を強いられる。浅い層なら体調不良で済むが、深くなるほどその呪いは強くなり、深い層では人間性の喪失や、死など強烈な上昇負荷がかかるようになる。
主人公はそんなヤバすぎる穴の最下層を目指す冒険家の少女リコ。そしてその相棒である機械仕掛けの少年レグ。可愛い絵柄で、エゲツない冒険を繰り広げていく。そんなアニメのOPは、リコとレグの声優が歌い上げる可愛らしい楽曲なのだが、こんな歌詞がある。
羅針盤はずっと 闇を指したまま 逃げ場のない方へ
それが呪いでも 鼓動は本物 二度と憧れは止まらない
この歌詞がすっごいのは、アニメ放送の2017年には掲載されていなかった原作の展開(なんなら2022年現在連載中の内容まで)も、しっかりと包括しているところだ。先の展開まで作詞家が共有を受けていたとは思えないので、これはその時点までのストーリーをもとに、メイドインアビスの芯となる価値を言い表していたということに他ならない。作詞家の方による職人の仕事だ。シビれるぜ。
ToLoveる
forever we can make it!
https://www.youtube.com/results?search_query=ToLove%E3%82%8B+op1
ということで、これが10曲目、最後の紹介です。ToLoveる読んだことねぇ〜と言う男子は、AV観たことない〜と言ってる女子くらい僕は信用していない。主人公の結城リトを中心とした、お色気大人数ハーレムアニメなのだが、なんと第1期のOPは、ありがちな可愛いキャラソンOPではなく、かなりカッコいいロック調の曲だった。
シャイだし背も低い彼に 私達夢中
雑誌の恋愛コーナー 引くタイミングが大事 のんきでいいわ
危なげなリトと周囲の関係性に焦るヒロインの気持ちが詰まっている。それでいて、どのヒロインの口調にも合わないようにしているとっころに作詞の技を感じる。
ということでいかがだったでしょうか。アニメのストーリー紹介からでも、歌詞からでも、是非気になったものは観てみてください。
ここまで書いてきて、別に自分用のメモならYouTubeのマイリストつくるだけで良かったなと思いました。
もしもこのアニメのこの歌詞が好き!といったレコメンドがありましたら、ぜひコメントで教えてください。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
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